修学旅行 〜秘策〜
「──社長と久保は出入り口付近に待機。獲物が掛かるまで待ってて下さい……餌はオレ達がなります!」
「ッ──Σ( ゜д゜)!(察し)」
「は? ぇ、なに、餌??? それに獲物って──アンタ達、狩りでもするの?」
………………そうだよ!!!!!!!!
オレ達の、この身体を使ってなぁ!
出来る事なら、この手は使いたく無かった……が、一刻も早くホテルに戻る為にも仕方あるめぇ!
全ては──
そう──『混浴』のためッッッ!!!!!
┐■■■Take1■■■
「──なぁ、田中……オレ、実はずっとお前のことが…………田中?」
「………………」
「おい? 田中??? 田中く〜〜〜ん?」
何度呼び掛けても、一向に返事をしない田中。
コイツ……まさか…………ッ!?
「おい、カーペット?」
「おぅ! オレもお前の事好きだぜ。オレ達、両想いだったんだな──で、良いんだよな? 台詞???」
キラキラした目で宣う、田中。
そうだなー、台詞はそれで良かったんだけどなぁ〜〜〜〜〜ッッッ、カット!!!!!
お前、ちょっとコッチ来い。
台詞以外がな! アウト過ぎんだよ、お前は!!!
せめて、せめて頬を染めたり照れるくらいの演技はしようや? なぁ?????
┌■■■……Take26■■■
「──寒くなって来たな……もし、もしもこのまま、誰も助けに来てくれなかったら、どうする?」
「なッ!? バカな事言うなよ!」
「でもさ──怖いんだよ、オレ……もし、このまま」
……一生、誰も助けに来てくれなかったら──?
「どうしようって……考ぇ──」
「──このBA☆KA!」
「へぶッッッ!!???!?????」
ゴキンッ──と、勢い良く……殴ったね?
本来なら鳴らない音が、鳴ったぞ……今?
後な? 殴るのが、速いんだよバカ!!!
オレの台詞が終わってから、軽く殴れって言った筈なんだけどなぁ〜〜〜オレ? まぁ、でも──
「ペッ──4に晒せカスッッッ!」
ゴキャンッッッッッ──とね?
奴に近付き、そのまま奴の股の玉を蹴り上げる。
一発は、一発だよ。
寧ろ、一発しかやり返さなかったオレの慈悲に感謝しろ次やったら捻り潰すからな椅子野郎。
■■■┐…………Take42■■■
「──脱げ」
「あれ? 何か、オレの適当じゃね???」
うるせぇよ、もう何回やり直してると思ってんだよ勘弁しろよもうホテルに戻りてぇんだよコッチは!
「だからもうサッサと脱いで、パッパと終わらせる。オラ、早く脱げよそんでやる事やって帰るぞ」
「やる事やってって何ッ!?!!? イヤァーーーーーーー散らされるぅーーーーーッッッ!!!!!!」
■■■………………Take? ┌■■■
「──ぜぇ、はぁッ」
何故だ、何故、奴が現れない!?
いつもなら、呼んでも無いのに来るくせに!
──まさか!? 奴はもう、冬の新刊を描き上げていたとでも言うのか!?? くそ、もしそうd……
「ねぇ、この三文にも満たない芝居はいつまで続くの? そろそろ見てるコッチがキツくなって来たわ」
「先輩ごめん! 僕は無力だ!!!」
『┌(┌ ^q^)φ _──苦悶スルノモ、マタ一興』
………………………………っ!?
「っ、つつつつつつつつつつつつつつつ──」
「お、おい? 如月???」
「ど_:(´ཀ`」 ∠):し、た?」
「どうしたお前!?」
「遂にぶっ壊れたか!?!!?」
っ、つ………………!
「──ソイツを捕まえろぉおおおおおおおおおお!」
『ヌ!? 逃ゲルガ勝チ、ネタ提供ニ感謝ε=ε=┌(』
「逃すなぁあああああああああああッッッ!!!!!」
・
・
・
『──ヌゥ……殺シタケレバ、殺セ。ダガ、コノ世界ニ我ヲ望ム声アルカギリ、我ハ不滅ナリ……』
捕まって尚、ビチビチと御託を並べるヒナちゃん先輩の使い魔に、オレはニコリと笑い掛ける。
本音を言えば、今すぐ潰したい。
だが、それは悪手だ。
故に、我慢しよう。オレ達──いや、オレの頑張りを無駄にしない為にも、今は耐えようじゃないか!
「まっさかぁ〜、殺したりなんかしないよ?」
笑顔のまま、穏やかに話し掛ける。
「(キレてるわね……)」
「(キレてるね、先輩)」
『──フム? デハ、目的ハ何ダ?』
そう問う、使い魔に……オレは笑顔のまま、取引を持ち掛ける。
「君と取引がしたい。内容は、オレ達全員を無事に宿泊先のホテルへと送り届ける事……その代わり」
息を一つ吐き、オレは言葉を続ける。
「──オレ達からは、冬が終わるまで……君が望むシチュエーションで望む事をする! どうだ!!?」
『おほッ……く、詳しくお聞かせいただいても?』
詳しく、詳しくだって……?
「詳しく? ふふ、わざわざ説明が要るのか?」
丁度近くに居た田中を引き寄せ、その顎を掴み上を向かせる。所謂、顎クイである。許せ、田中。
チラリ──と、そのまま使い魔を流し見ると……
『くぁせ@#w☆──し、失礼致しました。契約します、寧ろ契約させて下さいホテルでも何処でも連れて行きますから後生です契約して下さいお願いします』
そうして、オレと使い魔は固い握手を交わし──無事、オレ達はホテルへと戻る事が出来たのである。
──え? 契約???
そりゃお前、ちゃんと守るよ?
当然じゃん!
まぁ……相手の口から、相手の望みがきければの話だけど──ね?
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