焼肉事変 4
──どうして、こうなった???
『ちゃんと私は約束を守ったのに……よくも、よくも主にバラしたな!!? 許さんからなぁ!!!!!』
グスングスンと鼻を鳴らし、何故かオレに抱き付きながら喚くキメラくん。
「そうよぉ、そうよぉ! 約束は守らなきゃダメよねあっはははははぁ〜〜〜お酒美味し〜ぃ♪」
&、泣き上戸→笑い上戸にジョブチェンジした社長。
と、いうか……社長はキメラにしがみ付いたままなので、だいぶ滑稽な姿なんだけど? オレら。
しかも、割としっかりめに拘束れているので逃げる事も出来ない!
「え? あの、如月さん???」
オレに泣きつくキメラを見て、綾ちゃんが「あれ?」と訝しげな顔を向けてくるので……、
「ごめんね綾ちゃん。実はコッチがキメラなんだ。ドッキリを仕掛けようと入れ替わってて……」
そう雑にカミングアウトしておく。
──わざわざトイレで入れ替わった意味よ?
ま、まぁマシュマロはキメラがだいたい処理ってくれたから、あのくらいの数ならまだイケる……か?
『──マシュマロ……そうだ、マシュマロだ!!!』
いきなり声をあげ、綾ちゃんを睨むキメラ。
『元を言えば、貴様が主が甘いの苦手だと知りながらマシュマロなんて出すからこんな事になったのだ!』
「──え? ちょ、ま…………え???」
今、キメラは何と言った?
オレが、甘いの苦手だと知りながら???
え? 誰が……綾ちゃん?????
「は……ぇ? ち、違いますよ!!! 私、如月さんが甘いの苦手だなんて知りま──」
『──嘘だな! A・L・C、会員番号一桁の貴様が主の好き嫌いを把握していないワケが無い!!!』
ち ょ っ と 待 っ て ? ? ?
なに、A・L・Cって!?
会員番号一桁? オレの好き嫌いを把握!??
なにその人権侵害甚だしい組織!!??? オレそんな組織知らんし、聞いた事も無いんだけど!!?
「A・L・Cの会員番号一桁だって!? 確かに、それなら先輩の好みの把握は当然出来てる筈だ……!」
『まさかその小娘が会員番号一桁とは──だが、それならばクソ虫の言い分も正しいか』
何でお前らは知ってるんだよ久保、バアル!?
「た、例え会員番号が一桁でも知らない事は有ると思いますけど!!??? 私はそこまで詳しく──」
『──主がムラっとくる女性の格好は?』
「縦セタ眼鏡、但し過度な露出は不可」
・ ・ ・ す ぅ ぅ 。
「──ぃいいいやぁああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!」
「あ! この反応は正解ね、すごーーーい!!!」
きゃっ、きゃっ、と笑う千尋さん。
──いや、笑い事じゃないが???
なんで、知ってんの?????
『主が好ましく思う女性のタイプは?』
「素直で騙しやすそうな年下がタイプ」
『主の不健全な本の隠し場所は?』
「ベッドの下と本棚の隙間はフェイクで、本物は参考書のカバーを付けて堂々と本棚に並べてます!」
・ ・ ・ ・ ・ ・ す ぅ ぅ 。
ふッ、いいぜ? そっちがその気なら、轟かせてやるよ──世界一の悲鳴ってヤツをな!!!!!!!!
「ぃ"い"や"あ"あ"あ"あああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!」
『…………全問正解だ、やるな』
「やっっったぁーーーーーーッは!?」
………………………………綾、ちゃん? (^ཀ^ )
『そしてギルティ確定だ、この女狐め……!』
「し、しまった……つ、つい! で、でもコレにはその、色々とワケがありましてッ!!!」
尚も言い募る綾ちゃん。
「もう止めときなって……見苦しいよ?」
『もはや何を言った所で、現状は覆らんぞ? ほら見ろ、元主のあの顔を──人間不審になっている』
人間、怖い。綾ちゃん、怖い……。
「──だ、だって自分の好きなモノって、好きな人と共有したいじゃないですか!? だから、つい……」
シュン、と……落ち込んだ顔を──んん、可愛い!
しかも、しかも好きな人って!!!
綾ちゃんの一番はキメラかもしれないけど、それでも嬉しい。ので……!
「…………ならば、仕方あるまい!!!!!」
──オレは、許そう!!!!!!!!
『またそうやって甘やかす!』
「そういうのは良くないよ先輩!」
『そーだそーだ!!!』
黙らっしゃいッッッ!!!!!!!!
「お黙り! 罪は赦される為にあるの、だから私は許すわ!!! 綾ちゃんの罪を全て、ね!」
『だったら蠍飼育の件も許して下さいよ!』
「ソレはソレ! コレはコレ!!!」
『カッチーン! だったら私も主の罪を此処でゲロります!!! ゲロってやりますよ!!!!!』
こうして……次のターゲットはめでたく、オレになりましたとさ──はぁ〜、マジやってらんね。ペッ!
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