焼肉事変 2
『──つまり、あの雌を……』
「綾ちゃんな。社長は良いけど、綾ちゃんの雌呼びは辞めなさい、メッ!」
お前、仮にも綾ちゃんと好き同士なのに……そういうアレな態度なのは駄目だと思うな、アティシ。
『あ、まだその勘違い続いてたんですね……』
「フッ( ´_ゝ`) 照れてるのか、キメラ☆」
『……もうソレで良いです。まぁそのメ──あ、アヤチャンを悲しませたくないから自分と入れ替われと?』
まぁ、そういう事ですわな!
だから──
「──サッサと服脱ぎな、キメラ。お前の服で、救えるオレの命があります!」
良いのか???
お前が服貸してくれなきゃ、オレはあの山盛りマシュマロを食すだろう。
そして、良くて再び入院だ。
もう一度訊く…………良いんだな?????
『もはや脅しですよね、ソレ?』
「さぁ? 何の事だか???」
──脅しなんてまっさかぁ〜〜〜! ね???
今回、オレとキメラの服装は違う。
なので、服さえ着替えてしまえば周囲にバレる心配は無いのだよファーハッハッハァッッッ!!!!!!!!
◆◆◆
……と、そう思ってた時期がオレにもありました!
座敷に戻るなり、早々に──
「──なぁぁにやってんのよ如月? アンタ何でトイレから戻って来たら服が変わってんの、手品???」
酒瓶を手にした社長に看破され絡まれたんだが、マジで言ってる??? 何でバレた?
くそ、フォローを頼もうにも……
──もっしゅもっしゅもっしゅもっしゅもっしゅもっしゅもっしゅもっしゅもっしゅもっしゅもっしゅ……
キメラは虚無顔で永遠にマシュマロを食い続けてるし!!! でもよく食えるな、アイツ。すげぇよ。
「美味しいですか、如月さん?」
『ウン、オイシーヨアヤチャン』
隣から無限に供給されるワンコ蕎麦と化したマシュマロに、完全なる棒読みでキメラは答える。
もう止めたげてよぉッッッ!!!!!!!!
てか、何で誰も肉を焼いてる隣でマシュマロを焼いてる娘にツッコマないの!?
それが優しさ、優しさなの!??
──え? 入れ替わり提案したお前が言うな???
いや、ちょっと何言ってるか良く理解んないです。
「ねぇ! 如月ったら、無視するんじゃないわよ。ねぇえッッッて!!! 構いなさいよぉ!!!!!」
そしてこの飲んだくれBBAめ。
さっきから頭をベシベシしてきたり、頬を引っ張ってきたりとやりたい放題しやがって……!
普段ならば、無言の関節技を仕掛けるところだが──オレは今、キメラなのだ!
故に、キメラがやりそうな事をしなければ。
こういう時……キメラなら──!
グワシッ──と、片手で社長の顔面を鷲掴み、
「──失せろ、雌」
『かひゅッッッ!』
一言、路傍のゴミにでも向ける様な目で告げる。
「如月さん!? どうしたんですか!!?」
『ゲホ、ゴホッ……い、いや何でもない!』
──? どうしたんだ、キメラ???
オレ、何か間違えたか?
お前、基本オレ以外にはこんな感じの対応だと思ったんだが──え、違った???
「………………ぇ」
ん? 社長???
そんなに顔を赤くして、目を潤ませてどうし──
「──ふぇ"え"ーーーーーーーーーんッッッ! ぎざらぎぃ〜〜〜ギメラぐんがいじめるーーーッ!!!!!」
ΣΣΣ(°Д° )!?!!?
は、ぇ!? し、社長ッッッ!!?
ここまでお読み下さりありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ