足止め
■■■同日/教室内■■■
──さて、キメラを向かわせた以上……他の生徒に向かわれちゃあ困るワケだ。
なので、オレの役目は……。
「……あの…………バアルさん……」
『ん? 何だ、元主!』
──背に腹は変えられぬ!!!
目をウルウルさせ、助けを求める様に、バアルに話し掛ける。
「えっと、その……皆さんは、校長先生を捕まえに向かわれるのでしょうか???」
『──へ? あ、ああ。主は向かうらしいが……』
「…………そうですか」
そうですか、そうですかぁ〜〜〜。
それはこの仕事に支障が出そうだなーーー?(棒)
まぁ、今のオレは良い子ちゃんなオレなので、
『……それが、どうかしたのか???』
と、問う貴方の質問にも──
「その、今……スタッフ達が抜けてしまったら、お客様のお相手はどうしようかと」
──私一人では……とても…………。
そう、ポロポロと涙が自然に流れ出て来る!
お客様を満足にOMOTENASHIする事も出来ない。
自分だけでは無理なのだ。と。
良い子ちゃんなオレは、ボロボロと涙を溢す。
──ほ〜〜〜らバアル、お前の大事な大事な元主が泣いてますよ〜?
「よよよ……( ノω ; )チラッ」
『なっ、も、元主ッ!? 泣いているのか!!?』
──見たら理解るだろぅ〜〜〜???
オレをこのまま泣かせるんですかぁ〜〜〜?
そんな意気地無しなのか〜、お前は?
お母父さん、お前をそんな意気地無しに育てた覚えは無いぞ〜〜〜? 助けろ〜???
「……こ、こんな事言われても困っちゃいますよね、ごめんなさい。あの、今のは忘れて下さい」
『ン"""ッッッ!!!!!』
尻を蹴り上げるつもりで……そう儚げに言い笑うと、バアルは何とも形容し難い声をあげる。
──あー、コレはクリティカル入ったな。
バアル……お前、悪魔なのにそういうのが好きなのか? ま、好みは人それぞれだよな。
と、両手で顔を覆い──天井を仰ぎプルプルしている悪魔を見て……オレは自分の勝利を確信した。
あと……少しずつだが、酔いも醒めてきたようだ。
■■■同時刻/第一家庭科室前■■■
『──Gaaaaaaaaッッッ!!!』
「ちょっ!? 危ないだろう!!?!?」
ブォン! と、空を切る音と共に、家庭科室から包丁が飛んでくる!!!
壁に刺さった包丁を見、そう声を張り上げるが──
『──フシュ〜〜〜ッ! フシュゥ〜〜〜ッ!!!』
と、荒い呼吸を繰り返し……包丁を投げて来た巨漢の生徒はギラギラした目で、尚もコチラを睨んでくる!
──というか、何なんだ……コイツらは?
破れているとはいえ、この学校のモノと思われる制服の残骸を着ている所から……恐らく生徒だとは思うが──さっきから、全く対話が出来ない!
しかも、一人だけでは無く複数人居るのだ。
──それも、全員が見上げる程の巨漢であり……興奮しているのか、凶暴になっている!
『K"y"o"t"o"oooooooッッッ!!!』
家庭科室の奥から、そう野太い咆哮と共に衝撃波が定期的にコチラを襲う為──下手には攻められない!
「──くッ!?」
「うぉッッッ!!? なぁこれ、ヤバくないか……どうするよ、大平?!」
──どうすると言われても、今、此処に居るのは生徒数人と僕達のみなんだぞ?
仮に全員で協力しても、あの世紀末な巨漢共を突破出来るかどうかも理解らない。
連合軍の面々は、昨日の件でダウンしているし……
「──これ、詰んでないかい???」
「そんなぁ!? せっかくのボーナスがぁ!!!?」
と、田中くんは涙目で訴えて来るが……
──仕方無いだろう、数にしても、火力にしても足りないのだから!
「仕方無いだろう? ボーナスとやらは諦め──」
『──む? あぁ、先客が居たのか……』
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