修学旅行 〜混浴〜 2
──バンッッッ!!!!!!!!
そう、乱暴に扉を閉める!
ッ………………時間が無い!
ササッと掛け湯を済まし、改めて室内を見る。
うん。何て言うか、温泉と言うよりは──温水プールと言った方がシックリくる内装だな?
外へ行く扉もあるが……アレは露天風呂か?
──どうする? 彼方へと身を隠すか???
いや待て。それは危険だな……。
もし仮に、彼方が露天風呂だとして……身を隠すとなると、出入り口は一つ。
田中達が此方へと来た時点で詰む可能性がある。
……奴らに見つかり難く、そして出来れば脱衣場にも近い……そんな場所。
ん!? 此処ならば──ッ!
■■■(・・;)■■■
──くッ! 流石に、暑い……な!
だが、我儘は言っていられない!!!
ふぅ、ふぅッ……温泉に来た人間は、掛け湯後、幾つかの風呂を回り、楽しんだ後──露天へ行く。
少なくとも、オレはそうだ。
まぁ、気に入ったモノがあれば其処でゆっくりする場合もあるが……今は、どうでもいい。
今、重要なのは──
現在、この混浴内にオレ以外の客が居ないと言う事。
その名の所為で遠慮されているのか、マジで客が居ないのだ。一人も!
だがまぁ、それについては結果的にオレも助けられたので何も言わない。
問題は、今から此処に田中が来ると言う事だ!
田中はお世辞にも、頭が良いとは言えない。
寧ろ……その、なんだ──ちょっとばかし頭がね、弱い? のだ。
そんな奴が、人の居ないだだっ広い空間に来たらどうなるか……嫌でも想像できるだろう?
そう、温泉に来たお子様現象が起きる。
元気にそこら中を縦横無尽に駆け回り、目に付いた風呂に飛び込み、泳ぎ遊ぶ。アレだ。
最終的にリラックスしに来たハズの親をブチギレさせる、あのイベント。
それが、親という枷が無い状態で起こるのだ。
側から見れば迷惑この上ないイベントだが、今のオレからすればチャンスである。
それは何故か……?
ふ、簡単な話だ。
縦横無尽に駆け回ると言う事は、一箇所に留まる様な所には寄り付かないと言う事!
そして早々に、各種の風呂を堪能し──露天風呂の方へと行ってくれたなら、オレの勝ちだ!!!
その隙に脱衣場へと駆け戻り、着替え、受付へ行って水着を交換し、再び混浴へと舞い戻る!
奴らには今来たフリをしてなぁ!!!
ふはははッ! なんと完璧な作戦か、全く、自分で自分が恐ろしくなるよ!
さぁ、早く来い!
そして縦横無尽に駆け回れ!!!
「──おぉ! 広いな此処!!!」
来 た ! ! ! ! !
扉に設置されている覗き窓から、バレない様に奴の様子を窺う。
「しかも誰も居ねぇじゃんラッキー!」
「おい一番最初にどの風呂入るよ!?」
「うっわ悩む〜!!!」
と、田中の後に続く様に……三馬鹿がテンション高く入場する。
OK、把握した。
オレの敵は田中と、三馬鹿──いや、もはや四馬鹿だと言う事がな! コレは勝ちましたわ!!!
入場早々、どの風呂へ入るか話し合う四馬鹿。
──どれでも好きなのに入って良いんだよ〜? 此処に、お前達を咎める者は居ないのだから。
だからサッサと決めて、パパッと入って、とっとと露天へ行け。暑いんだよ、此処!
安置とは言え、メッチャ暑い!!!
長く居ると、間違い無くのぼせる……!
──んぇ? 何処に居るのって???
あぁ、言ってなかったっけ?
サウナだよ。サウナ。
水風呂とセットで愛される、あのサウナだ。
風呂で熱った身体を水風呂で冷まし、そしてサウナに入り血行を良くする。
交互に入ったりするのも温泉あるある。だろ?
そして此処は北海道。季節的にも寒い。
そんな中、わざわざ温泉に来て──初手、水風呂なんて酔狂な奴はおらん。はず!
んで、脱衣場にも近いしな。
故の安全地帯と言うワケs──
「──あ! 水風呂で我慢大会しようぜ!!!」
「………………………………は??????????」
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