契約
■■■〜〜〜心情〜〜〜■■■
──おっしゃッ何とか半々まで持ち込んだぞオラァッッッ!!!!! (`∇´)q シャイッ!
色々、大事なモノは失い掛けてるし……胃はキリキリと痛てぇけど、オレは意地でも生還してみせる!
一歩間違えれば、魔界で永久ランデブー!!!
そして、相手は最強の悪魔!
──悪魔の力によるゴリ押しを言葉と行動で完封し、残るは話術による交渉のみッ!!!!!
頑張れオレ! お前なら出来る筈だオレぇ!!!
──逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ(×∞)
■■■〜〜〜契約〜〜〜■■■
「(先生すげぇ、あんな化物に堂々と取引を……)」
「(これ、オレら要らなかったんじゃ……?)」
「(? あれ? 如月さん、ちょっと震えてる?)」
『──取引……?』
「ああ。と、言っても簡単なゲームみたいなモノだよ。さっき話してた契約の内容を少し変えないか?」
平静を装い、笑顔で告げる。
『…………? 契約の内容を変えるとは……どういう事です? ご主人様???』
興味を持ったのか、悪魔が問う。
「だってさ、このままだと君の願いは叶わない。さっきも言ったけど、それじゃあ面白くないだろ?」
笑顔を崩さず、呼吸を乱さず。
焦りや緊張を相手に悟らせず、淡々と会話を続ける。
「だから──もし、君がオレの願いを叶えられたのなら……オレは君の願いを全て飲もう!」
『──ッ!?』
悪魔が息を呑む。
そりゃあ、相手からすれば願っても無い申し出だろうし? オレも本当なら……したくない。
「君の城に永住しろと言われれば、そうする。所有物になれと言われれば、従うよ。何なら、悪魔らしく魂そのものでも求めれば良い──」
「──キー様ッッッ!!!!!」
ヒナちゃん先輩が切羽詰まった声で怒鳴る。
それだけで、「あーオレ、馬鹿な事言ったんだろうなぁ」と理解するが……ま、仕方無い。
取引で、相手にとって美味しい餌をぶら下げるのは必然。じゃないと、お話しにすらならないのだ。
『そ、それはつまり……ゴクリ。我が居城に永住からのと、共寝とかお願いしちゃっても?』
「エエで」
『な、ナデナデやお散歩、た、立髪のブラッシングもアリだったりします?』
「アリです!」
『なら──【不適切な発言】や【べらぼうにヤベェ発言】とか、そのまま【お前マジ止めろ…な発言】なプレイとかもアリなんですか!? どうなんですッそんなご褒美良いんですか!??』
おっと、いきなり良い子ちゃん達にはとてもお聞かせできない発言が飛んで来たな。だが──
「勝者には全てが与えられる! それが答えだ!」
──断言しよう! 構わん、やってやろう。とな!
『………………カハァッッッッッ!!!!!!!!』
何を想像したのか、悪魔は口から血を噴き出す!
そして──
「……カハァ! ず、ずみばぜん、ウチ、ぞの城の壁になりだいんでずげど、い、いげまず???」
ヒナちゃん先輩も何を想像したのか……鼻血を噴き出し、周囲が血の霧に染まる。
──( ・ω・)?
──( ・ω・)??
──( ・ω・)???
「いけません、帰って下さい、人は壁にはなれません」
そう心が穢れた女にツッコミながら、
……他三人は、どうかそのまま健やかに育ってくれ。その言葉の意味は知らなくて宜しい!
切に願う。
「ゴホン! その代わり、お前がもしオレの願いを叶えられなかったなら、お前の全てを貰う。どうだ?」
謂わば──互いが、互いの全てを賭ける。
と……簡単に言えば、そういう事だ。
『そんな事せずとも魔界に永住していただけるのであれば、身も心も全て捧げますがッ!!???』
口からボタボタと血を噴出させ、鼻息荒く言う悪魔。
「うん。それが嫌だから言ってんだよ!」
と、思わず突っ込んでしまうが……落ち着け、オレ。
ひっひっふぅ〜、ひっひっふぅ〜〜〜。うん、胃がキリキリする!!!(^ཀ^ )
◆◆◆
「──で? どうします???」
この取引という名の賭けに乗るか否か。
……さぁ! 決めてもらおうか!!!
『──ぬぐぅ……ご主人様が魔界で永住、ナデナデ、共寝、罵倒、ブラッシングetc……捨て難い! が』
「落ち着け悪魔! 相手はあのキー様だよ、絶対になんかあるに決まってる!!! 欲望に流されないで!」
……いの一番に欲望に流されて掌クルーを披露した女が何か言うとるわ。ホンット、ブレねぇな!
『ぬぅぅ…………!』
「キー様、幾つか確認しても良い!?」
必死の形相で問うてくるヒナちゃん先輩。まぁ、アンタはそういう人だよ。うん(^ཀ^ #)
「はぁ──まぁ構いませんよ」
ジト目をプレゼントしつつ、答えるオレ。
Q:契約の禁止事項はそのまま?
A:そのままです。願いを増やす、直接的な契約の破棄は禁止。なので、オレもソレは願いません。
Q:約束できる?
A:できます。
「──う〜ん……禁止事項は願わない。でも、あの余裕は何かありそうなんだよねぇ〜???」
『ふむ……我もそう思うがッ──あぅ♡ ご、ご主人様! い、いまナデナデはその……はぅんッ♡♡♡』
「んー、早く決めてくれないかな〜? 即断即決もできない愚鈍なビビり悪魔はいらないなぁ〜?」
──早く決めてくれ〜胃が痛い〜〜〜!
『はひッ♡ 直ぐにでも──!』
「待ちなって! キー様!!!」
「何です?」
ヒナちゃん先輩はジッと此方を見ると、一言。
ニヤリ、と不敵な笑顔を向けて言ってくる。
「この契約の中に──『悪魔を害する契約』も禁止って追加していい?」
「──ッ!」
そう、来たか……。
つまり──悪魔を害する願い、悪魔に死ね。とかは願えなくなったって事だ。
「アンタ! どっちの味方なんだよ!?」
「流石に軽蔑するぜ……先輩」
「ヒナちゃんさん……!」
と、三者三様に言われようが──
「──ウチは自分の欲望の味方だよ! 軽蔑? 好きにすれば良いよ、他人の評価なんて知った事無いし!」
タハハッ! と、笑い返す。
ま、それでこそヒナちゃん先輩だわ。自分の人生をどう歩むかは自分で決める事。
……他人を気にするだけの人生なんて退屈過ぎる。
だから、ヒナちゃん先輩の問いに、オレも答えよう。
「構いませんよ。他に、変更はありますか?」
──とな!
「…………いや。ウチはもう無いかな」
気にするまでも無い。
オレだって、自分の欲望の為なら平気で人を出し抜いたりもするんだ。
なので、文句は無い。
「──悪魔、お前は?」
『ッ! あ、いぇ……それで問題ありません!!!』
不思議そうにヒナちゃん先輩を見ていた悪魔に問えば、悪魔も問題無いとの事なので……!
「じゃあ、お前は取引を受け入れるって事だね?」
と、最後の確認をする。
『──はい……その取引を受け入れよう』
悪魔は言う。
……取引を受け入れる…………と。
瞬間──オレとヒナちゃん先輩の顔がニヤリと歪む。ふぅ、助かったわ。先輩あざっす!
「あ、そう──? じゃあ、お前が持つ全ての知識をオレにも与えてほしい。出来るか、悪魔?」
◆◆◆
『──は、ぇ……我が、知識を全て……ですか?』
「はい! 全てです!!!」
元気良く、お返事をする!
「──あちゃ〜! その手があったかぁ、やられちゃったねぇ変態悪魔!!!」
態とらしく、ヒナちゃん先輩が言う。
『やられた……? 別にその程度、我はかまわ──』
「──いいの? アンタ、ボロ雑巾みたいに棄てられる未来が確定しちゃうよ???」
『は?』
おっと、この悪魔マジで気付いてなかったのか。
「ンンッ! 悪魔さん早く知識頂戴よぉ〜、悪魔さんと円満に契約解除できる知識ほちぃよぉ〜〜〜!」
持ってんだろ、その知識も……?
契約を『結ぶ』手段があるのなら、必然的に契約を『解除』する手段も生まれるモノだ。
じゃないと、契約に背いた契約も解除出来ないし。
──禁止事項なんてモノも生まれて無いだろ。
オラッ、寄越せよ。テメェの知識全てをなぁ?
『な"──ッ!?』
まぁ、億が一にだがそんな方法が無いと言うならそれでも構わんぞ?
貴様からいただいた知識の中から穴を見つける。
──ただ、それだけだからなぁ???
「さて、どうする悪魔。オレのこの願い……お前は叶えられるか???」
オレの言葉に、悪魔は再び牙を鳴らす。
──オレの願いを叶えても、契約の穴を見つけられるor契約を解除される。
叶えなければ、悪魔の全てはオレのモノになる。
『──ッ、それは契約の破棄にあたるのでは?』
「それは違うな。オレの契約は『知識を得ること』だ。それ自体に契約を破棄する効果はない」
オレが言い終わるや否や、今度はヒナちゃん先輩もついでとばかりに言ってくる。
「それに、今回の契約自体──キー様に有利過ぎるって気が付かなかったの?」
『なにッ!??』
うん。まぁ、取引受け入れられた時に罪悪感を感じるレベルには申し訳ないな。って思ったよ。
「──だってさ、キー様の取引内容はアンタの願いを全て飲む。だったけど……」
「それに対して、お前は全てを差し出す取引だろ?」
『ッッッ!!?!?』
あ、気付いた?
願いを全て飲む……と、全てを貰う。のは、実は圧倒的なまでに差があるのだよ。
──ハッハッハッ、なぁ〜にが互いが、互いの全てを賭けるだ。クソ契約にも程があるわ!
「いやぁ、4割型悪魔の方に寝返りやがったこの女! と、思ってましたけどミスリードあざっす!!!」
「ウチもまだ殺されたく無いからね〜」
イェーイ! と、オレとヒナちゃん先輩は成功を喜ぶが──
『──ぬぅ、ぬぅぅうううううあああッッッ!!! 認めん、認めんぞそんな契約など!!!!!』
悪魔が、咆哮を上げる!
そして、グワシ──ッ!!!!!
巨大な腕が、絶妙な力加減でオレを捕える。
『えぇ、ええ! 存じていますとも契約を解除する方法を! 多少の代償は払う事になりますがそんなのもう知るかぁーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!』
■■■ドMゲットだぜ!!!!!■■■
「え〜、ここまで引き延ばしたのに契約しないの〜?」
『解除されると理解っている契約などあって無いようなモノです! それならこのまま力づくで──!』
まぁ、そりゃそうか……。
「はぁ、ここまで退路断ったりとか頑張ったのに」
『それはそれは──魔界に連れ帰りたっぷりと癒して差し上げますよご主人様!!!』
う〜ん……どうすっかなぁ。
「──先生!?」
「クソッ! やっぱこうなるのかよ!!?」
「如月さんッ!!!!!」
あららら、皆が心配しちゃってるわ!
──コイツぁ、いけねぇ!!!!!
「そうかぁ。お前の全てを手に入れた挙句、そんなお前を馬車馬の如く働かせてやろうと考えた罰かな?」
『──ふぁッ!?』
お、反応した。
「オレ好みに教育して、ボロ雑巾の様に使ってやろうと思ってたのに残念だなぁ……●●●●とか、■■■とか挙句には※※※※※とか、したかったのに」
『──※※※※※ですとッ!? そ、それにボロ雑巾の様に使って…………じゅるり……!』
ハァ、ハァッ! と、呼吸が荒くなる悪魔さん。
「はぁ、だから敢えてあんな取引までしたのになぁ。お前はその全てを台無しにするワケか〜〜〜!」
『いや、でもどうせ最後には棄て──』
「手にせっかく馴染んだモノを棄てるわけ無いだろ?」
嘲笑し、話しを続ける。
「愉しみにしてたのにさ、お前が無様に泣きながら──出来ませんご主人様、もう許して下さい! って乞うてくるのをオレが罵詈雑言で罵りながらボロ雑巾みたいになったお前に仕置きと称してあんな事やこんな事をして■■■やら●●●●──(以下略)」
『──ぅんッ♡ ですが、ご主人様は契約を解除したいとおっしゃって……』
「そう言えばお前はオレに知識を与えないだろ? だがそうすれば、お前はオレのモノになる。違うか?」
ニコリ、と笑いながら問うてやる。
──ま、全部いま思い付いた事なんだけどな!
まさかブチギレて強引な手段に出るとは……悪魔ってヤツはこれだから!!! ぷんぷん!
「で? お前の答えは???」
まぁ、この悪魔──欠点が脳筋である事と変態である事くらいしか無いからな。
そこを上手く制御すれば使えるだろ。
──制御できれば……だけど…………!
『〜〜〜ッそ、そういう事ならば、けッ契約に従います! 我をご主人様のモノに……いえ! ご主人様の下僕にして下さい♡♡♡』
悪魔は知識を与えない。
──代わりに、取引通りにオレのモノになると。
つまりは、そういう事だそうだ。
こうして……オレは契約に則り、このド変態悪魔の全てを手に入れたのだった。
当初の予定とはだいぶ違うが……
──ドM悪魔ゲットだぜ!!!!!
ここまでお読み下さりありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ