異変
■■■同日/教室内■■■
「──麻酔銃、準備OK!」
「プライバシー侵害眼鏡、準備OK!」
「ロケットブースター付きスケボー、準備OK!」
「「「──よし、校長狩りじゃぁーーーッ!!!」」」
と、欲望に身を任せ──教室の扉へと走り向かう武装した生徒共(スタッフ含む)。
……だが、そうは悪魔が卸さねぇ!
『させんぞ貴様らぁッッッ!!!!!』
叫び……即座に炎の壁を召喚、からの足止め。
──いや、お見事! やはり、お前を選んだオレの見立てに間違いは無かった!!!
「え? ちょっとバアル、何してんの??」
とは、バアルの今の主たる久保の言葉だ。
久保からしても、完全に予想外だったらしく……え、コイツ本気で何やってんの? と、驚いている。
『主よ……』
「うん? 何かな、バアル?」
バアルは、そう一呼吸置くと──
『我が元主からの願いだ。悪いが、何人たりとも此処から出すワケにはいかなくなった!!!』
「──はぁ!!? ちょ、お客様はどうすんのさ!?」
……おっと、意外だ。
まさか、そんな事を言ってくるとは……。
「お客様はお会計が終わり次第、私のモンスター達の力で廊下のほうに転移させますので大丈夫ですよ」
──本当は一人たりとも逃したくは無いが……コレばかりは仕方無い。
まだ酔いが完全には抜けてないし、
お客様の方を見ても、皆まだ、あの放送について混乱しているので放置しても良いと判断しよう。
今のオレに出来る(やりたくないが……)精一杯の譲歩だ、感謝して咽び泣くが良い!
…………え?
どうせ会計頼まれても、あーだこーだと言い逃れるつもりなんだろ? って???
………………………………い、いや、するよ?
するする、如月さん嘘吐かない。
そりゃあもう、ナマケモノが驚く位の速さで会計するから! 安心して良いよ!!!
「お客様の事はまぁ、それなら良いけど……バアル、君は僕のモンスターなのに何で先輩の方にt──」
『──今回ばかりは元主の意見の方が正しいと思ったからだ! 元主に仕事を押し付けるなど言語道断!!!』
「バアルさん……( 涙ω涙 )」
──コイツ、ホントにチョロいな。
「でも先輩も、いの一番に虫くんを行かせて──」
「──微塵も記憶にございません」
ウッ、頭が!
コレはあれですね! 酔った事が原因で、何やかんやあって記憶にモヤが掛かっちゃったパティーンですわ──いやぁ〜、残念ッ!!!
「…………アレを信じたの、バアル?」
「ニヤ(  ̄∀ ̄)ニヤ」←アレ
『──元主泣いてた、元主嘘吐かない……!』
そだよー、オレ、嘘吐かない!
「いやいやいや、バアルお前! 昨日の事もう忘れたの!? 僕達、嘘吐かれた上に毒盛られたよね!!?」
『──記憶にございません』
「この狂信者めッッッ!!!!!」
「…………いや、アンタも似た様なモンよ? 目糞鼻くそって分かる、久保???」
漸く頭が現在に追いついたのか、復活した千尋さんが久保に言うが、
それに対し、
「僕はここまで酷くないよ!!!!!」
と、久保は反抗する……。
──が、久保よ……狂信者ってな、皆んなそうやって同じ事を言うんだぜ? 覚えときな。
「まぁ、そう思いたいのなら止めないけどね……如月、至急、私達を保健室に転移頼める?」
──ん???
え? いきなり、なに?????
「どうかされたんですか?」
「いや、何か身体が熱いって言うか……変な感じでね。綾ちゃんもボーとしてるし、久遠くん──」
「──ッ"ッ、あ"ぁ"ぁーーーーーッッッ!!?!?」
途端、久遠の雄叫びにも似た絶叫が教室内に轟く!
そして──ボフンッッッ!
と、コミカルな音を上げ……オレ達の視界は、突如として沸いた『白』に覆い尽くされたのであった。
◆◆◆同刻/校長捕縛組◆◆◆
「──お前、如月のトコの虫じゃん!」
『違う。似ているかもしれないが、今回の私は偶然文化祭に来ていた謎の一般人Kだ』
それ以上でも以下でも無い。と、キリッとした顔で告げる如月くん似の一般人K。
『『『──K"y"o"t"o"ooo!!!!!』』』
瞬間、また衝撃波が家庭科室の扉から襲い来る!
「おい謎の一般──ああもう! K、避けろ!」
『ん? いきなり何ッ──!!!』
ゴゥッ──と、衝撃の余波が壁と廊下を大きく揺らす!
「きみ! 大丈夫かね!??」
「直撃したぞ!!???」
そう、慌ててKに駆け寄るが、
『……問題無い。だが、何だ? あの不快な攻撃は?』
? 一瞬、彼の身体が波打って見えたが?? 彼は怪訝そうに、家庭科室を見ている。
…………気の所為……か???
「実は──かくかくしかじか」
『成程、あの衝撃波が邪魔で攻めあぐねていたワケか……ふむ』
「──我々だけでは戦力も人数も足りないからね。撤退しようとしていたところなんだよ」
と、話すと……彼、Kは何やら難しそうな顔を浮かべた後──まぁいいか。と、呟きコチラを見てくる。
『やられっぱなしは性に合わん。私が隙を作ってやるから、お前があの化け物を捕えろ』
「──はぁッ!!? いや、僕達は撤退を……!」
『ゴーレム使い。お前はコッチを手伝え、行くぞ!』
「え? ぉ、おうッ分かったぜ!!!」
と、何処かに駆けて行く二人。
「──だから! 人の話を聞きたまえ!!!」
生徒数人と巨漢数匹が残された廊下に、僕の声が虚しく響いたのは言うまでも無い。
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