VS ミシャンドラ 3
──私が僕になった、あの日から、
初めて……恋をした、あの日から、
……恐らく、僕は浮かれていたんだろう。
自分を理解してくれた人に出逢えて。
自分より上が居るという事実に安堵して。
自分は孤独じゃなかったんだって……。
そう──決めつけた。
あぁ、僕は凡人なんだ。
この人こそが、本当の天才なんだって──
──その人が、いったいどんな顔をしていたか碌に見もしないで……その隣を歩いていた。
笑えるよね?
自分が嫌だった事を、僕はその人にしてたんだ。
居心地が良い──そんな理由で。
──僕は……作り笑いを浮かべていた彼の、その人の、先輩の、心の悲鳴に気付けなかった。
■■■
…………ふむ?
『どうした!? その程度かッ!!?』
『→○☆●↓↓*◆◆○!!!!!』
変態の腕が、あの人影を弾き飛ばす。
人影は直ぐに体制を立て直し、再度、攻撃に転じるが……う〜〜〜〜〜ん?????
──違和感があるな?
確か、キメラの話では……不具合の影響で、攻撃が見えない何かに弾かれていて効かない。らしいが……
…………アレ、衝撃までは消せて無くねぇか?
そも、衝撃消せてたら、吹き飛ばされないだろ。
超電磁砲の時も、ダメージこそ無かったが……後退はしてたよな?
よし──試してみるか……!
「──久遠、ちょっと良いか?」
「はいッ!? な、なんすか先生!!!??」
戦闘中の久遠を呼び止め、告げる。
「ちょっと、このアイテムをあの影の足元にポイッして来てくれない? 上空からで良いから……」
「は、はぁ?」
「隙は作る。じゃ、よろ!」
アイテムを久遠に投げ渡し、パラサイトを銃型に変化させ……さて、弾幕ッ弾幕ぅ♪
──ミニガン二丁はテンション上がるなぁ!!!
あ、せや……ッ!
「パラサイトくんや、君、着弾したらさぁ──」
『──(また厄介な事を……はぁ、やるか)』
「キメラ! あの影が回避したかどうかチェックしといてくれ、頼む!!!」
『了解です、主!』
キメラの身体が解ける様に崩れ、霧散する。
さて、やりますかッッッ!!!!!
ジャキンッ──と、両手ミニガンという頭オカシイ装備を構え、身体を安定させる楔を数本地面に穿つ。
はいッ、では良いですね!?
……行きますよぉーーーーーッッッ!!!!!
「変態、避けろ!」
『──ッ!!!!!』
タマが大きく翼を広げ、上空へと飛翔する。
──瞬間……タマによって遮られていた影と、オレの視線が交わる!
今だッッッッッ!!!!!!!!
引き金を………………引く!
途端──まるで飛行中のヘリコプターのプロペラ音みてぇな轟音が鼓膜を震わせ、目の前を閃光が弾けた。
腕から大きく振動が伝わり、それが身体中を駆ける。
もう、腕が! 最早、痛いとかのレベルでは無いくらいに痺れてヤバい!!! 振動もエグい!
──だが、それが、どうしたッ!!?!?
その程度でトリガーハッピー拗らせたオレが止まると思うなよ!!? あばばばばばばッッッ!!!!!
火力と弾幕は正義だってウチの母さんも言ってた!
閃光が弾けると共に……無数の弾丸が、影に向けて一斉に放たれる!!!
──だが、やはり影はビクともしない。
躱している様には見えない。当たっている。
と、いう事は……まぁ、効いていないんだろう。
うん。大丈夫、ちゃんと理解ってたから。大丈夫大丈夫、心のダメージは少ないから! まだ、やれる!
「──パラサイトッ!!!!!」
『(合点承知よ!)』
『☆*!? ●□←↓!!?』
驚いたのか、影が咆哮する!
影に弾かれ、地面に落ちた弾丸……ソレが溶け、混ざり──まるで水流の様に形を変え、影に纏わり付く。
ふっふっふ──それだけじゃ終わらんよ!
「硬化しろ、パラサイト!」
──瞬間。
影に纏わりついていた、鈍色の水流が一瞬にして固まり……影の動きを封じる檻を形成した。
「今だ! 久遠!!!」
「──はい、先生ッ!!!」
久遠が例のアイテムを、影に近い地面に投げつける!
……コッ!
アイテムが地面に触れ──カッッッッッ!!!
視界が……純白に染まる。そして……!
──ォオオオオオオオオオンッッ!!!!!!!!
轟音に空気が震え、爆風が巻き起こる!!!!!
『@%〆●↑!!?!? ッ──!??』
地面に固定され、逃げ道の無い檻の中……
爆発の……その衝撃波の直撃を受け、影は悲鳴にも似た咆哮を上げたッ!!!
◆◆◆
「あの……先生? あのアイテムってまさか──?」
「ん──爆薬だけど???」
・
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・
「「──爆薬ぅッッッッッッ!!?!!???」」
久遠と鈴木が声をハモらせる。仲良いな、お前ら。
「何考えてるでござる境夜たん!? アレ、女の子! しかも境夜たんの後輩でござろう!!?!?」
「そうでござるよ? ──で???」
……それが何か?
「先生、さすがにソレは酷すぎn──」
酷い……酷いねぇ???
「──久遠、あと鈴木さんも……アレ見て、まだそんな事を言ってられます?」
そう、オレが指差すのは……あの影だ。
身体の所々から黒い靄を出しながらも、相も変わらず──その空虚な目で此方を見ている、あの影。
「──爆発無効、爆風ですら効果は薄い」
そして何より……あの影は──
──『再生』している。
噴き出した靄が、再び影に融けてゆく。
「嘘でござろう……?」
「マジかよ……!?」
はぁ──と、溜息が出る。
「正攻法ではやっぱ無理っすね! キメラ、あの影は回避行動をしていない。そうだよな?」
そう問うと、蟲の群れが集まり……
『はい。直撃でした』
平然と、キメラは告げる。
「はぁぁ……大人しく社長が戻るのを待つか。まぁ、攻撃を弾く大まかな範囲と足止め方法は理解った」
ワンチャンいける!? と、思ったが仕方ない。
──なので……!
「特殊勝利(社長の帰還)まで、とりま耐久戦を頑張りましょっか♡」
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「(強引な手段を用いたがダメだったか……らしくないな。全く。もう少しだけ、耐えてくれよ──)」
オレは──お前にまだ、言わなきゃいけない事があるんだからな!
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「うわ……ホントに居た!!! え、なに!? アイツって預言者か何かなの? エッ、怖ぁ……」
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