VS AI(前編)
■■■同日/技術室■■■
ほぅ……つまり、だ。
──久遠と社長だけで技術室に立て籠っていた科学部の捕縛は完了していた、と?
へぇ〜、ふ〜〜〜ん??? それは凄いね〜?
「で? 久遠、報連相は?」
「──大事です!!! その後がアレ過ぎて連絡するの忘れてましたスンマセンッッッ!!!!!」
…………はぁ。
「次からは気を付けろよ? んで、続きは???」
そう問うと、久遠は少し言いづらそうにしながらも……続きを話す。
曰く──ヒナちゃん先輩の居場所を知っている。と、いきなり技術室のAIが話し掛けてきたと。
「それで……教えてほしければ、正直に質問に答えた上で自分の運命を受け入れろって言われて──」
「──ああなった……と?」
社長を指差して問えば、久遠は力無く頷く。
「最初は面白そうだって笑ってた女社長も、今ではああなっちまって──認めたくないのか、かれこれ108回目なんスよ。アレ」
へぇ……108回──108!? は? 頭おかしいだろソレ!?? つーか、お前も数えてたの!?
「──次こそは……って、意地になってて。オレと佐藤が止めても全く聞いてくれないし」
「ああ。どうすりゃ良いのかサッパリだ」
は、はぁ? なるほど…………?
「でもそれなら、キメラの意思疎通で相手の頭の中を直接読めば良いんじゃ──」
『──ヴッッッ!』
ん……? 変な声あげてどうした、キメラ???
『……その、すみません主。意思疎通なのですが、機械とは相性が悪いのか……全く読めません、でした』
俯き、身体をプルプルさせながら答えるキメラ。
──あーーーーーーーー(ノ_< )
「そ、そっか……ま、まぁ相手は機械だしな? 仕方無いって、気にすんなよキメラ! な?」
『し、出力も上げて精一杯やったけどダメで──任されたのに、役に立てなくてぇ……。゜(゜´Д`゜)゜。』
声を上擦らせ……目からボロボロと水滴を溢すキメラくん。
──うん……お前、まだ生まれて数ヶ月だもんな?
いくら普段しっかり者でも、能力全否定な存在と出会ったらショックが大きいよな!?
意思疎通って、お前の代表的な感じの能力だったし……お母父さん、ちゃんと理解ってるから!
……偶に、自分からポイしてた能力な気もs──いやいや、大丈夫! オレ、ちゃんと理解ってるから!!!
「──ちょっ!? き、キメラさん!!?」
「大丈夫だって! 今回は相性が悪かっただけでいつも役に立ってるよアンタは!!! な、そうだろ!?」
「勿論さぁ⤴︎!? ほら、元気出そ! はいチーンして、お鼻チーンして鼻水さんとバイバイしよ、な!?」
◆◆◆(^ω^#)◆◆◆
『──ぅ、ぐす……ずびッッッ!』
「よしよし、泣き止んで偉いなぁ! じゃ、お母父さん、ちょっとあのAIさんとお話してくるからね」
…………この屑鉄がぁ──よくもウチの虫を泣かせやがったな、覚悟しろよ???
『──あ、主?』
はッ!? やべッ……Σ( ^ω^ )
まだ生後数ヶ月の虫に、大変今更ながらこの言葉使いはアカン! 教育に悪い!!!
おほん──この金属の寄せ集めさん、よくもウチの虫を泣かせてくれましたわね! 覚悟なさって!!!
『──主???』
「社長、早く其処をお退きになって下さいまし! お邪魔ですわ!」
「………………ねぇ、AI。ホントにコイツが私の運命の相手なの? マジで???」
と、オレを指差してAIに問う社長。
『──ハイ。本気d……』
「……ん"ま"ぁッッッ! 人を指差すなんて、ウチの虫が真似をしたらどうしてくれますの!?」
「普段から人(主に私)に関節技掛けまくってるアンタにだけは言われたく無いわよソレ!!?」
「……ん⤴︎⤴︎? 何の事だかサッパリですわ。勘違いなさってるのではなくて? 早くお退きあそばせ!」
「如月てめぇ…………!」
ふぅ、さてと──!
「──金属の寄せ集めさん! 貴方は3つ、誤ちを犯しましたわ……お分かりになって?」
『ハテ……? 私ガ、誤チヲ???』
「えぇ! 先ず1つ──My Babyを泣かせたこと!」
「……何言ってんの、アイツ?」
『多分、主……暴走してます』
──其処ぉ! お黙りあそばせ!!!!!
「そして2つ。オレの仕事を増やしたこと! 全く、手間を増やさないでいただきたいですわ!」
「一応、手伝ってやってる側なんだけど? 私達」
──あれ? なんか耳が……う〜ん、良く聴こえないなぁ??? 後でまた保健室に行くか☆
ま、それはさておき!
「……そして3つ! 社長の運命の相手がオレって事は、オレの運命の相手も必然的に社長になるじゃん、そんなの納得できるかぁーーーーーッッッ!!!」
オレにも選ぶ権利はある筈だ!!!
『ア、問題ハソコナンデスネ?』
「ソコなんですよ! だからオレはこの運命を是が非にでも否定する!!! なので、行け! 久遠!」
「──ッ!? え、オレが行くんすか!!? もうこの機械を先生がぶっ壊す流れじゃ!?」
は? お前、そんな事したら──
「──そんな事したら、ヒナちゃん先輩の居場所が分からなくなるだろうが」
「いや、でも!」
「あとな? あんな機械でも技術部達が必死に作ったモノだ。オレは背後から刺されたくない!」
「「「へぇ──でもその技術部をいま全員敵に回したけどな、お前……買ってやるよ? その喧嘩」」」
おっと、やべ──そ、それに……!
「それにお前、言ってくれたじゃないか。頼ってほしいって! だから此処は、甘えても良いだろう?」
「──グッ!? それを言われると……!」
まさか、嫌とは言うまいな? 久遠^ ^
「ソイツ相手に不用心に言質取らせるから……」
「…………えっと、どんまい!」
『自業自得……任せたぞ!』
「先生信じてるから! お前なら真正面から運命を受け入れられるって!!! 任せたぞ、久遠!」
そして……自身に味方が居ない事を察した久遠は──
「あーーーッもう! 分かりましたよ、やれば良いんでしょ! オレがやってやらぁーーーーーッッッ!!!」
──と、自ら死地に飛び込んで行ったのだった。
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