VS 悪魔(前編)
■■■side:悪魔■■■
──ほぅ? 何者かの我を呼びし声に応じて召喚されてみれば……まさか、人間界に召喚されようとは。
まだこの世界にも力有る術者が残っていたか……。
しかし──
我が力の余波で崩壊したであろう建築物、その瓦礫の中……我が足元で喚き、駆けずり回る羽虫の如き人間共を見下ろす。
──ふむ。誰が我が召喚者だ???
如何せん、小さ過ぎる。
コレでは、全く見分けがつかないでは無いか……。
ん? いや待て!
召喚者は、この我を喚ぶほどの術者だ。
で、あれば……当然、我を見て取り乱す事も、羽虫の如く駆けずる事もせぬハズ!
そうだ、堂々としておる者を捜せば良いのだ!
フハハッ、冴えているぞ! さすが我!!!
「──うわ、学校全壊しとる。と、全員無事ですね? 社長以外……ッ、惜しくも無い人を亡くした!!!」
「勝手に殺すんじゃ無いわよ!? 生きてるわ!」
………………ん? あの者達は……?
「チッ! 久遠と綾ちゃんも大丈夫?」
「うっす! キメラさんとパラサイトさんが守ってくれたから平気っす!!!」
「はい、私も大丈夫です。でも、いったい何が?」
「──ねぇ? 如月、今アンタ舌打ちしなかった?」
ほぅ! あ奴ら、ピンピンとしておるではないか! それに、あの堂々たる様子!!!
「……気の所為では? キメラとパラサイト、ついでにヒナちゃん先輩は???」
『問題ありません!』
『ああ、ヒナちゃん?も確保した』
「クッソ! 悪魔がデカ過ぎたぁーーーッ!!!」
──間違い無い! あの中に召喚者が居るハズだ。
ククッ、しかも咄嗟に結界でも張って身を守ったのだろう……傷一つ無いとは、流石は我が召喚者だ!!!
これならば、我が悲願も果たされるやもしれん!
……そして、だ。
あの人間共のやり取りを見て、我は、我が召喚者を特定したぞ!
──彼の者こそが、我が召喚者に違い無い!!!
■■■同日/廊下だった場所■■■
『フハハッ──問おう! 貴様が我の召喚者か?』
「──は?」
「──え?」
見事に、オレとヒナちゃん先輩の声がハモる。
……何この化物どちら様?
つか、学校全壊させたのお前か?????
と、いう疑問はあるが落ち着けオレ。一先ず、状況の整理から始めよう。
虫共と第二次虫戦争の話しをしてた
↓
ヒナちゃん先輩が急に厨二病を拗らせる
↓
学校全壊。クソデカ化物がおる
↓
化物『問おう! 貴様が我の召喚者か?』
・
・
・
…………うん。つまり、どういう事だ???
「ヒナちゃん先輩、何かしましt──いえ、何かしたでしょ?? 正直に申せ」
「うん。逃げようと思って悪魔召喚した」
──なるほど。なるほど?
「それなら何で、あの悪魔はオレに話し掛けて来てんすか? 召喚者とか何とか言ってますけど……?」
「いやぁ〜、急な召喚だったからミスったのかな? キー様の事を召喚者だと勘違いしてるんだと思う」
ほぅ? 勘違いとな……???
それって──
「──フッ、そうだ。よく分かったな、悪魔よ!」
つまり……こういう事もOKって事?
「えっ、ちょっとキー様!?」
『当然だ、我が召喚者よ!!! この大悪魔たる我が、自らを喚んだ者が解らぬほど愚物だとでも?』
「ぐッwww そ、そうだな。すまない」
──ぶふッ!
ダメだ、笑うなオレ……今、この悪魔は自分で自分の事を愚物って言ったワケだけど……堪えるんだ!
「はぁ!? キー様、ウチが召喚した悪魔を取らないでよ! 悪魔! アンタを召喚したのはウチだよ!」
『──嘘だな。我にそのような嘘は通用せんぞ!』
いや、通用してんじゃん。嘘。
「いや通用しちゃってるじゃん! このバカ悪魔!」
『ッ貴様! 我を愚弄するか!!?』
怒ったのか、悪魔はブォンッ! と、鋭い棘の付いた巨大な尻尾を振るう!!!
尻尾ビンタに巻き込まれ──宙を舞う瓦礫、そして、同じく宙を舞う人。
お、顔面から地面にいった! アレは痛い!!!
まぁ、でもあの程度で人は死なん。人は強いからね!
…………あれ? ピクリとも動かないな?
「キメラ、ちょっとあの人に回復薬持って行っ──」
『──屋根裏、アシダカ軍曹……』
「……パラサ──」
『──スズメバチ……』
「………………」
『『──(´;ω;`)』』
「………………………………分かった。戦争はやめる」
『『──\(^ω^ )/』』
「一旦は……」
『『( *`ω´)ブーブー!!!!!』』
「今直ぐ開戦してやろうか? あ"???」
『『──行ってきます/行ってくる!!!』』
──宜しい!
駆けて行く二匹を見送っていると、不意に……
『見たか女ぁ! 我が召喚者のあのやり口を! あの腹の黒さに比べれば貴様など赤子も同然よ!!!』
「アレと比べるのは卑怯じゃん!??」
『フハハッ! 我が召喚者の心を汚泥とするなら、貴様など清い湧き水も同然よ!!!』
──故に! 彼の者こそ我が召喚者に相違あるまい!
と、悪魔は声を大にして告げる。
………………あ"???
「──汚泥のような心って……プッ!」
「お、女社長! 笑わないで下さいっす!」
「ノーコメントで……」
「佐藤まで何言ってんだよ!!?」
──ほぅ〜〜〜?
「久遠、別に庇わなくても良い」
「いや、でも──ッ!」
「良いから、ありがとな」
社長には後でし返すとして、今は。
「──それに、自分を召喚した人間すら認識出来てない自称愚物なへっぽこ悪魔が言った事だぞ?」
『へ?』
「そんなの──」
ニコリ、とこれでもかと爽やかな笑顔を浮かべて告げてやる。
「──気にする価値すら無い」
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