分離
『ァあアアァぁアアあああァァ──ッッッ!!!!!』
影が咆哮する!
轟く雄叫び、影から発せられる衝撃波から……オレは再び転移を使用し距離を取る。
無論、引っ張り出した久保も一緒にな。
だが──
「──ぅ、うぅ…………ぁ? せん、ぱ、い?」
久保の顔色が悪い。
それにグッタリしている。まぁ、あの影の中に居てピンピンしてたら──それはそれで怖いが。
「まったく……漸く起きたか、寝坊助?」
「ぁ、はは──嫌味な、アラームのお陰で、ね……」
苦々しく笑う久保は、ふと表情を暗くすると──
「──その、ごめんね……先輩。僕、色々と意地になってて、認めたくなくて、いっぱい傷つけて……」
両手で顔を覆い、泣きそうな声で言ってくる。
………………うん?
「ごめんなさい……勝手にゲームもイジって、あんな化物まで──僕のせいだ………………全部」
──う〜〜〜〜〜ん????????
いや、あの……ゲームを弄られた事についてはね、オレもプッチン案件なんだけど──でもさ?
「はぁ〜〜〜ッ、久保……お前さ?」
思わず、極大溜息が出た。
「ッ──!」
それに、ビクッと身体を震わせる後輩。
「謝るよりも先に、『ありがとう』だろ。そこは」
「──え?」
それに……だ。
「寧ろ、謝らなきゃいけないのはオレの方だしな。けど、今は謝罪よりも先に……アレを何とかしなきゃな」
そう、目を向けた先には──中核を取られた痛みか、はたまた苦しみか、咆哮を上げ暴れ狂う影が一つ。
「──てなワケで、話はまた後でな久保。はい、お口を閉じて歯を食いしばってぇッ……大平さん、パス!」
「へ? ──きゃぁあああああッッッ!!!??」
「ふぇッ? ──ぬぉおおおおおッ!?!!?」
──ナイスキャッチ☆ Σd( ^ω^ )
付近をチョロチョロと飛んでいた大平さん(スレイプニルに騎乗)へと、久保を投げ渡す。
「し、心臓がッと、止まるかと思った……」
「──き、ききききき如月くん! 人をモノの様に投げるんじゃないッ危ないだろうッッッ!??!?」
久保を抱きしめた姿勢で此方を睨む大平さん。
「失礼な。ちゃんとソフトに投げましたよ」
「そもそも投げるなッッッ!!!!!!!!」
と、怒鳴られる。
──あーぁ……怒られちった。(ノ_< )
まぁ、反省は後だ後。今は──
「──じゃ、パラサイト……最後にデカいのいくぞ!」
『(これ、後でキメラに叱られるな……)』
あ、それと……!
「ヘイ、カモン悪魔! お前は今からオレの踏み台だ、いいな? どんな衝撃があろうと、動くなよ?」
『ッ〜〜〜♡♡♡ はい! ご主人様ッ♡♡♡♡♡』
──約束は約束だ。それを果たそう。
「パラサイト、ツイン超電磁砲!」
『(はぁ〜〜〜…………)』
「──悪魔に棘固定! 思いっきりぶっ刺してやれ、オレが許可する!!!!!」
『ひゃぅんッ♡ あッ、しゅごい……ニュルニュルが中に入って──ぁあッッッ♡♡♡♡♡』
『(言い方! はぁ、コレ終わったら休み取ろ)』
よし! コレで準備は完了した!!!
「じゃ、出し惜しみ無しの全力で──」
狙いを定める。
ごめんな、ミシャンドラ。お前も、無理やりオレと久保の喧嘩に巻き込まれた被害者なのに。
この詫びは、いつか……必ずお前に…………。
だから──今は、どうか眠ってくれ。
「──超電磁砲、発射ぁぁあああああッッ!!!!!」
双銃の銃口から、二つの黄金が放たれる……。
二つの光は、融け、混ざり……一つの巨大な黄金の光となって──真っ直ぐ、暴れる影へと飛んで行く。
『──ア"ァ"ああアぁァァッッッ……ぁア、ァ……』
光に呑まれ、影は、溶ける様に消失した。
……すまない…………ミシャンドラ。
「──オレの……せいで、すま、ない──ッ"!?」
ドックン──!!!!!
今まで以上に強く、心臓が脈を打つ。
ぐらり……と、視界が歪み──気持ち悪い……。
「かッ、は──あグッッッ!?!!?」
口の中いっぱいに、鉄の味が広がる……。
──ドックン、ドックン、ドックン…………!
鼓動の度に、肺から空気が抜けていくのに……息が、上手くすぇ──ッ!?
………………ぁ…………ま、ず……
「──如月ッッッッッ!!!??!???!!?」
ぅ、あ………………だ……れ…………?
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