騎馬戦4
■■■前回のあらすじ■■■
──汚ねぇ花火だ!!!!!
◆◆◆
「ふぅ☆ じゃ、次は何処へ行こうかなぁ? あ、KP、魔王軍が一番苦戦してんの何処よ?」
「──あー、ごめん今ちょっとお前のヤバさに頭がフリーズしてるから待って……」
崩壊した花火会場の跡地を青い顔で見てたKPに問うが、言うほどヤバいか?
「それがのぉ……何処もかしこもお主らに蹂躙されて旗を奪取されたようでの。そもそも苦戦してないんじゃ」
「あらま。開始してまだ10分も経ってないのに、他の軍は根性無いなぁ」
と、代わりに校長が答えてくれるが──拍子抜けにも程があるだろ、つまらんな。
「はぁ。セラフ、結界を解除」
『……良いのか? まだ煙が凄くて中を確認出来ていないが?』
お前……あの花火の中だぞ? 耐えられる奴なんておる? ハハッ、ナイナイ。
──それにな? せっかく色々と考えたのにこんなのつまらな過ぎるだろ!?
ここはもう、最終プランである『男の浪漫』を披露する事で自分を慰めるしかないじゃない!
と、いうワケで──!
「良い良い、解除お願いしまーす! パラサイトとイヴィルは準備の方頼むな?」
『はぁ。どうなっても知らんぞ』
『了解しました、主』
『………………』
もうオレの頭の中の天秤は『警戒』よりも『好奇心』の方に傾いちまったんだから、仕方ないネ!
結界が解除され、花火会場の残骸を覆っていた白亜の膜が消える。
すると、モゥモゥと昇る土煙の中、何かがオレ目掛けて飛んで……ん?
──あらぁ♡ 香ばしい鶏さん、こんにちは!
飛んで来たソレをキャッチすると、ソレは──香ばしい、鶏で……いや、でもコイツの尾は蛇で???
いや、というかコカトリスじゃね? コカトリスだよな鶏さんッ!? いや待ってアカン!!!
「──ッ、セラフ! 全域に『天の加護』!!!」
『クォケェコッコォォォオオオオオッッッ!!!!!』
──途端ッ、鼓膜が破れそうな程の爆音がオレの腕の中から襲い来る!
うぅ……耳がキーンってするんじゃぁ。
だが、コレは相手を舐め腐ってたオレへの罰か。オレの鼓膜よ……良くぞ耐えた!
「──混沌龍!!!」
そして追撃ですかそうですか!
コカトリスを手放し、重くなった剣で土煙の中から突っ込んで来る混沌龍を防ぐ!
「……ぐぁッおっっっも!!!!! 無理無理無理無理ッ腕が逝く! めっちゃ痺れてんだけど!?」
「ゴホッ──はぁ。ダメっすよ先生、相手は、ちゃんと観察しないと……?」
本気それな! 数刻前までのオレをぶん殴ってやりたいよクソが!!!
そして最上級の煽り文句をありがとう、久遠。
(さて……コレ、今のオレじゃあそう何回も耐えられないな。一旦呼び戻すか? いや、ここは──)
◆◆◆
「はは、言ってくれるな久遠。オレもそこそこ反省してる。参考までに訊きたいんだが、どうやったんだ?」
──まぁ、大体把握しているが。
「デュッフッフッ!!! それは──我が愛すべき女神、アテナ様の御力によるモノで御座る!」
うん、でしょうね。その御力の名前は『無敵付与』なんだろ? アレ強いよね。
「ヘェーソレハ凄イナァーーー(棒)」
「そうでござろう、そうでござろう!? アテナ様は偉大なので御座るよ!」
──ウン! ホントニ凄イナ!!! ふぅ……あともうちょい稼げば良いかな?
「でも残念で御座るよ! 境夜たんが鶏氏に気付くのがもう少し遅ければ、楽に倒せたモノを!!!」
うん……うん? あれ、オレもしや舐められてる?
「楽に倒せた? …………オレが??」
この、オレが??? 何の策も無しに、楽に?
「そうで御座るよ! あの、たしか『天の加護』とか言ってた能力……あの発動がもう少し遅ければ!」
………………。
「確かに、セラフの能力『天の加護』は弱体化や不利な状態異常を防ぐスキルですけど──別にオレの為に使ったワケではありませんよ?」
「へ?」
「石化の対策くらいしてましたよ。セラフの能力を使ったのは、観客に何かあったら嫌だったからです」
コカトリスの石化範囲は広い。それに、カメラには音声マイクだって付いているんだ。
「マイクが鶏の雄叫びを拾ったら、下手すると観客全員石化ですよ? そりゃあオレだって焦ります」
「あ」×3
『主がわざわざ「全域」と言っていたのに気が付かなかったのか? お陰で維持するのが大変なのだが?』
「す、すみません先生」
「サーセンッした!」
「うわ、オレも気を付けよ……」
はぁ、無意識とか──今回はセラフが居たから良かったものの、また『島』の時みたいに……ん? あ。
「次からは気を付けて下さいね……あと、今は『戦闘中』である事もお忘れなく♡」
──よっしゃ! 結果的には鈴木&鶏のお陰で間に合った!
「イヴィル、パラサイト! 最終作戦『男の浪漫』始めるぞ!!!」
と、オレの声に呼応する様に……花火会場の残骸が轟音を響かせながら一箇所に集まってくる。
そして、ソレは徐々に組み上がり──
──石の『巨人』──へと、その姿を変えた。
◆◆◆ちょいとばかし補足失礼◆◆◆
セラフの能力、『天の加護』は弱体化や不利な状態異常を防ぐ。
全域=亜空間の外も、である。
Q:じゃあ何で『島』の時に使わなかったの?
A:実はセラフ君……お留守番組だったので『島』の時には手持ちに居なかったのだ。
お留守番=何処ぞの組織が身内に手を出した時用の護衛。あと買い物などの手伝いもしてた。
え? 暇な時は何してたって???
──ゴロゴロしてましたけど何か?
見てくれてありがとうございます!! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ