…………ミ°ッ(絶命)
■■■同日/教室内■■■
「「「F"u"uuuuーーーーーッッッ!!!」」」
視界の『白』が晴れ、目の前がクリアになる。
が──え???(困惑)
ぉ、おおん?????(;困ω困)
「──ぇ、えっと……お客様…………?」
「Fu……Fuu…………何よ、如月?」
口からフシュゥゥゥッと、白い煙を上げ、ち、千尋さん(?)は問うてくる。
…………その身体は2mを裕に超え、その肉体美の何と羨まけしからん事か……!
あ、いや──おほん。話を戻そうか!
服は所々が弾け飛び、内からはムチムチと筋肉質なボデーがコンニチハしている。
「せ、先生! コレはいったい──!??」
と、普段より数段低いトーンで驚いているのは……く、久遠、だよ…………な?
お前までそんな羨まけしからん身体になりやがって、どうやっ──あ。
──ごほん。久遠に至っては、上半身の服が全て弾け飛んだのか……その肉体美を惜しげも無く晒している。
『ムキムキ(`・ω・´)ムチムチ』
ティ、ティアマトちゃんまでッ!!!!!
「………………」
──ッ、あぁ、良かった!
どうやら綾ちゃんは変わっていない様だ! 何か、ボーとした顔でコチラを見ているが……。
「ぇ、えと……一先ず、コチラにどうぞ……?」
一先ず、だ。
足止めとかもうそれ以前の問題なので、この羨まけしからんボデーを持つ二人と……先程からボーとしている綾ちゃんを裏方に案内し、事情を訊こう。
◆◆◆
「──で、その羨まけしからんボデーはどうやって入手したのですか? DLC?? それとも、課金?」
「先輩?????」
課金なら幾ら出したんだ???
その肉体美を幾らで買った!? 幾ら払えば、そのムキムキでムチムチの肉体美が手に入る!!?
──5ブロックまでなら出すぞ。
(※ 1ブロック=100万yen 也)
「いや、何も……強いて言えば、此処で出された料理を食ったぐらいで──ですよね? 女社長???」
「そうね。それ以外は特に何もしてないわ」
と、久遠と社長。
「本当に? 本っっっ当にそれだけで何もしてないんですか? こう、法外な値段のプロテインをガブ飲みしたとか──通りすがりのとんでも武人に出逢って修行をつけてもらったとか、願いを叶えてくれる玉を集めて龍を召喚したりとかしてませんか?」
「──先輩。ちょっと落ち着こうか」
そう、後輩によるストップが入るが……は?
落ち着けだと???
「この奇跡を目の当たりにして落ち着け……と、オレに言うのか久保? オレの努力を知っているお前が?」
「あ、やば……!」
「──朝昼晩とプロテインを飲み、筋トレをし、勉強やゲーム作りの合間にさえ嘘か本当か分からないトレーニング方法をワンチャンあるかな?と藁にもすがる想いで試し、それでもダメだったんだ!!!勿論、ジムにも行ってその筋のプロ達から話しを聞いたりもした!でも、何をどれだけやっても筋肉だけは、あの素晴らしい肉体美だけは手に入らなかった!!それが、それが手に入るかもしれないのにそのチャンスをオレにみすみす逃せと言うのかお前は!!!??」
最早、酔いは完全に醒めたのか……次から次へと、心の内から言葉が溢れ出てくる。
「お前には理解るか!? 少し外へ出るだけで、同性にナンパされるオレの気持ちが──!」
「頬を赤た同性から、割とガチめなラブレターを手渡されるオレの怒りと憎しみが──!」
「オレの絶望が──お前に理解るむぐぁーーーッ!?」
──ッッッ!!?!?
は、ぇ??? 綾ちゃん……?
あの、え? 今、何して──???
えと、あの……その、と、取り敢えず説明すると──柔らかいモノが、オレの口をいきなり塞いだんですね?
それが、えと……唇だったんですけど。
あの、綾ちゃん──の。
「──ぷはッ!」
「ぁ……ふ、ぇ???」
フワリ、と……綾ちゃんの唇、が、離れて、
──ニコリと、笑う。
そしてグワシッ──と、オレの両肩を強く掴むと、
「──アンタは俺が惚れた男なんだ! 俺は、例えアンタがムキムキじゃなくても、アンタを愛してる!!!」
って、言われ…………ミ°ッ(絶命)
■■■同刻/家庭科室前■■■
──クソッ!
内心でそう毒づき、巨漢共との戦いでボロボロになった自身のモンスターに回復薬を使用する。
──あれから数分……いや、もしかしたら十分以上経っているかもしれないが、彼らはまだ戻って来ない。
というか、隙をつくってやるとは言っていたが実際どうするつもりなんだろうか?
『Grrrrrrrr!!!!!』
「破ぁああああああああッッッ!!!」
生徒の協力もあって──残り少なくなってきたとは言え、まだ暴れ狂っている巨漢共も居るというのに……、
「あ、ヤバいです結界が保ちません!」
『K"y"o"t"o"oooooooo!!!!!』
……あの化け物に隙をつくるなんて、本当に出来るのだろうか? そも、この場に居ないのにどうやって??
ピシリッ──と、音を立て、僕達をあの化け物の衝撃波から護ってくれたバリアが割れ、消滅する。
──コレは、本格的に不味いな。
「皆……あまり出入り口付近には近付かない様に! あの衝撃波をまともに喰らうとヤバいぞ!!!」
生徒達に声を掛け、その場から退こうとした瞬間!
──ドンッッッッッッッッ!!!!!
「「「──ぐッ!??!?」」」
『『『ッッッ!?!!?』』』
上から、強い衝撃と揺れ、それと轟く様な重低音がほぼ同時に襲い来る!
──ドンッッッドンッッッッッッ!!!
何度も何度も……繰り返し、上から襲い来るソレに、遂にその場に立っていられなくなる!
まるで内臓類にまでその振動が伝わっているようで、気持ち悪い。
──ドォンッッッッッッッッ!!!!!
一際強い、衝撃が僕達を襲い、重低音が轟いた後……ビシッッッ!
…………と、嫌な音が周囲に響く。
同時に、何やら予知めいたモノが僕の脳裏を駆けた!
──いや、待て。待ちたまえ!!!
さ、流石にソレは無いだろう? 田中くんならば兎も角、如月くんに似た彼がそんなそんな(笑)
『隙をつくってやるから、お前が捕えろ──』
まるで走馬灯の様に、何度も頭の中に彼の声が繰り返される。
──えぇい! やめたまえ!!!
まだこの衝撃の正体が彼らだと決まったワケでは無いだろう!? 疑うの良くない!
……だが、ホントに彼らは何処に行ったんだろうか?
嫌な予感をフツフツ感じながら、音と衝撃の発生源へと目を向ける。
──ソレは家庭科室の丁度真上な気もするが、いやいや、気の所為だ気の所為!
と、其処へ…………
──ズドォォンンッッッッッッッッ!!!!!
『K"y"o"──ほぇ……?』
……恐らく、トドメの一撃を叩き込んだのだろう。
校長の何とも情け無い声と共に、落ちてくる埃や瓦礫etc──と、共に家庭科室の中に居た巨漢共の姿は一斉に掻き消えたのだった。
──これ、死人出てないかい???
見てくれてありがとうございます!! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ