疲労A
「おいおい、外務省って…」これには驚愕した。一端の高校生には、有り得ないことだから、経験なんて勿論ない。
あったとしても地球外生命体という概念を素直に認められる奴がこの地球上に何人いるのだろうか。
まあいたとするならば、友達にはなれそうだが。
しかし、
「しかし有り得ないだろうこれは…。」ぶつぶつと小言をもらしながら、髪を何度も掻きむしった。
その仕種のせいだろうか、女性は手紙を読み終えたと判断し、軽く僕に微笑んだ。
それは信じて頂けましたかと言わん許りで、僕は何も言えなくなる。苦難する。
頭の中は、反時計回りにぐるぐると逸物の不安が循環した。
そのせいだろうか、(*)……、突然、激しい頭痛と吐気が僕を襲った。
初めは、酔ってしまったんだと思ったのだが、だんだんと色覚が鈍くなり、辺りが黄色く薄れていく、
窓に建ち並ぶビルなんかは、既に視界に入らなくなっていったのだが、ふと見れば違う意味で見えなくなっていた。
終いには聴覚も鈍感になって、意識もなくなってきた。さすがにおかしいと思い、車の窓硝子に額をつけてはみたが何の効果もない。
仕方なく僕は、女性に状況を説明したのだが、女性は
「そうですか」と冷徹に答え何の対応もしてはくれなかった。
怒りを呈したところで何の解決にもならないと感じ、僕は眠ることにした。
話しは変わるが、朦朧とする意識内でも僕を苦難させていたものは、逸物の不安と選ばれてよかったという安心感、そして、彼女等への怒りだった。
次話から、本格的にSF始動です