緊急依頼
■■■同日/教室内■■■
『『『──依頼内容は、いま起きている事態の沈静化および校長の確保!!!
死なれちゃ不味いので『生け捕り』でお願いします!
但し、校長が抵抗して来た場合……最悪、手足の有無は問いません! 生きていれば良し!!!!!
報酬は──生徒には好きな教科の単位!
お客様には、校長の冬ボーナスをその場にて現ナマでお渡し致します! 臨時収入のチャンスですよ!!!
──場所は第一家庭科室です!
それでは皆様、ご協力のほど──宜しくお願い申し上げますッッッ!!!!!!!!』』』
◆◆◆
──ほぅ^ ^
教頭による放送が終わると共に、唖然とする周囲。
&、欲に目が眩む在校生共。
「なぁ、腕時計に偽装した麻酔銃知らない?」
「知らん。誰か人を追跡できるオレの眼鏡見てない?」
「見とらんわw それよかオレのスケボー何処?」
と、在校生……やる気満々である。
ふむ、オレも金の──間違えた。
(テイク2)……ごほん! この学校の平和の為にも、その依頼は受けねばなるまいて!!!
──好きな教科の単位? んなモンいらねぇ!!!
オレは臨時収入の為に──失礼。
(テイク3)……オレはこの学校の平穏が守れればそれで良いんだ!!!
だってそれこそが( 金Д欲)੭ꠥ⁾⁾──この学校に席を置く者としての当然の責務なのだからッッッ!!!
──それはソレとして、報酬は正当なモノなのでありがたく頂戴しますね!!!
お小遣いをありがとうございます、校長先生!
オレ……校長先生大好き♡
……ところで、キメラくぅ〜〜〜んどこぉぉ???
◆◆◆
──なに? 今の放送は???
ああ、ごめんなさい。聞こえなかったワケでは無いわ、ちゃんと聞こえてた。
その上で言ってるの……あの放送は何? って。
緊急依頼? 生け捕り?? 手足の有無???
──ダメだわ。私の頭が理解する事を拒んでる。
いや、そもそも此処──学校よね!?
なのに何!? 緊急依頼って!!?
これ私がおかしいの!?? 私が知らないだけで、世の学校って今時はこうなってるの?????
「──オレが校長を捕まえてやる! 名探偵と自称してた、じっちゃんの名に掛けてなぁ!!!」
あ、そこ自称なのね……。
「月に代わって、校長先生を生け捕りよ☆」
え、月って捕獲業までさせられてるの? 夜道を照らすだけで勘弁してあげて。
「校長、ゲットだぜ☆」
いやまだ確保して無いでしょうが!!?
──マジでどうなってんのよ、この学校!!!??
あの変な放送を聞いた生徒共が目の色変えて、虫網やらステッキやら変な球やらを準備し始めたんだけど!?
「ちょっと久保──ッ」
説明を求めるように、久保へと顔を向けるが、
「──うん、そう。出来る限り急いでね……あと、もし校長が抵抗して来たら……うん。生きてれば良いよ」
と、スマホで──明らかに一般人では無い方々とやり取りをしていた。それも真顔で。
「………………き、如月……ッ!」
後輩がダメなら、その先輩に説明を要求しようと其方を向くが、
「^ ^」
『何ですか、主?』
「^ ^」
『む、まだ昨日の事を許したワケでは──』
「^ ^」
『え??? それ、マジですか!!?』
「^ ^」
『言質取りましたからね、主!』
「^ ^」
『はい! では、行って来ます!!!』
と、何処かから湧いて来たらしい虫ちゃんは元気いっぱいに駆けて行く。
うん……まぁ、訊きたい事は色々あるんだけど、その前に一つだけ教えてもらえる???
──何で、今ので会話が成立したの……?
如月、一言も喋って無かったわよね???
■■■
「おーーーい、大平ぁーーーッッッ!」
「だから『さん』を……いや、今はいい。そんな事よりもさっきの放送はいったい──」
「──早く行こうぜ! せっかくのボーナスタイムなのに他の奴らに先越されちまう!!!」
「へ?」
「待ってろよ、校長!!!!!」
「いったい何が……あーもうッッッ!」
見てくれてありがとうございます!! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ