幕開 乗っ取り
新章じゃい!!!
あいも変わらず、のんびりと投稿していきますので……ごゆっくりお楽しみいただければ幸いです。
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「──クロノス! オレの刻を加速させろ!!!」
「駄目だよ、クロノス。先輩の刻を静止させろ」
クロノスが手に持った大鎌を振り下ろした瞬間、ドズンッ! と、身体が重くなり、碌に動かせなくなる。
「──ッ!」
クソがッ!!! 『また』乗っ取られたか!
久保め、いったい幾つ裏口を設置したんだ!?
まぁ、兎にも角にもオレの『奇襲』は失敗したワケだが…………どうしよっかな? 冗談抜きで。
──ん? いきなりの急展開でワケが理解らない。どゆこと!? 早く説明しろって……???
エエで、オレも状況を整理したいし。
ま、簡単に説明すると──
よし、文化祭も終わったし約束通り攻めるか!
↓
「久保く〜ん、あ〜そ〜ぼぉ〜〜〜!!!」
↓
絶賛、弄ばれています……(´;ω;` )ぐすん
──以上です。え、質問? 受け付けるワケ無いだろ? そんな余裕、今はありません!!!
おかしいなぁ〜、キメラの一件からセキュリティ面はかなり強化したんだけどな〜?
あの後輩、それをブチ抜いて来やがったわ!
しかも、いくら閉じても次々と裏口を開けてくる。マジ泣きたい。泣いていい???
『──あはは! ごめんね、境夜!!! それぇ!』
うん、止めて?
笑いながら毒の鱗粉をぶっ掛けてこないで? ホントにごめんねって思ってる???
ねぇ、ウルトラ可愛いフェアリーちゃん……?
…………いやぁ〜、キッッッツいわ〜〜〜ッ!
裏口から、恐らく……キメラに付与して来たプログラムの強化版かな? を、流し込んで来るとか。
そんでもって、モンスターを乗っ取るとか……。
──ハッハッハッ! マジで言ってる???
まぁ、このゲームの制作は久保にも手伝ってもらってたからなぁ。そりゃ、改造も出来るか。
……………はぁぁ、仕方無い……か。
負けは負けだ。素直に認め……
「(……るとでも思っていたのか。CQCQ、キメラくん。聞こえますか? 撤退します。アレよろしく!)」
その瞬間──シュゥウウウ、とね。異音と共に、とあるブツが戦場に投げ込まれる!!!
フッ、そうさ……皆んな大好き煙幕パイセンだ!
古来より、怪盗やら悪の組織が逃げる時において重宝したとされる宝具。用意しといて良かった〜!!!
さてと──残る問題は、この毒と時間操作によってピクリとも動かない身体だが……
……任せたからな!?
要らん事だけはするなよッッッ!!?!?
──そんな一抹の不安を感じながらも……オレは意識を手放したのだった。
■■■〜〜〜side:久保〜〜〜■■■
……煙幕か。いったい誰が?
「フェアリー、吹き飛ばせ!」
『はいは〜い! そぉれ〜〜〜ッ!!!』
フェアリーを中心に旋風が巻き起こり、邪魔な白煙を瞬時に晴らす。が──
「──なっ!?」
思わず、声が漏れる。
…………先輩が……居ないッ!?
ッ、馬鹿な!? モンスターの制御権は奪った筈だ、そうじゃなければクロノスやフェアリーが僕の命令に従うワケが無い!!!
──だけど、さっきの煙幕の件もある。
まさか、協力者が居るのか?
だとすれば、それは誰だ???
──社長? それとも先輩を先生とか呼んでたあの舎弟くんか??? まさか、あの女の子?
ああクソッ! いったい誰が──ッ!?
『──主よ、考えるのは後にすべきだ。今は、元主を捕える事こそが先決だろう。違うか?』
「…………そうだね。ああ、確かにそうだ……ありがと、お陰で冷静になれたよ。バアル」
スマホを取り出し、各エリアに待機させていた子分達に連絡する。
『果報は寝て待て……と、言うが……待つつもりは無いのだろう? 主?』
「まぁね。先輩がいったいどういうトリックを使ったのか気にもなるし、此処で逃したら──」
『──どんな手痛いしっぺ返しが来るか理解ったモノでは無い……か?』
「ま、そんな所だね。この先輩のモンスター達はどうしようか? 協力させる???」
正直、あのプログラムには自信がある。
そして、あのゲームに作っておいた裏口からプログラムを先輩のスマホそのものに感染させた。
つまり、先輩のスマホで召喚されたモンスターの制御権は此方にある。
『ふむ……それも良いとは思うが…………此処は、先に餌の確認でもしてみてはどうだ?』
──え? 餌って……アレの!?
バアルが仕掛けておけって言うから、仕掛けておいたけど──いやいや、流石にソレは……。
「掛かってないんじゃないかなぁ〜?」
『まぁまぁ、モノは試しだ。さぁ、お前達も行くぞ!』
『『──はぁ〜い!/…………。』』
◆◆◆
「──スヤァ……( ˘ω˘ )」
「嘘でしょ先輩……?」
身代わりの可能性と、先輩を慕う感情からスマホを向けステータスを確認するが……出ない。
つまり──この、安らかな顔で安眠されている方はモンスターでは無く、人間だ。
そして、このべらぼぅに良い顔の人間を……僕は一人しか知らない。
顔の良さを、性格で全て台無しにしている彼だ。
その口からは、赤いモノがコンニチハしていた。
側には『プロテインケチャップ』と書かれた包装がされていた──良く眠れるケチャップの残骸……も、転がっていた。
「──嘘でしょ先輩……???(2回目)」
僕の努力って、いったい──???
『はぁ〜〜〜♡ ホントに何と欲望に正直な……さ、邪魔者が来る前に連れ帰るぞ! 主!!!』
「…………あ、あぁ……うん」
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「──おーい、若達が標的を確保したってよ! なんか仕掛けといたケチャップに掛かってたらしい」
「マ!? アレに!?? やっぱ若スゲェな!」
「ホントにな! どんな先読みしたらケチャップ仕掛けようってなるんだよ、やっぱ若は天才だな!!!」
「お前、若にソレ言うなよ。機嫌が悪くなるから」
「──え? ソレって???」
「天才って言葉だよ。若、その言葉嫌いだからさ……」
「おーい、そろそろ撤収するぞー!」
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『──行ったか?』
『ああ。それより、主の身体は???』
『問題無い。フェアリーの毒にやられていたが、治癒しといた。クロノスの時間操作もその内解ける』
『スマホは?』
『逃げるついでに叩き割っておいた』
『…………そうか』
『では、見つからない様……帰還するか?』
『──そうだな……だが、一応言っておくがマジではしゃぐなよ、パラサイト』
『応ともさ! ψ(`∇´)ψ』
『………………はぁ、不安だ』
ここまでお読み下さりありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ