VS ヒナちゃん……さん
──数すらロクに数えられないおバカな鳥は私です……(スライディング土下座)
◆◆◆〜〜〜援軍〜〜〜◆◆◆
「──ッ、バハムート! テイルッ!!!」
「ハッ、そんな攻撃が当たるとでも思っているのかい!? スレイプニル、躱したまえ!」
ダメ、相手のモンスターが速すぎる!
──あれじゃあ、龍鬽くんのバハムートの攻撃が当たらない! どうにか、相手の動きを封じないと……!
「レヴィアタン、ブレ──」
「──させないよ? 結界展開&使い魔召喚!!!」
レヴィアタンがブレスを放つ瞬間!
同時にヒナちゃんさんは数枚の紙? お札?? を、空中にばら撒く!
すると、お札から細い光の線が伸び……別のお札の線と結び付き、鳥籠のようにレヴィアタンを囲い込んだ!
「──ッ!? これは……」
考える間もなく、レヴィアタンのブレスが放たれる!
が──ブレスが鳥籠に触れた瞬間、まるで鳥籠に吸収される様に渦を巻いて消えてゆく。
「ふっふっふ! お返しするよん♪」
ヒナちゃんさんが笑いながら、そう告げた時──
『──ッッッ!??!?』
「きゃあッッ!!?!?」
紺碧の光線がレヴィアタンの背後に直撃する!
襲い来る衝撃に、レヴィアタンの大きな身体がグラつき──私は落下しそうになるが、何とか踏み止まった。
…………でも、今のは……!
「レヴィアタンの……ブレス??」
「せいか〜い! その結界は中からの攻撃を全て吸収し、相手に返すモノだよん♪」
──だから気を付けてね?
と、ヒナちゃんさんは笑う。
「あぁ、ソレとその子達の相手も頑張ってねぇ〜!」
……え? その子達…………???
ヒナちゃんさんが指差した方を見ると、鳥籠を形成しているお札から──触sッ!?
「──ひゃあッ!? い、嫌! ち、ちょっとコレ何ですか!!? って、ふぁ!?!!?」
ネバネバした触手が、私とレヴィアタンを瞬時に拘束し……って、ちょ!?? 服の中に!?
ε=┌(┌ ^q^)┐┌(┌ ^q^)┐┌(┌ ^q^)┐
ε=┌(┌ ^q^)┐┌(┌ ^q^)┐┌(┌ ^q^)┐
──ヒッ!?? しかも、何!? なんか変なのがレヴィアタンの身体をよじ登ってくる!??
「ぬふはははははッッッ!!! さぁ、我が眷属達よ! 冬に向けて撮影じゃぁあああああッ!!!!!」
──へ!? さ、撮影ってまさかこの姿を!!?
◆◆◆
キュピーーーΣ( ^ω^ )ーーーン!??
「何だ? いま、猛烈にヒナちゃん先輩に感謝しなくてはならない案件が発生した様な気がする!!!」
「──真顔でいきなり何言ってんの、アンタ?」
理解らんッ!!!
「いや、何か猛烈にヒナちゃん先輩に投げ銭しなきゃいけない様な気がして──!?」
──今はヒナちゃん先輩とは敵同士の筈だが、何故、そう思ったんだオレ!?!!?
◆◆◆
「ひゃッ、あ、やめて!!! そ、其処は弱ッ、あ、ふふ! いや、擽らないで下さ──アハハハハッ!!!」
「……え〜? 何この健全な反応??? 可愛い女の子と触手の組み合わせなのに何故こうなったし?」
ど、どうしよう!? はや、く触手を何とかしないと! 龍鬽くんを援護しなきゃ!!!
『──何をやっているんだ、お前は?』
『なぁ、重いんだが……もう手を離しても良いか??』
「──え!? いま手を離されたらオレとゴーレムくん地上に落下しちゃうんですけど!?!!?」
と、上空から絶対零度の冷たい声が降ってくる!
顔を上げ、涙の滲む目で上空を見ると……何? あの大岩??? 誰か上に乗ってるみたいだけど……?
──いや! それよりもあの冷たい声は!!?
「キメラさん!? 其処に居るんですか!!?」
『あぁ。何だ? 助けて欲s──』
「──この先に龍鬽くんが居ます! 相手のモンスターが速過ぎて全く攻撃が当たらないんです、援護をお願いしても良いですか!?」
何で此処にキメラさんが居るのか、気になるけど後だッ! それよりも今は龍鬽くんの方を!!!
『…………お前はどうする気だ?』
「自力でどうにかします!」
キメラさんの質問にそう答えると──上空から大きな溜息が降ってきた。
『──そうか。では、一つヒントをくれてやろう……外が強固であれば内は脆い。逆もまた然りだ』
『あれ? 放置で良いのかキメラ?? あの子、主のお気に入りだろ?』
『煩い。サッサと行くぞ』
「あらあら、しょっぱい青春ね(*^ω^*)」
『まあまあ、今夜はお赤飯かしら(*^ω^*)』
『喰い殺されたいのか? 貴様ら???』
そう言い合いながらも、キメラさん達は龍鬽くんの方へと向かって飛んでゆく。
「──あのさ、助けて貰わなくて良かったの?」
眉を寄せながら、ヒナちゃんさんが訊いてきた。
「はい! ヒントも貰えましたし!!!」
「ふ〜ん……まぁ、ウチ的には助かるけどさぁ、流石にあの三人の相手は骨が折れそうだし」
其処までして、戦ってやる理由も無いしね〜! と、ヒナちゃんさんは続ける。
「──そうなんですか?」
「うん! だって、必死になって戦うとか恥ずいじゃん? もっと軽く、緩くで良くない??」
…………そうなのかな……?
「だからちょっと良く理解んないんだよね? どうして、そんなに頑張ろうとするワケ??」
「助けてって言えば良かったじゃん?」
「そうすれば、その結界からも一瞬で出られたのに」
「楽したく無いの??」
「何で苦しい方に進むの???」
「──辛くない? それ??」
? 耳の中で、ヒナちゃんさんの言葉が何度も何度もヤマビコの様に繰り返される。
──苦しくないの? 辛くないの?? 楽をすればいいのに。どうして頑張るの?
と……何度も何度も。繰り返し繰り返し。
うん、確かに──
「──確かに、私も、苦しい事や辛い事は嫌いです。やりたくありません」
「アハハッ、だよね〜! じゃあホラ、こんな無意味な事はもう──」
「──でも」
「うん?」
「やります。って言っちゃったので、苦しくても、辛くてもやり切りますよ」
「……へ?」
「だってホラ、やっぱり出来ませんでした! 無理でした。って、言う方が恥ずかしいじゃないですか」
「──私にだって通したい意地くらいありますから!」
だから……!
「出来る事は全てやります! それでもダメなら当たって砕けろの精神で頑張るまでです!」
「砕けたらダメなのでは? てか、可愛い女の子なのに精神が漢なんだけど!? 呪言効かないとかマ?」
┌(┌ ^q^)┐ ポッ……♡
┌(┌ ^q^)┐ ヤダッ、格好いい♡
「──ちょッ!? ウチの使い魔達がッ嘘ぉ!!?」
……キメラさんのヒント、あとヒナちゃんさんの言ってた事をもう一度よく考えろ──(←聴いてない)
外が強固であれば内は脆い……逆もまた然り。
なら、この結界は?
中からの攻撃を全て吸収し、相手に返す……鳥籠、閉じ込めるモノ──
だとすれば……内が強固で、外が脆い?
──でも、どうやって外から攻撃を……いや、待って?
中からの攻撃を全て吸収し相手に返す──?
なら、『攻撃』以外は???
「ッ! レヴィアタン、『天候変化:雨』!」
──どうなる!?
レヴィアタンが咆哮を上げると共に、上空──結界の外に、黒雲が生み出され……雨が降る!
「……えッ……雨??」
ッ──攻撃以外には反応しない!? なら!
「レヴィアタン──『天候変化:大嵐』!!!」
『────ッッッ!!!!!』
レヴィアタンの咆哮が、再び空気を震わせた!
先程とは比べ物にならない黒雲が空を覆い、暴風が豪雨が、周辺へと無慈悲に襲い掛かる!
「──なッ!? そんなのアリ!!?」
──ヒナちゃんさんの悲鳴と共に、暴風と豪雨に晒されたお札が、次々と効力を失ったかの様に彼方へと吹き飛ばされてゆく。
そして、それと同時に──
光の線によって構成された鳥籠も……消滅した。
「……レヴィアタン、もうい──ッ」
「──ちょっ!? 嘘、吹き飛ばされるッ!!?」
ッッ!? ヒナちゃんさんが──ッ!??
「──レヴィアタン!!!!!」
◆◆◆
「好き。もう一生推せる愛してる♡」
「…………あはは……はぁ……」
『ほぅ? それで、風に飛ばされそうになっていた其処の雌を助けて、めでたしめでたし……と?』
『ふぅ〜ん、そうなんだぁ……』
「それは良かったなぁ、佐藤。で? オレ達に何か言う事あるよな?? ん?」
「──大嵐起こしてすみませんでした……」
髪が爆発して大変な事になってる御三方に頭を下げる。本当に反省してます御免なさい。
「いいじゃん、その爆発頭も似合ってるよ?」
「──ちょっ!? ヒナちゃんさん!!?」
『ほぅ^ ^』
『そうか、では貴様らも^ ^』
「同じにしてやろうかぁあああッッッ!?!!?」
──いやぁーーーーーッッッ!??!?
「私ちゃんと謝ったじゃないですか!?」
「そーだそーだ! 写メ送ったけど、キー様なんて爆笑からの呼吸困難で今、生死の境彷徨ってるよ!」
『主ッ!!?!?』
「先生なにやってんッすか!??!?」
『惜しい主を亡くした。で? ヒナちゃんだったか?? お前はコレからどうするのだ?』
──ぇえ??? あのパラサイトさん、如月さんの存在軽過ぎませんか?
「うっわ、白崎と同じ顔でその口調はバグるわ……ウチはもう降りるよ」
『そうか──では、リタイアすると良い。なるべく早くした方が身のためだぞ』
「──? ま、いいけど。じゃあね、アー様♡」
「アー様!? それって、まさか私の事ですか!?」
「勿論、決まってんじゃん!! じゃあ、また逢おうね〜審判、リタイアしまーす!!!」
そう言い終わるや否や、ヒナちゃんさんは金色の粒子となって霧散した。
「ふぅ、勝てて良かったです……龍鬽くんも無事で本当に良かった!」
「………………ぁ、ああ。そうだな……(目そらし)」
『ぶふッw』
『ホントに良かったな、ウンwww』
「だぁあああ!!! オレの事は良いだろ、ほら、さっさと戻るぞ!」
……え? 戻るって???
「あの、龍鬽くん? まだ久保さん? を、倒してませんけど??」
「──ソイツなら、先生の所に来たから倒したって連絡あった」
「えぇ!?!!?」
「だから此処に居る意味はねぇってよ……はぁ!」
拗ねた様に、龍鬽くんは溜息を吐く。
──? キメラさん達と何かあったのかな??
■■■メッセージログ■■■
「…………先生」
『はい、先生です。いきなり連絡してきてどした?』
「援軍来たんスけど?」
『うん。行かせた』
「連合軍の奴も?」
『うん』
「先生、正直に答えて下さいね?」
『はい』
「こっちに久保って奴、ホントに居るんスか?」
「それらしい奴居ないんスけど?」
「追撃も無いし」
「あと、キメラさんやパラサイトさんが拠点から離れたのって、オレらが先生に頼まれるより前でしたよね?」
「それなのに、連合軍の援軍を連れてくるって」
「おかしく無いっスか???」
「しかも此処に」
「──先生?(怒)」
『………………………………てへ☆』
「何割こうなるって思った? 言え( 圧 )」
『m(_ _)m』
「──言え。事によっては先生と言えど〆」
『5割くらいこうなるかもって思いました』
「ダウト!」
『…………9割です。御免なさい』
「久保は?」
『コッチに来たので殺りました』
「先生…………」
『………………はい』
「問:目の前で敵が落下し、母なる大地にkissして消えたオレの気持ちを答えよ」
『ごめん、笑った』
「オレ、めっちゃヤル気だったんスよ?」
「佐藤も喜んでましたけど、やっとオレも先生の役に立てるって……」
「嬉しかったんスよ?」
「初めて頼られたって……」
『久遠……』
「──なのに! いきなり上空から『助けに来たぜ!』って変な奴が乱入してきて!!!
その勢いに耐えられなかったパラサイトさんが『あッ……』って岩を掴んでた手を離しちまって──『おまッ、馬鹿!』ってキメラさんも耐えられず手を離して!
乱入しようとした奴が乗ってた岩と共に落下!!!
からの、突然の事態にモンスターへの指示が出せなかった敵も巻き添えで落下!」
「敵だった奴が悉く粒子となって霧散したオレの気持ちがアンタに理解るか!?」
『ごめッwww』
「あーもうマジでねぇわ!」
「佐藤にも言おうかなぁ!??」
「先生、全部自分で片付けるつもりだったって!」
「言っちゃおうかなぁ!!?!?」
『いやいやいや! 違うから!!!』
『ちゃんと信頼してたから!』
『先生は綾ちゃんの事も久遠の事も信じてたよ!』
『──だから久保を倒せたんだって!』
「(¬_¬)」
『分かった。どうすれば信じてくれる?』
『──株か?』
「今度から、ちゃんと事前に教えて下さい」
「隠すな!」
「ソレで手を打ちます」
『………………』
「返事!!!」
『──はい』
「言質取ったっスよ! 先生!!!」
『はい。取られました』
「じゃあ、そっちに戻ります」
『はい……待ってます』
■■■
「社長。子の成長って驚くぐらい速いですね」
「──ホントにどうしたの、アンタ?」
──はい……。
この前『残り二話ほどで体育祭編は終わります!』的な事を書きましたが、閉幕式を含め忘れてました御免なさいm(_ _)m
──なので次回が体育祭編ラストです。
冠羽とって頭丸くします。
本当に──すみませんでしたッッッ!!!
……宜しければ、また見て下さると幸いです。
ここまで、ご覧下さりありがとうございました!