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誰も俺を助けてくれない  作者: クンスト
第ニ十章 人類国家の挑戦
288/352

20-12 悪霊魔王の圧倒

==========

 ●悪霊魔王

==========

“●レベル:102”


“ステータス詳細

 ●力:1910 守:0 速:249

 ●魔:3652/3752

 ●運:0”


“スキル詳細

 ●悪竜固有スキル『暴虐』

 ●悪竜固有スキル『暴食』

 ●悪竜固有スキル『暴君』

 ●悪竜固有スキル『暴走』

 ●悪竜固有スキル『暴悪』

 ●吸血鬼固有スキル『不定形なる体』

 ●吸血鬼固有スキル『ブラッディ・ロード』

 ●オーク固有スキル『弱い者いじめ』

 ●コボルト固有スキル『家事手伝い』

 ●ケラ固有スキル『掘削』

 ●インプ固有スキル『耐魔法(弱)』

 ●骸骨兵固有スキル『超回復(骨折限定)』

 ●ケイブ蝙蝠固有スキル『可聴域拡大』

 ●スライム固有スキル『ヒアルロン酸』

 ●巨大鰻固有スキル『コラーゲン』

 ●大サザエ固有スキル『守強化(弱)』

 ●バトルシャーク固有スキル『ロレンチーニ器官』

 ●サバ固有スキル『青魚』

 ●サハギン固有スキル『海棲生物』

 ●人参固有スキル『カロテン』

 ●ナイトゴーント固有スキル『くすぐり』

 ●キャベツ固有スキル『ビタミンA』

 ●ショゴス固有スキル『漆黒体液』

 ●レタス固有スキル『ビタミンC』

 ●ロック鳥固有スキル『怪力』

 ●ワイバーン固有スキル『飛行速度強化(弱)』

 ●火竜固有スキル『フレイム・ブレス』

 ●魔王固有スキル『領土宣言』

 ●土地神固有スキル『信仰』(無効化)

 ●土地神固有スキル『文化熟知』(無効化)

 ●土地神固有スキル『土地繁栄』(無効化)

 ●土地神固有スキル『天災無効化』(無効化)

 ●実績達成ボーナススキル『勘違い(被害者)』(無効化)

 ●実績達成ボーナススキル『気苦労』(無効化)

 ●実績達成ボーナススキル『肉食嫌悪』(無効化)

 ●実績達成ボーナススキル『弱人間族(極)』(無効化)

 ●実績達成ボーナススキル『神格化』(無効化)

 ●実績達成ボーナススキル『弱勇者(大)』(無効化)

 ●実績達成ボーナススキル『悪霊化』(再開)

 ●実績達成ボーナススキル『従属化(主:御影)』(無効化)”


“職業詳細

 ●土地神(Aランク)(休職中)

 ●従僕ペット(Dランク)(無効化)

 ●魔王(Dランク)”

==========

 高温灼熱のブレスが大地を割り、空を切り裂く。連続で放出される『フレイム・ブレス』は光学兵器染みた直線軌道で被害をもたらす。

 『暴走』状態にあるドラゴンゾンビは頭を大きく振って暴れているため、遠くの山の上半分がスライドして崩落した。途中の川は水蒸気爆発を起して流れが停滞する。地形的な規模で被害が拡大していく。

「ァアアアァァアアアアアアアアッ!!」

 そして、とうとう、上から下へと落ちてくる軌道にてブレスはアニッシュ達が詰める要塞へと襲いかかった。

「全力防御せよッ」

「だ、だめ。威力が高すぎて結界が役に立たないっ!?」

 僧兵部隊千人が『魔』を過剰投入して城壁にかけた結界を強化するが、紙切れでレーザー光を防げと言っているものである。ブレスの直撃をコンマ一秒防ぐのが関の山だ。

 城壁の上で熱線の放射熱を地肌で感じているリセリは、そのコンマ一秒のためだけに最前線から逃げずにいた。

 今更、どこに逃げても遅いというのが正しいのかもしれない。


「お退きなさいっ!」


 逃げないリセリを押し退けて、スリットの深いドレスを着る魔法使い職が城壁で最も高い位置に陣取る。


「――偽造、誘導、霧散、朧月夜おぼろづきよ夢虫ゆめむしの夢は妨げないだろう。ムーン・エンドッ」


 極光が落ちてくる。

 急激な気温変化で大気が吹き荒れて、髪が乱れる。

 しかし……、致死的な熱量はぎりぎりであるが落ちてこない。月桂花が五節の現象無効化魔法を唱えて、ブレスの直撃をはばんだのだ。

 台風の豪雨をビニール傘をさえぎるかのごときあやうさであり、いつ魔法が破かれてブレスにさらされても不思議ではない。要塞の城壁、わずか一メートル付近でどうにか防いでいるに過ぎず、境界面は後退を続けている。拡散されるブレスの火の粉がドレスを焼いて穴を開けている。決壊の時は近い。

「くっ、無駄にパワーが。いつも甘味を強請る甘いドラゴンだと思っていたというのに」

「ァアッ、アアアアアァァアアアアアアアアッ!!」

 月桂花は保有する『魔』をすべて投じて魔法を維持するが、絶対量が足りない。要塞全体を守ろうとしているのがそもそも無理があったのだ。

「競り負けている。このままではっ」

「アアアアアァァアアアアアアアアッ!!」

「それでも、負けませんわ。だって――」

 要塞の全員ではなく、月桂花一人だけならば十二分に耐えられただろう。が、そんな無意味な取捨選択に意味はない。生き残る事が最上なのではなく、生き残らせる事が最上なのである。

 正確に言えば、月桂花の想い人に嫌われない事が最上なのである。


「――御影様が、めてくださいますわ!」


 『暴走』スキルを発動している限り、ドラゴンゾンビに息切れはない。身体的な理由がなければ自発的にブレスを止めはしない。

 下顎を蹴り上げられて、強制的に口を閉じたならば別だろうが。


「天竜!! 歯をッ、食いしばれッ!」


 蹴った後で言うべき警告ではない。音速超えて戻ってきたのだから声が遅れてしまったのは仕方がないのかもしれない。

 ベネチアンマスクの男に顎を蹴られたドラゴンゾンビはブレスの噴出口が閉じられて気管支が膨張、爆発した。





 モンスター軍団の侵攻を食い止めている間に要塞からSOSを受け取り、戻ってきてみればドラゴンがブレス吐いていました。

 果たしてどちらの戦場がより良いのか分からないが、モンスター軍団の足止めは他メンバーに任せて俺だけ帰還した。要塞が危険な状態だったため、後先考える前に足を出していた。

 ダメージは通った。

 ドラゴンは鱗まで腐食したアンデッドであるため、蹴った感触は柔らかく気色悪い。十分戦える相手だろう。

 ブレスの暴発で頭の半分を吹き飛ばしたドラゴンが、残った片目で俺を凝視してくる。

「人間族ごときがァァッ、顔を、蹴ったカアアアアッ」

「本当にこれが天竜、なのかよ」

 しばらく見ていない内に随分と変わり果てたペットの姿に、少々動揺してしまう。記憶を失っている間に二度ほど対戦しておいて今更であるが、頼もしい仲間の腐った姿など見たくはなかった。

 断面が見える頭のままドラゴンは噛み付いてくる。『速』の差により避けるのは容易いが、一撃でも食らうと死ぬのは間違いない。

「天竜、何があった?!」

「お前は誰ダァッ」

 聞く耳を持たないというよりは、俺の存在を忘れられているのか。

「悪霊よッ、手を伸ばせェェ」

「顔の欠けた所から黒い腕が!? どうして、その力がある! お前は何になった」

「満たされぬ魂の堆積物。我こそがッ、悪霊魔王ッ!」

 記憶と良い、立場と良い、天竜と俺の立場は完全に入れ替わっているらしい。

 魔王化していた俺の体なんて喰っていたから、悪霊の代弁者になってしまったのだろう。つまり、俺が悪い。

 そもそも天竜は地球から俺を捜索するためにやってきてくれて、迷子になってしまったのだ。やはり、俺が悪い。

 天竜のドラゴンゾンビ化の原因は、だいたい俺の所為なのだ。

「天竜! お前を助ける!」

「誰も助けてくれぬこの世など、すべて喰い散らかしてやるッ」

 菌糸のごとく天竜の体から悪霊の腕が伸ばされる。

 腕を避けつつドラゴンのアギトにも気を払いながら、どうすれば天竜を助けられるか思案し始めた。

 もちろん、そんな余裕は即座に失われてしまったが。


「『不定形なる体』ッ」


==========

“『不定形なる体』、実体の薄い者のスキル。


 スキル所持者の種族により変化後の形は様々であるが、多くは細かくなる。

 『変身』スキルの限定版であるが、短時間であれば同様の効果を発揮できる。スキルの発動速度や燃費では本家を上回る”

==========


 天竜の体が血色のミストとなって消えていく。

 ミストは上空で集合して、ドラゴンの形が作られると実体化して落ちてきた。吹き飛んでいた顔は復活していたものの、全身の腐食はそのままである。

 俺は『不定形なる体』スキルを知っていたが、知っていたからこそ動じずにはいられなかった。吸血魔王が多用してきたスキルを天竜が使うと思っていなかった。

 速度差があっても動揺があれば避けられない。

 腐肉の塊の質量が降ってきて、潰されて死――、


「『コントロールZ』! 三秒前ッ」


==========

“『コントロールZ』、後のない状況をくつがせるかもしれないスキル。


『魔』を1消費することで時間をコンマ一秒戻せる”

==========

“ステータス詳細

 ●魔:104/104 → 74/104”

==========


 ――回避可能な地点まで時を戻して、天竜の落下地点から回避した。

 ただし『不定形なる体』スキルぐらいなので、以前の天竜と同じと考えていると簡単に殺されてしまう。そも、己を悪霊魔王と名乗ったのだ。特殊な戦法を用いてくるのは間違いなく、回避のみに集中しているといつかはやられてしまう。

 助けるべき相手であるが、まずは無力化が必要。そう決意して、ナイフを構える。


「まずはパラメーターを弱体化させてから、止める。『魔王殺し』」

「キサマはなぶり殺しだッ! 『漆黒体液』ッ」


==========

“『漆黒体液』、何にでも変化する脅威の体質スキル。


 黒く粘っこい体質を得る。良く伸びて良く変形するため、どこだろうと臓器を生成可能。

 便利であるが、脳細胞さえも生成可能なのでシンギュラリティを起こす危険大”

==========


 悪霊魔王も魔王の一種。 『魔王殺し』は効くはずであるが、悪霊魔王の恐るべき点は名前通り悪霊を使役するところにあった。俺の場合は体から代謝物のごとく悪霊をこの世に呼び出すだけであったものの、天竜の場合はもう少し芸が細かい。

 天竜は己の体を爪で傷付けて腐乱液を撒き散らす。

 すると、液の一粒一粒が死霊の体となって、百体近くが一度に襲いかかってくる。オークの死霊が多数派であるが、有翼の魔みたいな奴も混じっている。

 降ってくる悪霊は可能な限り潰しておく。一体であれば脅威にならないが、無限沸きする悪霊を放置していると後が怖い。

 せっかくこの世に舞い戻って来たばかりで申し訳ないと思いつつ、悪霊オークの首を斬って霧散させる。手早く五体をはらって、六体目の処理にかかっていると天竜が動く。


「『ブラッディ・ロード』ッ、串刺しとなれッ」


==========

“『ブラッディ・ロード』、血の王者の証、血に対する命令権を証明するスキル。


 血を様々な形状に変化し、操作する事が可能。最も操作し易いのは己の血であり、他人の血は直接触れてどうにか操作可能。

 血の強度、操作の持続時間はスキル所持者のレベルおよび注ぎ込んだ『魔』に依存”

==========


 突如、悪霊の体が膨れて上がった。

 元々、天竜の腐った血から生じた悪霊は、天竜の命令で呆気なく形を損なう。黒一色の皮膚を突き破って無数の槍が突き出してくる。醜悪な形をしたウニに成り代わったと表現するべきか。

「スキルコンボッ?!」

 悪霊は俺の周囲に集まっていた。上空を飛んでいた奴さえいた。そのすべてが体の形を失って槍となり、俺を狙って先端を伸ばす。

「『暗影』発動ッ!」

 緊急回避スキルにて串刺しを避けたものの、回避した先にも槍が伸びてきた。その内の一本が足に突き刺さって苦痛を生む。

 完全に戦えなくなる程の負傷ではなかったものの、ミスト化していく天竜を追える程の浅い負傷ではない。

「また上空……? 違う、どこだ??」

 空を見上げるが、天竜はいない。ミストが集まっていく方向に実体があるはずなのに、ミスト自体が消えてしまっている。

 近くにいる事は間違いないだろうと警戒心を高めていたものの……さすがに足元までには気が回らなかった。


==========

“『掘削』、地面を掘るスキル。


 掘る手段によらず、地面を掘り易くなる”

==========


「アアハハッ、捕らえた!」

「なァ、下か?!」

 俺が立っていた地面の下から、上顎と下顎が隆起する。俺の体は既に天竜の口の中だ。


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 ◆祝 コミカライズ化◆ 
表紙絵
 ◆コミカライズ「魔法少女を助けたい」 1~4巻発売中!!◆  
 ◆画像クリックで移動できます◆ 
 助けたいシリーズ一覧

 第一作 魔法少女を助けたい

 第二作 誰も俺を助けてくれない

 第三作 黄昏の私はもう救われない


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