三年の呪縛
短いお話です
三年の呪縛
仕事で知り合った悠里を
初めて見た時美人だと思った。
けれど、どこか覇気が無く
影があった。
けれど、その日は違った
彼とは別れたと悠里は
明るい表情で言った
同じ日の帰りにわたしが一人で歩いていると
急に綺麗な白いワンピースの女の人から
呼び止められた
「あの、お話よろしいですか?」
「はい?」
驚いて彼女の顔を見た
彼女はいきなり喋りだした。
「悠里さんの別れた彼は自己中心的な人です」
「えっ。」
急な言葉に私は後ずさった。
彼女は続きを話始めた。
「わたしは、許せないのです。
悠里さんという彼女が出来ても
付き合う前と全く生活を変えず相変わらず
男友達優先でした。
携帯もわざと出なかったり
電源切っていたり
そして日曜の夜だけしか
会おうとはしませんでした
三年もの間。」
「悠里ちゃんよく我慢しましたね。」
「ええ・・・悠里さんは自分に自信が
無かったのです。」
「あんなに美人なのに?」
「悠里さんは自分の容姿が良いなんて思っても
ないのです。」
「鏡を見ればわかるのではないかしら?」
「悠里さんは、鏡を信じていませんでした。」
「鏡を信じてはない?」
「この鏡が綺麗に写るのは、光の反射の誤作動
だと思っていました。」
「光りの反射の誤作動?」
「ええ。」
「でも、幾つも鏡有りますよね。」
「変な顔に映る鏡だけ信じていました。」
「それは悠里ちゃんから聞いたのですか?」
「いいえ。」
「じゃあ、なぜ?」
彼女は答えず意味深に笑うと
話を続けた。
「彼女は三年の間に、いくつもの出会いがありました
しかし付き合ってる彼がいるからと見向きもしませんでした。
好きだからではありません。
悠里さんは真面目すぎたのです。そして自分に自信が無かったのです。
悠里さんにとって、辛い三年間でした。
いいかげんな男で
悠里さんは心を病んでいったのです
わたしは、彼をどうしても許す事ができません。」
「あなたは誰なんですか?」
その人は少しの間沈黙してから答えた。
「彼女を見守っているものです。
実はあなたにお願いがあって来たのです。
どんな事があってもに彼と会ってはいけないと
明日、言ってください。」
「何かあるんですか?」
「明日になればわかりますよ。」
そう言って笑った。
次の日、仕事場で悠里は心配そうに言った。
「彼の友達から連絡が来て別れた彼が車ごと、崖から転落したの。」
「え、大丈夫だったの?」
「うん、奇跡的に助かったって。
車は大破しちゃたのに本人は全く無傷だって。」
わたしは慌てて言った。
「駄目だよ会っちゃ。もう別れたんだから、いいのよ。
バチがあたったのかもよ。」
「えっ・・バチ?」
「いいからいいから、さあ仕事仕事。」
それからわたしは、
心の中で、昨日話し掛けて来た謎の彼女に向いそっと呟いた。
「ナイスです!!」
前方を見ると前を歩く悠里に窓からキラキラと日差しが
あたって輝いて見えた。
END
読んでいただいてありがとうございました