調子に乗った魔王軍をボコろうZe作戦
◆◆◆
「──そう言えば、社長? 何時、縄から抜け出したんですか?? 結構キツく縛ってたんですけど?」
「はぁ!? こんな時に何よいきなり!!?」
驚いたのか、社長は素っ頓狂な声を上げるが……思い出せないのか、眉を顰めた。
「……あら? でも、そう言えば何時、私は縄から抜け出したんだっけ?? おかしい……思い、出せない?」
「もしかして、綾ちゃんが解いてくれたとか? ホラ、あの子優しいので!」
「──え? ぁ……あぁ、そうだったかも知れないわね! 嫌ね、私ったら歳かしら??」
………………。
■■■〜〜〜篝火〜〜〜■■■
『──主! 命令通り、生き残った勇者軍も纏めて連れて来ました!!!』
『撤退中に複数の魔王軍と戦闘。此方のモンスターが若干やられたが、襲って来た奴らも道連れにして来た』
「はい、ご苦労さん。本物の白神が出て来た以上、ややこしいからキメラは擬態を解除してくれ」
──に、しても……数が減ったな。
キメラとパラサイトが連れて来た人数は多く見積もっても、十数人。二十人にも及ばない。
この状況じゃあ、恐らく社長軍の方も人数は期待できないだろうな。連合軍はオレが潰したし。
『もう記憶喪失のフリはいいのか?』
「ああ。だいぶ人数も減ったし、魔王軍の奴らには多分もうバレてるしな? (¬_¬)」
木┐
木)┐
木^)┐
──裏切りの件も含めて、な?
『──主! 擬態、解除しました!!!』
「ッ……本当に、白神さんではなかったんですね」
「はぁ、オレ……普通に騙されてたわ」
「お前らはまだマシだろ? オレなんて本物の白神の前で、偽者の方が絶対本物だって言ってたんだぞ!?」
「オレも……白神と顔合わせるの気不味いわ」
「つか如月、お前、記憶喪失治ってたんだってな!?」
「オレらの心配返せよ、クソ下衆野郎がよぉ〜!」
等など、勇者軍から口々に文句が飛んでくるが知らん。見抜けなかったのはお前らの落ち度だ。
──オレ関係無いもん! と、
「そりゃあ白神くんもキレて闇堕ちするわ。ちゃんと反省しろよ、お前ら!」
『因みに、私がカミングアウトした時の映像が此方ですよ主。ドッキリの仕掛け人の気持ちが理解りました!』
……煽る。
あとキメラ、その映像頂戴。体育祭終わってから上映するから。
「お前の所為なんだよなぁ〜〜〜!」
「人の心とか無いんかお前は!!?」
「──お黙り! 見抜けなかった貴方達に何か言う資格なんてありません、この薄情者どもが!!!」
オレの所為にしてんじゃねぇよ、このなんちゃって友人共がよぉ〜!
◆◆◆10分後◆◆◆
「──オレらは白神の友人失格だぁ〜!」
「白神ぃ〜ごめんよ〜〜〜!!!」
「ちょっ、先輩がた! しっかりして下さい!!! まだ僕たちにも出来る事が──」
──ありゃまぁ、ちょっと責め過ぎたかな?
「おぅ! 反省しろよ、薄情者ども!!!」
「「「──白神ぃ"〜ごめ"ん"よ"〜〜〜!!!」」」
「何で余計に拗らせるんですか!?? 収拾がつかなくなりますよ!?」
いいの、いいの♪ 事実だから☆
泣きたい奴は泣かせとけ。それより、
「それより君、勇者軍の拠点で結界張ってた子だろ? この拠点にも同じの張れる??」
「ぇ、まぁ……はい。先輩に手伝ってもらいながらですけど──というか、話題の変え方急過ぎません!?」
ツッコミ気質なのか、めっちゃツッコんでくるなこの子。今からそんなんじゃ、この学校では苦労するぞ?
「──戻りました! 結構やられちゃってたけど、残ってる人達だけでも連れて来ました!!!」
「先生! 頼まれてた映像、送信っときます!!」
おっ、ナイスタイミング!
「二人ともご苦労様。じゃあ君、さっそくで悪いんだけど結界張ってくれる?」
「──え? でも、先輩に手伝ってもらわないと……」
「OK。おぃ、薄情者ども……仕事だ、来い」
「「「白神ぃいいいいいいいいいいッッッ!!!」」」
「──だから何で余計に拗らせるんですか!!?」
・
・
・
「あの、一応……張りましたけど、結界」
「ああ、お疲れ様!」
結界を張り終えた勇者軍の子が報告してくれるが……妙だな? 魔王軍、なぜ攻めて来ない???
社長の件や、味方同士での同士討ち……
この、大変オレ好みな策を考えそうな奴なんて、魔王軍には奴しか居ない。
いや──そもそも三馬鹿やヒナちゃん先輩という自由人共の手綱を握れる?のが、他に居ないのだ!
──何でアレ、組織として成り立ったんだろうな!?
あ、ぃや……こほん! ま、まぁええわ。
──ならば此方も、今の内に準備を整えるまでよ!
「おし、負け犬共あつまれ!!! そして注目!」
そう、声を張り上げた途端……全方向からギロリッ、とオレに視線が向けられる。
「──負け犬諸君よ、君達に問おう! 君達はこのまま自身が負け犬である事を受け入れるのか?!」
が、んなモン関係ねぇとばかりにオレは問う。
「…………は? んなワケn──」
「──社長煩いです。ハイッ、僕は負け犬ですワン! って、思ってるヤツ挙手!」
「アンタが訊いたんでしょうが!!?」
はいはい、社長は向こうで遊んでなさい──と、誰も手を挙げないか。
「じゃあ、ここから魔王軍に逆転できる策が有るってヤツは挙手!」
…………誰の手も挙がらない。か。
じゃあ、しゃーないな!!!
「あれ、誰も居ないのか? なら、は〜〜〜い☆」
と、態とらしくなったがオレは手を挙げた。
ふふんッ、オレを睨む奴らの視線に──ほんの僅かな『期待』が灯る。
──オレは邪悪に微笑むと、計画を話す前にもう一つ問う。
「じゃあ──いま勝っているからって調子に乗ってる魔王軍に泣きを見せたいって奴、挙手!!!」
「「「「「──ッッッ!!!!!」」」」」
おっほぉwww
──全員挙手するとか、魔王軍って嫌われてるぅ!
だが、その『期待』……応えてやろうじゃないか!
「成程な……さて、お前らぁ! オレを信用できるかぁあ!?」
「無理」
「不可」
「できません!!!」
「宜しい! では、信じる信じないは好きにしろ!! 怪しいと思うなら奇襲上等よ! それではコレより、魔王軍をボコる作戦を説明する!!!」
◆◆◆
──地を揺らす歓声と共に、巨大な黒い篝火が人々の心から上空へと昇る。
『(主もその魔王軍なのだがな……)』
『(シッ! 主としては最早勝利よりも「復讐」の方が大事なのだろう。素敵です主!)』
パラサイトは同僚のモンスターに呆れた目を向けるが、直ぐに視線を、自身の主人へと戻す。
──と、淡々と作戦&魔王軍への愚痴を語っていた主人がキリッと視線を上げ、告げる。
「──ではコレより、調子に乗った魔王軍をボコろうZe作戦を開始する! 各自、配置につけ!!!」
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