VS 悪魔(中編)
■■■side:悪魔■■■
──自称、愚物……?
──へっぽこ……??
──気にする価値すら無い……???
ンッ…………は、ぇ?????
我がし、召喚者は……何を言っておるのだ?
まさか、ハァッ……それは──
『それは──わ、我の事ではあるまいな……?』
そんなまっさか〜〜〜ッ!? ね?
だって我、大・悪・魔! ぞ?????
その我をおまッ──へっぽこ扱い!? そんな不敬な事言うの? 言っちゃうの、人間って!??
ンンッ……いやいやいやッ! ナイナイ!!!
コレはそう、聴き間違えたのだな! そうだ、そうに違い無い! もう、我の耳ったらお茶目さん☆
「──流石はへっぽこ悪魔。肯定されなきゃ自分のことを言われてるとすら理解出来ないのか?」
召喚者は冷たい目で嘲笑する。
──ンンンンンッッッ!!!!!!!!
……それは、この大悪魔たる我ですら、見惚れる程の──美しい笑みだった。
■■■side:如月■■■
──誰が汚泥じゃボケッ!
ヒナちゃん先輩の心が清い湧き水なら、オレの心は聖水レベルで清らかだよ、このバカ悪魔めが!
↑、という想いを込めて嘲笑し罵倒してみるが……何だろ? この悪魔、何かおかしいぞ?
『──ンッ♡ つまり、この大悪魔たる我が……ハァ、ハァッへ、へっぽこの愚物で、愚鈍で無価値だとッ! そう言いたいのか、ごしゅ──し、召喚者よ!』
怒りからか、その巨体をフルフルと震わせ、荒い呼吸で告げる大悪魔さん。なのだが……
……何か言った覚えの無い単語が勝手に追加されてなかったか、いま???
いや、それ以外にも──特大のミスボールが……
…………あ、いや。やめとこ。何か怖いし。
「ねぇ、いま『ンッ♡』とか聞こえたんだけど?」
「…………愚鈍???」
「明らかに、ご主人様って言おうとしてたよな?」
──やめて!!!!! 気付きたく無い事だって世の中にはあるの! お願いだから気付かせないでッ!
アレは、怒りで震えているだけなの! OK!?
「……いや、そこまでは言って無──」
『ありえん! ありえんぞ!? 我は認めんぞ、貴様よりもっと、もっと凄いのが居ると言うのか!??』
凄いのって何ぞ?????
「あの、聞いて?」
『言ってみろ!? 誰だ、誰だと言うのだ!!? この我の、真のご主人様はいったい何処に居られる!?』
──あれ? これ会話出来てる???
というか、言ったな?
いま、明らかに──ご主人様って言ったな?
もうヤダッ! なに? 悪魔って揃いも揃ってソッチ系しか居ないのか!? コイツとかバアルとか!
いや、諦めるなオレ! まだワンチャンある!
「其処に居る女の子が貴方のご主人様です! 僕はご主人様じゃありません、嘘ついてすみませんでした。」
渾身の謝罪をくらえぇーーーーーッ!
「──ちょっ、キー様! ウチを売る気!?」
「はて、何の事やら? アレは貴女が召喚した悪魔なので、売るも何も無いと思いますが???」
オレは関係ない! 何も知らない!!!
『お前が、我がご主人様だと言うのか?』
フシュー、フシュゥーーーッ、と荒い呼吸でヒナちゃん先輩に問う大悪魔さん。そう、ソイツです!
「──KU・SO・GA! 違うよ、アンタのご主人様はソッチ! ウチじゃない!」
「はぁ!? 変態を押し付けないでくれます!!?」
『──はぅん♡ はぁ、もっと……罵倒して下さい』
クソッ! ぬかった!!!
つか、もう隠す気も無いのかこのド変態悪魔め! とっとと元居た場所へ失せろ!!!
「違います僕じゃない! ヒナちゃん先輩も良いんですか、このままだと教頭に捕まりますよ!?」
「──いいよ! やっぱ悪い事したらちゃんと反省しなきゃね☆ ウチ、ちゃんと反省する!!!」
「覚悟を決めないで下さい! いいからこのド変態クソ悪魔を早く連れ帰っ──あ。」
瞬間、大悪魔さんのお目目がクワッ! と、開き……
──歓喜に満ちた雄叫びが、暴風の様に周辺一帯に轟いたのだった……orz。
◆◆◆
『ご主人様ぁ"ア"ァあ"ーーーーーーーーーーーーぁあああああああああああんんッッッ♡♡♡♡♡』
「──シャおらぁッ! ウチは勝ったぁ!」
「(白目)」
「如月、やっちまったわね! アンタ、普段から汚い言葉ばっか使うからそうなんのよザマァー!」
「如月さん……」
………………。
「──ぬわぁーーーッ!? 無言でコブラ、コブラはやめて! イヤァーーーーーッ助けてぇ!!!!!」
『あぁッッッ!? 何と羨ましい!』
「先生! 一旦、いったん落ち着いて下さい!?」
と、久遠の素敵なムキム筋肉で羽交締めにされ、嫌でも現実を直視する。
「なぁ……久遠。オレ、何か悪い事した???」
そう、遠い目をして問えば──
「スゥゥーーーーーッッッ、すんません先生ッ──結構してたと思います!!! 悪い事!」
「か弱い女性にコブラツイストしたりね!」
「──鈍感が過ぎるのも、じゃないですかね?」
………………あ、そうだね。思い返せば、確かにそうだった。結構してたわ、悪い事。うん……。
あれ? でも、オレは鈍感じゃないよ?
ソレと、か弱い女性って誰の事ですか千尋さん?
──ま、それはええわ( ^ω^ )ノシ==【悪い事】
悪い事したこと無い人間なんて居ないしな! なのでコレは没! ポイしましょッ!
「じゃあ、オレって変態に好かれやすいのかな?」
『──はぅッ♡ ご主人様♡♡♡』
今のはお前を罵倒したワケじゃッ──ない、よな?
「……ノーコメントで」
「……同じく、ノーコメントで」
「それ肯定したら、私も変態って事に──すみません、全力で否定します……!」
──? なんかよく理解らんが、否定ありがとう! 綾ちゃん!!!
「フッ……おもしれー男枠だからね、キー様は!」
「嬉しく無い肩書きどうも、ヒナちゃん先輩。で、あの変態はどうやったらお帰りいただけますか?」
「え? 普通に命令すれば良くない???」
ほぅ? つまり──
「──とっとと失せろ、この【自主規制】が!」
とか言えってこと? こんな感じで良き???
変態とコレで縁切りできる?
『………………………………ッ"ッッ!!!??』
大悪魔の身体がビクンッ! と、大きく震え、先程よりも荒い呼吸音が……するん、ですけど?
「──ヒナちゃん先輩??? (˙-˙ )」
貴様、オレをダマしたのか?????
『フッ、フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフッッッ!』
「……いや、え? これ、ウチのせい???」
プルプルと小刻みに震えている、大悪魔。
──キメラぁーーーッ、パラサイトぉーーー助けてくれぇ、お前ら何処まで行ってんだ!?
安全圏か!? 安全圏まであの倒れた人を運んどるんか!!? 良い子達がよぉ、後生だからオレも一緒に連れてってくれぇえええええッッッ!
『クフハハハハハハッアーーーッハッハッハァァ!』
ギョロリ、と大悪魔の眼がオレを捉える!
「──ぴぃッ!?」
あ、コレ……マジでアカンやつ! 本気と書いて、マジと呼ぶヤツだ、コレ!!!!!
「離せ久遠!」
「──ぇ!? うおぁッッッ!!?!?」
久遠の拘束を無理やり振り解き──DASH!!!
背後を振り返る事無く、オレは全力疾走で逃げる!
オレの危機感知センサーが叫んでいるんだ!
──奴はヤバい!!!!! と!
なのでポケットからスマホも取り出し、救援申請を一斉に送信する!!!
──頼む、届いてくれ!!!!!
そしてオレを助けろ、助けろ下さいお願いします! お前ら様ぁーーーーーッ!!!!!
『コフーコフゥーーーッ! やはり、やはり貴方こそが我のご主人様に違いない!!! お待ち下さい、どうか我と契約を! ご主人様ぁあああああ♡♡♡』
ここまでお読み下さりありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ