プロテインケチャップ
■■■同日/厨房■■■
──青狸が持ってる地●破壊爆弾て何処行けば手に入るか知ってる人居る?
あ、技術部に頼めば作ってくれるかな???
「8番席、らぶらぶソーダ、イケメン苺のパンケーキ、イケイケマッスルのオムライス!」
「ok!!! 手の空いた奴頼む!」
「は〜い! 8番行きます!!!」
くそぉッ! 口が、勝手に動きやがる!!!
──用意された料理を持ち、重い心と軽い足取りで汚客苦サマの席へと向かう!
■■■
「──お待たせ致しました! こちら、らぶらぶソーダ、イケメン苺のパンケーキ、そしてイケイケマッスルのオムライスです!」
「あ、如月さん!」
「わざわざスンマセン! 先生!!!」
「あー、その……さっきはホントに御免なさいね」
優雅に料理を運んで来てくれた如月──境子ちゃんに、私は再度謝罪をする。が──
「いえいえ、お構いなく。誰にでも、ミスや間違いはありますので!」
そう和かに彼女は笑う。
──神かしら? この娘???
確か、炭酸水って言ってたわね?
よし、今度から定期的に如月にぶっ掛けよう!
と、そんな事を心に誓っていると──
「──では、お客様のイケイケマッスルのオムライスに、これから私が魔法を掛けます!」
「え"? 死の魔法っスか???」
「違いますよッ!!!??」
そう慌てた様に言い返すと、彼女は懐から──ケチャップかしら? を、取り出し、
「このプロテインケチャップで、お客様のオムライスをもっともっとイケイケのマッスルにする魔法です!」
と、プロテインケチャップなるモノの封を解いた。
「──プロテインケチャップ?」
「そ、それは何と言うか……」
「オムライスがしょっぱくなりそうな魔法ね」
そう、私達は口々に言うが……彼女は、関係ねぇ! と、言わんばかりにプロテインケチャップをオムライスにぶっ掛け始める!
しかも……
「マッスル♪ マッスル♪ モ〜リモリ♪♪♪
マッスル♪ マッスル♪ モ〜リモリ♪♪♪
マッスルゥゥ、チャ〜〜〜ジッッッ☆☆☆☆☆」
「──(;°Д°)」
「──((((;°Д°)))))))」
「チャキ──(`・ω・´)つ■」
『チャキ──( ^ω^)つ■』
『チャキ──(`・∀・´)つ■』
「チャキ──(  ̄▽ ̄)つ■」
…………と……大変可愛らしい振り付けでケチャップを噴射し、ノリノリで歌?まで歌って、いた。
『──カシャカシャカシャカシャカシャカシャ×∞』
『──パシャパシャパシャパシャパシャパシャ×∞』
「………………ピロン」
「………………ピロン」
そしてソレを撮影している虫&悪魔&人間共。
──あぁ、この世は地獄ね。如月、元に戻った後で舌とか噛み切らないわよね?
ま、今は面白いから観てるけども……!
「お、おい佐藤!??」
「──止めないで下さい龍鬽くん!!! 人間にはやらなければならない時があるんです!(撮影中)」
『──その通りだ!(連写中)』
『良い事を言った!(連写中)』
「例え、この命を賭ける事になろうとも!(撮影中)」
「「『『──我々には、やり遂げなければならない時があるんだ(です)!!!!(連写(撮影)中)』』」」
──黙れパパラッチ共ッッッ!!!!!
とか、如月(正気)が此処に居たら怒鳴ってそうね。
「〜〜〜♪ はい、それではどうぞ召し上がれ♡」
舎弟の苦労、先生知らず……か、歌い終わったらしい境子ちゃんは、満面の笑顔でそう宣う。
「……貴方は良くやったわ」
パパラッチ共に無碍にされた、唯一の善心たる久遠くんに──私は、せめてもの言の葉を贈る。
「…………あざっす、女社長──ひッ!??」
と、感謝の後に短い悲鳴をあげ……久遠くんは、手に持ったスプーンを床に落とす。
──カランッ! と、どこか虚しい音が空間に響き、彼は震えながらオムライスを凝視していた。
「? どうしたの、久遠く……ん…………」
そして、彼の視線を追って……私も見てしまう。
──『殺してくれ』──
と、紅いケチャップで書かれたオムライス……を。
──アイツ、意識だけはあったのね……。
■■■
「ほぅ! 科学部は筋肉に過剰に作用する新たなプロテインを開発。効果は一滴で──」
「なぁ、もう別のトコに行こうぜ〜大平〜〜〜!」
「さん──を付けたまえ! む、彼方もなかなかに面白いモノがあるじゃないか!!!」
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