アップデート
次回、5月24日の投稿は私用の為お休みさせていただきます。
次回投稿予定は5月27日ですm(_ _)m
■■■〜〜〜バージョンアップ〜〜〜■■■
「──あ、アップデート!??」
「Yes、アップデート!!!!! アプリ、バージョンアップ Yeah☆ Σd( ^ω^ )」
いや、マジで頑張ったよオレ達……。
「マジっすか境夜たん!!?」
「ふッ──マジっすよ! それも今回は、此処に集まっている皆様のみに先行配信とさせていただきます!」
「「「──な、なんですとッッッ!!?!?」」」
「そ、それは胸熱では!?」
「それはもう胸熱っすよ! 新たなアイテムと状態異常の追加、新スキルetc──」
「「「──ふぉおおおおおッッッ!!!!!」」」
「他プレイヤーよりもちょこっとだけ先に……体験、したいでしょ?」
「「「──したーーーーーいッッッ!!!!!」」」
「ふっふっふ! その願い、叶えてy──」
「──え? でもそれ大丈夫か??? 元からバグの有るゲームをイジったりして?」
「………………。」
壊れたり、バグが深刻化したり、モンスターを召喚せなくなったりしないか?
と、田中は問う。
そして、その言葉にワイワイと騒いでた奴らは途端に凍り付いた。
ぉ、おぉん……まさか田中が其処に気付くとは……。
偶然か? それとも本能的な???
「確かにね……そこんトコは如何なの? 如月???」
固まってしまった連中の代わりに、社長がそう問うてくる。問うて、きちゃうかぁ〜。
「………………。」
それに──と社長は付け加える。
「──アンタらしく無いわ。如月、アンタこういうのは公平にやる派でしょ? これじゃあ不公平じゃない」
不公平……不公平か。
「──そう、ですね。はい。普段なら、絶対にしませんよ。するワケが無いでしょ、こんな堪らないこと」
口から、苦笑と共に言葉が漏れる。
……勝つ為なら手段を選ばない。
使えるモノは使い、利用し、勝利をもぎ取る。
一人対多数、即死アイテムにレベルの暴力。
狡いと言われようが勝てば良い。ただ、それは──
「──同じ土俵の上で。アイツがそうであれば、絶対にしなかったでしょうね……断言できる」
ただ、アイツは──久保はそこから外れた。
「──アプリのメインサーバーに裏口を仕掛けて、アプリそのものを、モンスター達すら乗っ取った」
それはもう……
「……それはもう、同じ土俵の上では無いでしょう?」
社長の、千尋さんの方へと目を向けて問う。
「え!? そんな事したんでござるか、あの子!??」
「──したんでござるよ。故に、オコでござる」
割り込む鈴木にそう返し、自身の心情も吐露する。
「成程。簡単な話、同じ土俵に立つのならアンタもそうする。けど、同じ土俵に立つ気が無いのならアンタも同じ土俵には立たない。って、事ね?」
「まぁ、要約するとそうですね」
公平には公平を……。
不公平には不公平を──つまりは、チートにはチート紛いの行為を……そういう事である。
「はぁ、それなら良いわ!!!」
「ッ……!」
「相手が不正をしたから、アンタも不正紛いの行動をするだけだもの。要するに『同じ』って事よ!」
ならばOK! だと、千尋さんは言う。
「不正によって帳尻を乱されたから、不正によって帳尻を強引に合わせる。それだけの事でしょ?」
そう、千尋さんは豪快に笑う。
──ぅ、うぅん? その例えは如何なモノか……。
「あ、でも久保とのいざこざが終わったらちゃんと全プレイヤーにするのよ? バージョンアップ!」
そ、それは勿論するが……。
「あと、ティアマトちゃん達にも異常とか出ないわよね? 召喚出来なくなったら泣くわよ、私?」
あ、田中の質問に戻るのね……まぁ、でも。
「それは重々注意してますよ。それに──」
サブのスマホを弄り、アップデート済みのアプリを起動し……事前に移しておいたキメラを召喚する。
『ん? やっと出番ですか、主!!!』
「ああ、待たせて悪かった。身体に異常は?」
『──ありませんよ! 調子も万全です』
胸を張り、そうドヤるキメラくん。
まぁ、久保に強襲かける前に、念の為、移しておいたから理解ってたけどね?
久保が色々やらかしてるのは、夏の一件で気付けたし。
その時点で、準備をしていましたとも!
まぁそれでも──田中が言った通り、バグってるモノを更に弄るなんて下手をすればゲーム自体壊れる。
バグが深刻化して、ワケの分からん事が起きる可能性だって確かにあった。
だから、出来うる限りしたくなかったのだ。
ただ……アプリのメインサーバーに裏口をセットされ、恐らく其処からウィルスを流されて乗っ取られた。
その時点で、バグにウィルスという手が加えられた。
つまり……もう弄ったも同義だ。
それなら──良いよね?
……って事で、踏み切った。
幸い、異常も見られない。
今後も注意して見ていくが、一先ずは、安心して良いだろう。
「──と、モンスターは言ってますけど……どうですか? 田中、千尋さん?」
なので、オレもドヤりながら告げる。
マジでありがとう。技術部、それにドワーフよ。
──我らの夏の悪夢は、無駄では無かったぞ!
◆◆◆
「そう言えば……何でアンタ、バージョンアップさせたデータで戦わなかったのよ?」
オレと技術部とドワーフの、血と汗と愛と努力と金の結晶をアプリへと注ぎ込んでいる最中……
…………ふと、社長は問うてくる。
「ふむ! それは確かに……公式がチーターに負けるとは到底思えないでござる!!!」
と、鈴木まで便乗してきた。
周囲の連中も、待つだけなのが退屈なのか好奇心からか、オレに目を向けてくる。
──まぁ、要するに語れという事だな。把握。
「はぁ。それはまぁ、オレが甘かったからですね。正直、セキュリティも強化してたので油断したんです」
「──ほぅ! 境夜たんが油断とな!?」
「確かにアンタ、心許した奴には甘いものね」
あーはいはいそうですよ! その通りですよ!!!
「夏の一件もあったんで、ワンチャンそれに懲りて真面目に戦うかなぁ〜? って、期待してて……」
「あー……(察し)」
「同じ土俵で戦り合おうとした……と?」
ッ〜〜〜そうですけど!? もうホントに当時の自分の甘い考えを恨むわ!!!
「──そしたらアイツ、更に強化したウィルスを裏口から侵入させたのかアプリのメインシステム自体を乗っ取ってきて……召喚したモンスターは即乗っ取られ、アイテムは使用不可! オレにどうしろとッ!?」
「「「うわぁー、キッッッツ……」」」
オレでもしなかったよそんな鬼畜プレイ! それをして来やがったからね、あの後輩は!!!!!
「まだ移してなかったモンスターも、今はどうせ久保のスマホにナイナイされてるでしょうよ。ケッ!」
「先輩が先輩なら、後輩も後輩ね……」
「容赦なさ過ぎだろソレ……」
いや、もうホントにサブスマホに一部とは言えモンスターを移しておいて良かったよ!
じゃなきゃ間違い無く萎えてたね!!!
「いやもう笑いましたね! 自分の甘さを呪うと共に、いくら可愛い後輩でも許せん!!! ってね!」
「それは……そうなりますね」
「私ならキレてるわ。ソレ」
もうアイツには容赦の「よ」の字もかけん!
「オマケにこちとら徹夜でアプリのメインサーバーとシステムをクリーニングして、サーバー自体も別のに移し替えて、セキュリティも一から組み直してそれでも飽き足らずテンションの赴くままにダミーのシステム立ち上げて久保の裏口を丁寧に移しといてやりましたよザマァみろアッハッハッハァァッ!!!!!」
「あ、如月が壊れたわ」
「それを一夜でやったのか君は!?」
「マジ尊敬しますわ境夜たん!」
──人間にはな、不可能な事なんてなっかなか無いんだよ! やってみれば案外出来るモノだ!!!
「ちな、ダミーの方はモンスターもアイテムも出せませんのでご安心を……久保ざまぁーーー!!!!!」
ま、それでももうお出しされてる分はどうしようも無いけどね☆ モンスター然りアイテム然り……。
な・の・で──
「──でも、アイテムとモンスターによる数の暴力はマジでキツいんで助けて下さいお願いします!」
と、オレは何とも華麗に土下座を決め込み、そう頼み込むのであった。
ここまでお読み下さりありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ