アニオタのアイツ
■■■黄鳳高校 〜二年一組〜■■■
──パフェ事件から約一月後。
『〜〜♪〜♪♪〜〜〜〜〜〜』
──教室内に、スマホの着信音が鳴り響く。
おいおい、授業中に誰だよ? 電源切っておけよ、恥ずかしいよそういうの。
「如月ぃ〜、授業中くらいスマホの電源落としとけ〜」
「はい、すんませんでした!」
──まぁ、オレのなんだけどね!!! 誰だよ授業中にピンポイントで掛けてきたバカは!?
『糞ゴリ社長』(←ピンポイントで掛けてきたバカ)
………………………………無視してもいいかな?
「ん、んん”ッ! がふッ──お客様がお掛けになったお電話は、只今、電波の届かない場所に──」
「──如月ね! ちょっと今からカチコミに行くから、一緒に来なさい!!」
( ̄(工) ̄) <はぁ??
「……オレ今日学校なんですけど??」
「だから何よ? 世界征服と学校どっちが大事なのよ??」
「──単位ですね! というワケで、世界征服は社長一人でお願いします!!」
留年なんて冗談じゃない!
「……お〜い如月ぃ〜、そろそろ電話やめて先生の授業をちゃんと受けないと、先生泣いちゃうぞ〜?」
「──りょ! という事で、電話切りますね!」
あばよ千尋さん! せいぜいボッチで頑張んな!!
「ほ〜ぅ……緊急出勤は時給二倍&ボーナス有りなのに……残ね──」
「──先生! 先生の授業は左耳さんがちゃんと受けてます!! 寧ろ、ボクちょっとお腹痛くて死にそうなんで早退します!!」
あー、お腹が痛くてキツいなぁ! コレは早くお家に帰って休まないとなぁーーー(棒)!!!
「お〜、すげぇ元気そうに見えるんだけどなぁ〜? まぁ先生は止めませんけどね〜。早退届けにそれっぽい事書いて、気ぃ付けて帰れよ〜」
「──あざぁ〜す! 先生に迷惑が掛からないように体調悪そうに帰りま〜す!!」
■■■帰宅→会社■■■
「──すいません、遅れました☆」
「アンタ流れるように早退してきたわね!? あまりの速さにビックリしたわよ!!」
(≧∀≦)<テヘ☆
「──サボりなんて知りません。みたいな清楚な顔して堂々と……ま、まぁいいわ! 少し待ってなさい!!」
……ん? 即、出発じゃないのか??
──数分後──
……コンコン、と控えめなノック音が社長室の扉から鳴る。
「──あ、来たみたいね! どうぞ!!」
………………?
ウチの社員でわざわざ社長室にノックしてから入って来るような礼儀正しい奴なんて居たっけ?
「す、すいません……遅くなりました」
「──ッひ!? 綾ちゃん!?!!?」
思わず、オレは声を上げる!
オレの脳裏に過ぎるのは、一月前のパフェ事件と……あと、アレだ。
なんか黙示録とかいう厨二組織をボコボコにした記憶だ。
そしてこの娘は、その厨二組織……基、黙示録のリーダー──『帝王(笑)』佐藤の愛娘……佐藤 綾。
……自分の父親が厨二病を発症し、そのうえ『騎士』とかいうイタい二つ名まで父親に付けられた被害者だ。
「あ! 如月さん、お久しぶりです!!」
嬉しそうに綾ちゃんは駆けてくるが、ふと、キメラがオレの前に割り込んでくる。
『──お久しぶりです、綾さま。申し訳ありませんが、主は現在、体調があまり良くありません。ですので、あまり近付かないようお願いします』
つーか何でコイツ、勝手に出てきてんの?
……あと何でそんなに敵対心燃やしてるの?? 喫茶店でも思ってたけどさ。
「え? 如月さん体調良くないんですか!? そういえば、何だか顔色も悪いような……?」
「──ひぇッ!? い、いや、大丈夫だよ! 何も問題無いから!!」
オレは恐怖に耐え、何とか言葉を絞り出す。
…………ごめんよ、綾ちゃん。あのパフェ事件のせいで、ちょっと今は……君と甘いモノに恐怖心を感じるから、距離を置きたいと言うか何というか……。
虫には慣れたよ。……偶に、鏡に映った自分の顔見て悲鳴上げる時もあるけどね……オレ。
「──そ、そうなんですか? それなら、良かった……あ、話しは変わりますけど、この前、また美味しいパフェのお店を見つけたんですけど……その、今度一緒に──」
「──あーあーあー!! ご、ごめんねオレ暫く用事が色々とあるからちょっと今は付き合えないんだ!!! あの、アレだったらキメラ貸すからキメラと一緒に行ってくるといいよ!! キメラも甘いモノ好きだしさ! なっ、キメラ!!? 好きだよな甘いモノ!?!!?」
キメラの肩を背後から鷲掴み、盾にさせてもらう!!
──もう甘いモノは嫌だ勘弁してくれ許して下さいお願いします!!
『へ? ま、まぁ甘いモノは好きですけど……主?』
──無理、嫌、NO!!!
『意思疎通に不具合か? いやでも……』
──もうあんなクリームの山は見たくない、練乳蜂蜜フレーク生チョコ、これでもかと盛られているアイスと生クリーム……追加の果物山盛り──もう無理、オレの胃袋は限界を迎えました。これ以上食べたら死んでしまいます。
『ッ!? 食べたら死ぬ!?!!?』
「──へッ!??!? 死ぬって……え!?!??」
キメラに続いて、綾ちゃんも声を上げる。
……ッ!! やめて、心配してくれるのは嬉しいけど、それ以上コッチに来ないで!! 胸焼けが…………ッ!
「ち、千尋さん! まだ行かないんですか!? というか、いったい何処にカチコミしに行くんですか!??」
──た、多少強引だが、何とか話題を変えないと……!
◆◆◆聖域◆◆◆
「──組織の一つを見つけた?」
話題を逸らす為に訊いてはみたが、コッチも碌な話題じゃなかったわ。
「そうよ! 会社の隠密部からの情報だから確かよ!!」
…………は?
「──隠密部? 諜報部とかでは無く??」
「隠密部よ。主な仕事は、相手の会社に侵入して情報を抜いて来たり──」
犯罪っスね! もはやスレスレでさえ無い!
「外回りと称して、敵対組織の情報を集めてくれたり……」
あ、まぁ……ソコは普通に優秀っスね。
「後は、モンスターを集めてくれたりね! ホントに助かってるわ!!」
──いや、ソレは只、外でゲームして遊んでいるだけですよ!? 三つ目だけやってる事ショボ!!
「つーか、いつの間にそんな部署? を新しく作ったんですか?? タダでさえ、今ウチの会社は人手不足なのに?」
……このご時世、いったい何処から人手を持って来たんだ? 他の部署からだったら殴るぞ??
「──え? 何処からって……そんなの『黙示録』からに決まってるじゃない!! アイツらを纏めて会社に引き込んだのよ!」
……は? 黙示録から引き込んだ??
「kwsk!」
「──へ? 詳しくって言われてもね……黙示録の連中なんだけど、高学歴なのに何故か働いていない子とかバイトしてる子とかばかりだったの」
あッ(察し)。
「で、それなら──表向きはウチの社員として、裏では世界征服の為に働いてみない? って言ったのよ」
……あー、そんなワードを並べたと?
「勿論、お給金だってちゃんと出すし……表向きとは言え仕事だからね? その出来によっては昇進やお給金を上げたりもするって言ったら──皆んな喜んで飛びついて来たわ」
──でしょうね。
いやぁ……上手くやるだろう。って思ってはいたが、まさかココまでとは──。
人手不足の解消と、世界征服の前進……しかも敵組織を丸々一個取り込むとか──マジかぁ。
「なるほど……だいたい把握しました。ですが、まだ綾ちゃんは中学生ですよ? 学校をサボらせるなんて……」
サボりはイカんよ? 嵌ったらどうしてくれる??
「……あ、いえ……私は今日、学校が休みなんです。その、振り替え休日で……」
「サボりはアンタだけよ、如月」
…………あぁ〜、な〜るほ〜どね〜〜〜?? サボったのはオレだけッスか。それは失礼しました!!
「──ならば良し!! で、何処の組織にカチコミするんですか?」
流れる様に話しを進めさせてもらう!! 恥ずかしいんだよバカッ!!
「組織名は『聖域』、リーダーは『教皇』──鈴木 信二! アニオタのアイツよ!」
「あ〜、あの人ですか……( ´_ゝ`)」
『ッ!?』
「──ふぇ!?? き、如月さん!?」
「ん? 何かな、綾ちゃん……( ´_ゝ`)」
『いやあの、主?』
「如月さん……その顔、どうしたんですか!!?」
──顔? あぁ、顔ね……。
「理解るわよ如月くん……私も、同じ顔しちゃいそうだから──( ´_ゝ`)」
「──もうなってますよ、千尋さん……( ´_ゝ`)」
「「「……はぁあああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ……( ´_ゝ`)」」」
いやマジで気が重いわ。二つ目でもう当たるのか……。
『あの、主……?』
「如月さん……??」
──あぁ、キメラも綾ちゃんも知らなかったっけ? あの人のこと……。
「はぁ、よりによって『教皇』っスか。最後に回しちゃダメなんですか?」
「……気持ちは分かるわ……。でもね、いつかは殺らなきゃ──あぁ、ゴメンなさい。やらなきゃいけないのよ!」
「──そうっスよね……はぁぁ。オレ、何であの人をテストプレイヤーにしちゃったんですかねぇ……( ´_ゝ`)」
「疲れてたのよ……多分( ´_ゝ`)」
「「「…………はぁあああああああああああああああああああああああああああぁぁぁ……( ´_ゝ`)」」」
『いや、ですから主! どうされたのですか!??』
「如月さんだけじゃなく、社長さんまで! その組織の人って、そんなに危ない人なんですか!?」
──危ない……か。
「うん。ある意味で──ヤバい人だよ( ´_ゝ`)」
「……著作権を脅かしかねない危険人物よ……( ´_ゝ`)」
はぁ、隠密部よ……何故、よりにもよってあの人の組織を発見したんだ? 勘弁してくれ。
見てくれてありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いしますm(_ _)m




