23年で変わったものは
「知ってたの?」
「23年の付き合いだからね」
「そう・・・・」
「私が和月だって、誰かに言った?」
「言わないよ」
「理由は?」
「君が俺の嫌がる話を言わないように
俺も君の嫌がる話は絶対にしない」
「本当にそれだけ?」
「それだけ、だけど・・・
そんなに誰にも話して欲しくないのか?」
「そうね。誰にも話して欲しくないわ」
「もし、俺が君の事を誰かに話したら
俺はこれから何をされていたのかな?」
「死ぬより辛い事でしょうね」
「そうか、教えてくれて助かる」
「絶対に言わないでよ」
「君の言うことはちゃんと守るさ」
「つんつん」
「誰だ?」
「しんみりしてますね。隊長」
「何しに来たんだ」
「ああ! そんな言い方、良くないですよ」
「まぁ、そうだな・・・・ それで?」
「そうです。忘れる所だった
隊長、敵がこのキャンプに気付き攻めて
来ました、命令をユリウス総隊長」
「分かった」
「一番隊に衛生兵の準備をさせておけ
二番隊には敵の遊撃をさせろ
三番隊にはキャンプの守りを固めてもらう」
「四番隊、聞こえているか?」
「四番隊のリディーです」
「聞こえているな?」
「はい。聞こえています」
「よし、状況を説明しよう
今、キャンプにヴァンパイアと思われる
敵が迫っている。ここまではいいな?」
「はい。聞いている通りです」
「他の隊の役割は?」
「それも聞いています」
「ここから君達の話だ、
四番隊には退路の確保をしてほしい」
「しかし、退路は必要でしょうか?」
「念のためだ、出来るな?」
「それは命令ですか」
「言わせるなよ、これは命令だ」
「ご命令には従わないと」
「そうしてくれ」
「総隊長、敵も何をするか分かった様です」
「その様だね、角笛を鳴らせ」
「古典的ですね」
「でも君は古典的な方が好きだろう。
チュナ:レイシード。そんな顔をしている」
「私が?」
「君が、だよ」
「総隊長、殺しますよ」
「失言だった、すまない」
私はこの戦いでどれだけの命を・・・
奪ったのだろう、今でも見えてしまう
過去の残像は、私の罪で罰なのか・・・?
何度も洗い取れない血は。
あの日を私を苦しめただろう。