VS ミシャンドラ 1
──痛かった。
オレ達とはデキが違う……。
アイツは天才だから……。
そう言われる度に、痛かった。
僕だって、君達と同じ人間だ。
ホントは勉強や運動だって嫌いだ。
それでも、何もせずに嘆きたくはなかった。
──だから、『努力』をした。
それを……誰も認めてはくれなかったけど……
いっその事、努力なんてやめようと思ったけど、
──失敗して、出来なくて嘆くのなら、それでも自分は精一杯やったんだと胸を張りたかったから……
白黒の世界の中で、僕は努力を続けたんだ。
■■■
──拝啓、お父さん、お母さん。
色々、詳細は省きますが……今、僕は結構やべぇピンチを迎えています。
いえ、ちゃんと理解っています。
僕は前回──
──鉄拳制裁をプレゼントだの、
──覚悟しておけッ(キリッ)だのと宣いました。
はい。大丈夫です、ちゃんと記憶はあります。
でもですね? この世界には、理想と現実ってあるじゃないですか???
僕はいま、その現実クンにボコられています。
はっきり言って、心が折れそうです。
そりゃあ、僕だって後輩を救いたいですよ?
こんなオレを慕ってくれてるし。
アイツの努力を知るオレからすれば、何とかしたいな案件ってヤツなんでね?
でも、強すぎるんですよ。アイツ。
ほら、今だって──ッ!
『──◆↑→? &☆●〆▽↓↓!?!!』
「いッ!? パラサイト、シールド!!!」
人外語発しながら、巨大な人影の姿になった久保が片手を細剣に変化させて突進してくる!
──ズガンッッッッッ!!!!!!!!
何とか、パラサイトの形態を盾に変化させて防ぐが痛い。そして、重い……しかもっすよ?
──ズガガガガガガッッッッッ!!!!!!!!
そこから、まさかの連撃を入れてくるとか……ちょっと良く理解んないっすね!?!!? 痛いって!
もうね、鈍痛で腕が逝ってんのよ!
大体、何この盾の音! 普通さ、連続できる攻撃って軽いイメージじゃん! カァン……とかじゃん!!
なに? ズガンッッッッッ……て???
なに? ズガガガガガガッッッッッ……て???
もはやドリルでコンクリに穴空ける時の音だよ?
そんな音、細剣で出して良いと思ってるの?
重い、痛い、速い──って、ナメてる??? そんな攻撃設定してみろ、一瞬で炎上ぞ?
ゲームは! バランスが! 大事なの!!!
「──この! パラサイト、盾を維持しつつ超電磁砲いくぞぉ!!! 楔セット! 銃身固定!!!」
『げぱ?』
(大丈夫か?)
「間違いなく腰ヤルけど構わん! 発射ぁーーー!!」
左腕の大盾で攻撃を防ぎつつ、右手の巨銃で──喰らえ! ゼロ距離レールガンッッッ!!!!!
カッッッッッッッッ──!!!!!!!!
光の束が放たれるのと同時に……
「っ"……ッッッ!!!!!」
衝撃で吹き飛ばされそうになるのを楔と気合いで耐える。頑張れ、オレの腰。イナ●ウワーはするなよ!
「ッッ……はぁッ、はぁぁッッッ──!」
やがて光が収束し、衝撃も収まってくる。
大きく息を吐き……忌々しく思いつつも、現実を受け入れる為に眼前に目を向けた。
『──? #○★□↑?? ☆↓』
其処には、影が立っていた。
オレとの距離こそ離れてはいるが、傷らしい傷も無く、ただ空虚な穴の様な眼を此方に向けている。
「無傷、か……避けたか、それとも効かないのか」
──あぁ、再生とかも考えられるな。
避けたとすれば瞬間移動か。もしくは、それに近い超スピードで移動したかだが……?
なんせ、パラサイトを寄生させた状態の本気のオレの目で捉えられないのだから。はぁ、地獄だな。
だが、その場合はまだ『希望』がある。
考えたく無いのは、そもそも効かなかった場合。
超電磁砲を真正面から喰らい、吹き飛ばされたが一切ダメージが無かったパターンだ。
え? そんな事があるのかって???
──ありますよ! 不具合によるモノならね!!!
この場合、今のオレには打つ手が無くなる。アイツの攻撃は効き、此方の攻撃は効かないのだから。
手の出しようが無い。マジ無理ぽ案件だ。
そして──
「──いつまで寝てんすか? 鈴木さん、舎弟」
そんな状況で、コイツらを庇う余裕は無い。
「ッ──無敵が効かないとは、チートでは……?」
「ぅ……す、すみません、先生……!」
「チートよりタチが悪いっすよ、不具合なんで」
チートの方がまだお行儀が良いぞ〜?
まぁ、今回の場合……チートの副産物なワケだが、あの不具合は。 あれ? なら、どちらも一緒か??
──ま、ええわ。考えてもしゃーないし。
「気絶してる場合じゃないっすよ。アイテムは無制限、能力時間も無限、ステータス大幅上昇中……」
ニヤリと笑い……二人に告げる。
だがまぁ、結局のところ──無意味だろうが何だろうが──やる事は変わらないッ!
「──なので、この不具合だらけのレイドバトルに最後まで付き合って下さいよ。ちな、討伐報酬アリで!」
「ハハッ! 良いでござるよ!!! こんな無茶苦茶なレイドの報酬……楽しみでござるな!!!!!」
「ああ! やってやるぜ──ちな、打ち上げは焼肉が良いっす!!! もちろん、先生の奢りでッ!」
「フッ……良いだろう、幾らでも奢ってやる!!! それじゃあ──行くぞッッッ!!!!!」
結局のところ──押し通るまでよ!!!!!!!!
■■■
「──アイツら、大丈夫かしら? はぁ、それにしてもホントに居るの??? 『おつかい』まで頼まれちゃったし……居なかったらどうしましょ?」
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