名も亡き王
「アン・・・姉、か?」
「ん、カイト・・・・ お前!」
「ヴァンパイアのアルヴェンだ」
「俺が、ヴァンパイアが嫌いって・・・
知ってるよなぁぁぁ!! カイト!!」
「ハアァァッツ!」
「おっと、アンタ・・・・ 強いな」
「死ね! 死ね!! 死ね!」
「アン姉、やめろって!」
「邪魔だ! 殺すぞ!!」
「そうだ、やめろよ? 人間、」
「貴様あぁぁぁぁぁ!!」
「アンタ・・・・ いい加減、やめろよ」
「そろそろ・・・・ やめなさい。」
「じいさん、俺達を止めんな」
「そうだ、俺はコイツらが・・・!」
「双方、色々な思いが行き交っているだろう
だが、君達の為。もう一度だけ、言って置く
止めろ、私が言いたいのはこれだけだ」
「なら、じいさんが止めてみろ」
「こんな爺さんに俺を止められるか」
「これが・・・ 若さだな」
「爺さん、戦闘は出来ないんだろ?」
「戦闘は出来んよ、じゃが・・・・・
若者を脅かす位は容易じゃ、のう?ガキ共」
「・・・っ・・・・・」
「アンタ、ホントに人間か!?」
「ホホッ、協力は出来そうかの?」
「惚けやがって、クソジジイ!」
「若い女性がそんな言葉を使ってはいかんよ」
「姉さん」
「元はといえば。カイト! お前が、
ヴァンパイアなんて連れて来るからだ!」
「聞いてくれ、姉さん」
「お前の話なんて! もうこりごりだ!」
「復讐したいだろ?」
「当たり前だぁ!」
「なら協力しろ、何にも負けない国を造る
先ずはヴァンパイアと人が暮らせる国を
次は兵器や武器の開発、医学の進化、
尽きないエネルギー源、終わらない国・・・」
「そんな国は造れない!!」
「姉さんが協力してくれなければ!!
この話は! 理想に成り下がってしまう」
「だから・・・・協力しろって!?
都合のいいことばかり言ってんな!!」
「けど、復讐は出来る」
「そんなのは復讐じゃないんだよ・・・」
「アン=ユルファスさん。じゃな?」
「ジジイ・・・ 何で、俺の名前を」
「少しばかり・・・・ 未来に詳しいのだよ」
「答えになってないぞ」
「協力しなさい。 悪くはない世界だ」
「そんなのは信じられない」
「私はそう思ったよ、君も笑っていた」
「そんなの嘘だ!」
「嘘ではない。ただ・・・
未来の君が幸せだったかは分からんがね」
「・・・・・」
「だが・・・・ 協力しなければ。
君は未来のその時に。きっと後悔する」
「・・・・」
「どうかな?」
「・・・・・・分かった」
全く、君は本当に人を動かす男だね
「だから、出てくるなと言っただろう」
我慢が出来なくなって・・・・ すまない
「いいか、今の私は名も亡き王だ」




