電撃戦 3
「──いま猛スピードで何か飛んで行かなかった?」
「はて? 気の所為ではござらんか???」
「ん? 彼処、まだ敵が群れてますよ! よし行くぞ、バハムート!!!」
■■■〜〜〜久保邸付近 上空〜〜〜■■■
……驚いた。まさかカチコミに来たら、逆にカチコまれるとは──うん。何言ってんだろうな、オレ?
『ご主人様、撃ち落としますか!!?』
何でお前はお前で、ちょっと嬉しそうなんだ?
「──いや、いい。いいって! やめろ!!!」
そのブレス発射前のキュインキュインチャージはやめなさい! いいって言ってんだろ、変態!!!
「童ぃッ、貴様の指示かコレは!? 事と次第によっては容赦せんぞ!!? 戦s──ん?」
ふと、何かに気付いた様子で、ジッ、と顔を見つめてくるオジ様。
「──貴様……どこか見覚えが…………?」
んまッ! 素敵なオジ様にそんなに見つめられると、流石の私もテレちゃうわ☆
「一見すると天使とも見紛うその人の良さそう顔……じゃが何処か闇というか、見てはいけない奈落を覗いているようなこの感じ──まさかっ!?」
うん。待って?
オレ、そんな風に見えてんの???
キメラと変態も、頷かないでもらえます?
「まさか──境ちゃんか!??」
「………………はい。お久しぶりです、親父さん」
オレ、久保の親父さんからそんな風に見られてたんだ。かなりショックなんだけど……。
「おーおー、そうかそうか! 大きく──いや、なんかだいぶ小さくなったのぅ境ちゃんや!」
──アナタのお子さんの所為ですけどね!
とは、流石に言えないので……、
「はは、まぁ……色々ありまして」
適当に言葉を濁しておこう。
あれ? でも、確か夏の時に久保が──
「親父さんの方はお元気そうで……久保からは、その、病が末期だと伺ってましたけど──?」
そんな風には全く見えないんだが……え? オレ、もしかして騙された??? 心配したのに。
「いやぁー、一時期はもうダメかと思っておったが──ピー子のお陰で今はもうすっかり元気じゃわい!」
快活に笑う親父さん。
だが……ピー子is誰?
そんな事を考えていると──
『ピー子じゃありません。カラドリウスです』
親父さんの肩を足で掴んで飛んでいる白く大きな鳥……カラドリウスは不服そうに告げる。
あ〜、なるほど……カラドリウスのスキルを使って………………………………え???
待って? と、いう事は…………?
「親父さん、まさかカラドリウスのアレを飲──?」
「おう! めっちゃツブツブしておったぞ!!!」
………………………………ぉ、おん。
ま、まぁ? 本人が良いのなら、それで良い、のか? え、でも……久保が飲ませたのか、それ?
飲む方も凄いが、飲ませた方もスゲェな???
でも、うん。親父さんが無事なら良かった……のか?
「ところで境ちゃんはいつ清香と式を挙げるんじゃ? 子の予定は? 早く孫の顔が見たいのぉ!!!」
「──ブフッッッ!!!!!???」
はぁッッッ!!? し、式って? それにま、まま孫だと!? この人、まだ諦めて無かったのか!??
■■■〜〜〜side:久保〜〜〜■■■
『──キィェエァアアアアアアアッッッ!!!!!』
「うるさッ!? もうホントに何コイツら!!?」
ステータスすら表示されない……モンスターじゃないのか…………コイツらは!?
『げぷぉおおおおおおおおおおおおッッッ!』
『──くッ! 炎が呑まれただと!? 更に巨大に……成長しているのか!!?』
向こうのスライムも厄介だ、モノを呑み込み、溶かし、そして吸収して成長するだなんて……!
「くそ! コイツ、また再生しやがった!!! 若、いったいどうすればッ!?」
「あ"ぁ耳栓がぁぁ──あ°」
「また一人やられた! 叫びながら的確に耳栓抜きに来るとかアリかよクソがッ!!!」
マズい……早く何とかしないと!
あのスライムに生半可な攻撃は通用しない。
切っても直ぐに再生するし、逆に溶かされるからコッチの被害がデカい。物理以外の攻撃も呑み込まれる!
凍らせてみるか……?
「──ふぅ。地上を観ながら飲むお茶うまッw」
「ほらほら、ガンバッ! で、ござるよw」
「一応ブレスの準備しとくか。バハムート」
いや、おそらく凍らせても上空にいる連中が直ぐに氷を溶かしてくるだろうから意味が無い。
──つーか、マジで腹立つな社長。
いったい何時の間にこんな戦力を……?
『キェエエエエエエエエエエエエイッ!!!』
「ああもう煩いッ! 登ってくるな!!!」
ホントなに!? この植物モドキは!!?
身体をよじ登って来ていた植物モドキをスライムの方にぶん投げてみるが──
『げばぁ?』
(気を付けるんやで?)
『アザァァァアアアアアスッッッ!!!!!』
──何でアイツは呑み込まれ無いんだよ!!!
その間もワラワラ、ワラワラと……大きさ30センチほどの植物モドキ共が群がってくる!
クソが──!
「きゃー! こっわーーーぃ!!!」
「もはやホラーでござるなコレ!?」
「オレだったらチビってるかもしれないっす」
ぶっちッーーーーー( #^∀^)ーーーーんッッッ!
──随分と余裕な高みの見物だね、社長……先輩の腰巾着、いいや……金魚のフンめッ!!!!!
ワラワラと群がっている植物モドキを一匹掴み、
「くらえ、この金魚のフンがぁーーーッ!」
思いっきり──社長目掛けてブン投げる!!!
「──おわッ!? あっぶないわね、あと誰が金魚のフンよ誰が! って、あら……この子、よく見ると」
『すぅぅ……キェエエエエエエエエエイッッ!!!』
ナイスキャッチからの、奇声をくらえ!!!!!
「──うるさッッッ!!?!!???」
『──ミ"ィッッッ!??』
「ちょっ!? ワイバーンちゃんッ!???」
ん? 社長達……もしかして…………???
「ちょっと社長!? 貴女どこ行くの!!?」
「いやワイバーンちゃんが混乱して制御が──!」
「このままだと墜落るっすよ、女社長!?」
ふーーーん……成程ねぇ???
──自分達でも制御出来てるワケじゃないんだ。そっかぁ、いや、そうだよね? 社長だし。
「バアル、スライムの相手はもういいよ。下がって」
『む。何か思い付いたか、主よ?』
「──ああ、最高の策がね!」
そうだ、そうだよ。相手は社長だ。
難しく考える必要はそもそも無い。何を警戒していたんだか、まったく恥ずかしいな。
──一番警戒しなくちゃいけない相手は、もう捕らえているって言うのにね!!!
「そうと理解れば……出て来て、クロノス──あのスライムの時を停止めて!」
『──ッ!』
クロノスの大鎌が地面を穿つ!
『げぱぁあああああッッッ──?!』
ほぼ同時に、まるでその大鎌に時を縫い付けられた様にスライムが動かなくなった。
──先輩が居ないのなら、クロノスを温存しておく必要はそもそもとして無い。そして……、
「全員! その奇妙な生物を捕まえて、空を飛んで高みの見物をかましてる連中にぶん投げてやれ!!!」
「「「──応ッッッッッ!!!」」」
この奇妙な生物をそのまま返してやるよ、社長!
──自らの策に溺れて自滅しろッ!!!
ここまでお読み下さりありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ