え? MA・MA???
■■■side:社長/08:00/フロント■■■
「──ふっふふ〜んふ〜〜〜ん♪ 皆んな、おっはよ〜〜〜う! 今日も一緒にお仕事がんばろぉ〜!」
さぁ〜、今日も楽しい楽しいお仕事の時間がやって来たわ! ま、仕事をするのは──佐藤一号と二号、あと三号だけどね☆
サボってた分、たっぷりと働いて貰わないと!
──え、私? 私は優雅に社長室でお茶をシバいたり、あとは書類に判を押したり、オシャレについて調べたり、ゲームしたりね!!!
ま、佐藤三号に至っては、
『本日から仕事に戻らせていただいても宜しいでしょうか? ご迷惑をお掛けして申し訳ありません』
って、連絡来たからビックリしたけど……ふ、漸く私の偉大さに気付いたって事かしらね!
「「「………………」」」
──と、いうか……どうして皆んな、無言なの?
いつもは完璧な作り笑いで挨拶してくれるのに、今日は何というか……こう、汚物でも見るような……?
え、なに? 私、何かしちゃった???
……あら? というか、あらあらあら???
皆んなが集まってる所、その中心に誰か居るわね?
それも、子どもが……顔も整ってて、将来は美人さんになるわね。う〜ん、女の子かしら?
それとも男の子? いえ、それより──
大変に今更なんだけど──どうして、此処に子どもが居るのかしら? 誰の子???
『──ニャア! ニャォォン!!!』
え? …………猫、何時の間に???
私の足元で行儀良く座り、毛並みの良い黒猫は何かを呼ぶように鳴き声をあげる。
「──ッ!」
その時、子どもがクルリとその愛らしい顔を私へと向けると……ニヤリ。
──ッッッ!? 不敵な笑顔を此方へと向けて、
「あ! ママ!!!!!」
天使声で告げながら、駆け寄って来る。
何かしら、今、物っ凄い悪寒を感じたんだけど? それにあの笑みは、まるで如月──
──いえ、待って? MA・MA!?!??
◆◆◆???( ゜д゜)???◆◆◆
ママ……まま、魔々──MAMA???
「ママぁ〜〜〜!」
愛らしくも甘い声で私をママと呼び、抱きついてくる子ども……可愛いけど──
「──産んだ覚え無いんだけどッッッ!?!!?」
混乱って、つい大声が出ちゃった……。
「──ぴぃッ!?」
と、小鳥の囀りの様な悲鳴をあげる子ども。
それと同時に──皆んなの私を見る目が、その、生ゴミ……いえ、もっと蔑みを含んだモノになった。
「──社長…………子ども居たんすね……」
「それなのに……日々、オレ達にアプローチ掛けて来てたとか控えめに言っても、その……」
「やだ。不潔…………触らないで!」
と、男性陣には言われ──
「──社長、最低すぎ」
「ないわ〜」
「あれ? でも、相手だれ?」
と、ギリ聴こえる声で陰口をヒソヒソ、コソコソと叩かれる。
「ま、ママ……ぶふッw」
ねぇ、今、このガキ笑わなかった?
しかも、私に抱き付きながら「信用無さ過ぎw」って小声で言ったわよ? 絶対言った!!!
美形、だが顔に見合わず毒舌、私を貶めてめっちゃ喜ぶ……このガキ、まさかッッッ!?
ガバッ──と、通称「高い高い」を披露し、その顔をよぉ〜〜〜く見る。確認する! 見定める!!!
…………似てる、わね……如月に。
風穴が空きそうな程確認して、一つの結論に至る!
「──アンタまさか…………如月?」
と、常人なら「何をバカな事言ってんだ」と笑われるだろうけども!
似すぎてるのよ……この子どもは!!!
疑い6割、まっさかぁ〜4割……さぁ、答えは!?
「──何だ、もうバレたんですか。つまんな」
先程までの天使声とは違い、少し高いが、如月っぽい声で子どもは心底つまらなそうに告げる。
その表情もスンッとした無表情であり──さっきまでの愛想の良い笑顔は何処にやったのよ、アンタ?
いえ、そもそも──
「──何で子どもの姿になってんのよ!? それ、私もいける!!? あの頃のツヤツヤ、プルプルのお肌を取り戻せるの!? どうやった、言え! 吐け! お教え下さい如月様ッ金か!? 課金すればエエんか!?」
なんて羨ましいッ!!!!!
そのプルップルのお肌が、張りのあるツヤツヤなお肌が! う"ら"や"ま"し"い"〜〜〜ッッッ!!!
──え? そんな事より何があったか訊けって???
黙らっしゃい尻の青いガキ共めが!!!!!
アンタ達には理解らないでしょうね!? 日々、衰えていくお肌の恐怖が!
ケアをしないとマジで一瞬なの! 一日、一日がもう恐怖でしか無いのよ!?
──その気持ちが、アンタ達に理解るかぁーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!?!?
その恐怖が消えるのなら……!
あの頃の輝きを取り戻せるのなら……!
私は悪魔にだって魂を売るわッ!!!!!
『──マァオ……カァ〜〜〜!』
と、私の足元で欠伸をする黒猫。
……何なのかしら? この仔は???
人懐っこい仔ね?
「──ま、一先ず社長室にでも。この姿だとエレベーターのボタンに背が届かなくて……」
「合点承知よッッッ!!!!!」
子どもの如月を連れ、エレベーターに駆け込む!
……何か、一緒に猫ちゃんまで乗ってきたけど……ミルクあったかしら?
フフフ──その若返りの秘密、社長室でじっくりゆっくり訊かせてもらうわよ。如月!
ん? 社員達に弁解しなくて良いのかって……?
そんなモン後でやれば良いの! 今はこっちよ!
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