オレが悪かった!!!
■■■同日/技術室■■■
「──ただいま☆」
技術室の扉を勢い良く開け、中へと入る。
「『「──お、おかえり⤴︎⤴︎⤴︎」』」
と、声を思いっきり上擦らせながら……出迎えてくれる面々。どしたん、お前ら???
「………………(°-° )」
それと、何故かフリーズしてる綾ちゃん。
いや、まぁ理解るよ……?
片思いしてる好きな人と、上手くは行かないと──このAIに言われたんだもん。
「そりゃあ……ショックか」
オレも好きな人に実質フラれた後だから理解るぜ!
──まぁ、まだ告ってすら無かったけどな☆
でも、そんな貴女に朗報です!!!
「──綾ちゃん」
「…………如月……さん…………?」
ん!? あれッ!!? 口調が、元に戻っとる!??
──そ、そこまでショックだったのか!!?!?
「おいAI、テメェこれどうしてくれんだ……ぁ"あん? もうワンゲームいっとくか??」
『ヒィッッッ!? カ、勘弁シテ下サイ!』
声のトーンを下げ、AIに問えば……必死の命乞いが手元から上がる。
──え? 何したのかって???
オレさ……実質、フラれたじゃん?
でさ、思い出したのよ。失恋を忘れるには、がむしゃらに身体を動かせば良いって我が母が言ってたなって。
……だからサッカー部と戯れてきた。
仕置きがてら──AIの頭部をボールにしてな!
いやぁ、スッキリした!!!
お陰で、大変晴れやかな気分で綾ちゃんにも接せるよ! やっぱ母は偉大だわ!!!
──おっと、話しが脱線したな!
『…………主……マジですか?????』
「なにが?」
キメラも、さっきからどしたん?
何で、そんな冷たい目を向けてくるんだ? オレ、何か怒らせるような事した??? 我、一応……主ぞ?
『……はぁ』
溜息を吐き、小さく首を振って綾ちゃんの肩を肩ポンするキメラ。はっ──Σ(°Д° )!?
オレ……分かったかもしれん!!!
綾ちゃんの片思いの相手! お前だったのか!?
──キメラ!!!!!
『……は?』
オレに擬態してるからか腹黒い時あるし、金には──汚いかどうかは分からんが、汚いかもしれんし!
それにお前、体育祭の時……綾ちゃんに助けてやろうか? って、訊いたらしいじゃん!
断られても助言してたって、ヒナちゃん先輩がハァハァ言いながらネタ帳の前で一人呟いてたぞ!
お人好しで、優しい……やっぱお前じゃんヤダァ!
ヒナちゃん先輩も純愛どうこう言ってたし、コレもう確定だろ? 犯人特定完了だろ!??
──やっべ、オレ名探偵かもしれん!
『主は名探偵ではなく、迷探偵の方ですよ……』
「お、照れてんのか? ん??? 正直に言ってみ、お前も好きなんだろ?? ん⤴︎?」
さっきの冷たい目の理由もコレで説明出来るな!
なんだよもぉ、相思相愛かよ!!! はぁ、まったくお熱い事で……末永く爆発しろ!
「──良かったね、綾ちゃん☆」
「…………へ?」
『………………………………』
そんな目で見ても、もうダマされないぞ☆
大丈夫、安心しな。オレは異種族恋愛も其処に愛があれば肯定派だから! 存分にイチャつきなさいな!
オレは後で、トイレのお水と共にぐちゃぐちゃの心も流してくるからさ☆ 安心しな!
(訳:後でトイレで号泣してきます)
「──おら、サッサと言えAI」
『ハ、ハイ……佐藤 綾サン、並ビニ、百鬼 千尋サン。オ二方ニハ、謝罪ヲシナケレバナリマセン』
「………………?」
「──なによ?」
『実ハ……アノ恋愛診断ノ結果ハ出鱈目デ、私ガ適当ニ言ッテイタダケナノ──ガピッ!??』
瞬間──一陣の風と共に、転移みてぇな速さで移動して来た千尋さんがグワシッッッ!!!!!!!!
と、AIの頭部を両手で捕まえる!
──ミキッ、ピシッッ! と、音を立てているAI。
「ソレはつまり……私の運命の相手は如月じゃないってコト!? そうなのね!!? そうって言いなさい!」
目を血走らせながら、千尋さんは宣う。
『ハ、ハイ……ソノ通リデス…………!』
と、AIが肯定した瞬間ッ──
「──ぃよっっっしゃぁあーーーーーッッッ!!!」
千尋さんの口から、超大音量の咆哮が上がる! それもメッチャ嬉しそうな笑顔付きで!!!
ハッハッハッ──殴りたい、あの笑顔!
手元からも、ミキミキッッッ! と、音が上がる。
『ヒィッ!? モ、申シ訳アリマセンデシタ! 足止メダケデ良イノニ途中カラ楽シクナッテシマッテ』
『おい、それはどういう事だ。機械?』
『ハ、ハイ! 実ハ、私ニ新タナ「プログラム」ヲ与エタ方ガ命ジラレタノデス。時間ヲ稼ゲト』
「はぁ!? オイ誰だよソレは!?? オレらのAIを勝手に弄りやがったド阿保はッ!?」
……そう声を荒げる技術部に、オレとAIはほぼ同時に告げる。
「──ヒナちゃん先輩だよ」
『──黒華 彩芽サンデス』
「「「──(ノ_< )」」」
まぁ、つまりは……
ヒナちゃん先輩がAIを弄る
↓
AI『足止メシマス!』
↓
AI『コノ人(社長)ノ絶望スル顔ハ面白イデスネ! モット見タイデス! 見セテ下サイ!!!』
「──と、いうワケでエセ診断がスタートしましたとさ。めでたしめでたし!」
「は? それマジ???」
「らしいっすよ。社長(笑)」
「……ちょっとそのAI貸しなさい!」
そう怒鳴りながら、オレからAIを奪取する社長。あーあ、取られちゃった。
「ま、そういうワケであの診断は出鱈目だから! 良かったね、綾ちゃん! あと社長も」
「……はぃ…………はい……」
「皆んな、今からこのAIでドッジボールしない!?」
『──ヒィィッッッッッ!!?!?』
「姐さんスンマセン! 今後このような事が無いように努めますので何卒お返し願えませんかねぇ!?」
「あの、今も逃亡しているであろう元凶さんは追わなくて良いんすか?」
ワイワイと盛り上がっている中で、唯一の正論を発してくる久遠だが……すまんな。
「すまんな、久遠──それはもう手をうった」
「…………へ?」
随分と時間が掛かっていたみたいだが、途中で遭遇したあの三馬鹿は確かに仕事をしてくれたらしい。
──ピンポンパンポーーーン!
『ガガッ──おい、コレはどうやれば良いんだ?』
『──白崎先輩! もうついてます!!!』
『……え? そうなのか??』
キメラもだが、パラサイトも機械には弱かったか。
『なら──ンンッ!
黒華、オレはお前に詫びねばならない! 今まで散々、お前の作品を馬鹿にして悪かった!!!
ある……じゃない、如月やその舎弟、キメラを使った同人誌──本?は大変素晴らしいモノだった!
──無論、その他の作品もだ!
ホントにすまない! オレが悪かった!!!
今すぐ、お前に直に謝りたい! そして、是非とも色々と語り合いたい!!!
オレは技術室で待っている。
是非とも来てほしい!!!!! 白崎より!』
──ピンポンパンポーーーン!
ここまでお読み下さりありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ