性別逆転喫茶
■■■同日/二階廊下/10:10■■■
「──う〜わ、凄い行列ねぇ〜!?」
「そ、そうですね……でも、ホントにあの教室なんですか? だってその、あの教室の看板……」
「……『性別逆転喫茶』……って、書いてあるな」
如月が……つまりは女装してるって事よね??
──如月が、女装……。
如月が──女装???
作戦とかなら兎も角、嬉々としてやってる姿が思い浮かばないわ……室内入った途端死とか無いわよね?
「大丈夫? 室内、血塗れになってない???」
「──さ、さすがにそれは…………」
「大丈夫だと──信じたいッスね!」
──あらぁ、なんて良い笑顔なのかしら久遠くん!?
でもそうね! 信じなきゃね!!!
……私も信じましょうか…………会社に前科何犯か不明な奴が居るなんてヤバ過ぎるもの!
「は〜ぃ、次、七名様までどう──あれ? 社長じゃん、来たの?」
「──アンタが来いっつったんでしょうが!」
「そりゃまぁ……でもホントに来るとは驚いたよ。折角だから社長達もどうぞ〜」
「──えッ!??」
「ちょっ、オレ達も待ってんスけど!?」
「順番は──」
と、私達よりも前に並んでいた子たちが苦情を言うが、久保は慣れた様子で……、
「ごめんね〜、この人達先ぱ──境子ちゃんの大切な人達なんだ。その、ダメかな……?」
あざとく言い放つ。
──つか、境子ちゃんって誰よ?
脳内に、とある如月が血みどろの女装姿で再生されるんだけど……え? 流石に違うわよね??
「なに!? 境子ちゃんの!!?」
「大切な人達ですと!??」
「そういう事なら合点承知よ! どうぞどうぞ、お先に行ってくだせぇ!!!」
三者三様に、前に並んでいた子達が道を開けた。
「ホントにごめんね。境子ちゃんにも伝えておくし、色々サービスもするからね〜! じゃ、行こっか」
コチラへどうぞ〜、と、不敵な笑みで久保は言う。
「…………ど、どうします?」
「どうって……行くしかねぇだろ?」
不安そうに綾ちゃんが問うが、ま、そうよね。行くしかないのよね、流れ的にも。
「何かするつもりなら、この文化祭諸共モンスターハウスにしてぶっ潰してやるから覚悟しなさいよ、久保?」
「はいはい。じゃ、コチラへどうぞ〜!」
警戒しつつ、私達は教室へと足を踏み込んだ。
「──いらっしゃいませ〜〜〜ッ!」
「「「…………は???( °Д°)???」」」
■■■同日/教室内■■■
「三名様ですね? では、コチラのお席へどうぞ」
「──ぇ、あ、は、はい!」
「コチラ、お冷とお手拭きになっております」
「あ、ありがとう……ございます?」
「注文の方がお決まりになりましたら其方のベルでお呼び下さい。では、失礼致します」
「ど、どうもっス……」
優雅に一礼し、和やかに去って行く美女。
──男性客は口を開けたまま目であの美女を追い、女性客でさえ頬を染め見惚れている。
そして、私達もまた呆然としていた。
──いや、あり得ない。と!
アイツのワケが無い。と!!!
だが、現実はいつも無情なモノで……。
『──逢簍じ薔輪砦ぃ!!!!!』
『──碁ッ絺梦暐爹ッッッ!!!!!』
と……見覚えのある虫ちゃんが、人外語を叫びながらペンライトを振って号泣してるのよ。
しかも隣では──
昨日の体育祭、久保と一緒に居たウィケメンな悪魔? が、同じく人外語を叫びながら祈ってるの。
ピクリとも動かずに、床に片膝ついて……両手を前で握って、涙ながらに人外語叫んでるの。
──コレ、もう如月確定演出でしょ???
「ねぇ、久保……?」
「ん? 何かな、社長??」
答え合わせの為、久保へと問う。
「あの……笑顔が素敵で、清廉で礼儀正しそうな彼女が──如月だったりする?」
まさかね〜? なんて、内心思いながら……久保へと、そう問うた。
すると──。
「──するね(笑)」
と……帰って来たのは、耳を疑いたくなる回答。
だからね、その瞬間……脊髄反射の様に、言葉がコンニチワした私は悪く無いと思うの。
──ついでに、近くを通りがかった如月のπを私のお手が握り潰さんばかりに鷲掴んじゃったのもね!
「ひゃあッ///」
「すぅぅッ──ガチ過ぎて引くわ!!! それと、この胸はどうなってるのよ!? 何で私よりも立派なπが男の如月から生えてるの? どうやって生やしたのよ、魔法? 人体改造?? それとも課金??? 幾ら使ったのよ、ざけんじゃ無いわよ糞がッ!!!!!」
■■■???■■■
「──( ・ω・)……じゅるり」
「おい、田中くん──早く案内を……」
「たこ焼き美味そう……」
「…………はぁ〜〜〜ッ! 君、たこ焼きを二つ頼むよ。コレ食べたら、ちゃんと案内してくれたまえよ?」
「ヽ(*^ω^*)ノ」
「はぁ、全く困っ……ん? 彼方に人だかりが──」
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