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誰も俺を助けてくれない  作者: クンスト
第ニ十章 人類国家の挑戦
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20-10 無敵の魔王


「魔王がに、二体ッ、もうッ、何もかもお終いよッ!!」

 戦闘姫が絶望を叫んだ。

 戦闘姫一人が絶望しているかというと、違う。歴戦の戦士達が集う要塞といえど魔王ニ体に攻められては動揺しない者はいなかった。

 ……アニッシュも、似た状況を経験していなければ生存を諦めていたかもしれない。


「いや……あのドラゴンゾンビは悪霊魔王と名乗った。あの時もそうであったのなら、今回も墓石魔王の狙いは――」


 要塞、ドラゴンゾンビ、墓石魔王の位置関係はいびつな三角形になっている。後から現れた墓石魔王のみが遠い。

 墓石魔王の風景というべき巨体を眺めていると分かり辛いが、時速換算で八十キロに近い速度で近付いていた。質量と体積を考慮すれば異常な速度であり、五分も待っていれば近傍まで到着する。


「突然現れた奴が、食事のッ、邪魔をするなァッ、『フレイム・ブレス』ッ!!」


==========

“『フレイム・ブレス』、ドラゴン専用スキル。


 ドラゴンが口から吐く攻撃は何でもブレスと呼ぶ。ドラゴンの種類によって異なるが、火竜の場合は高熱の塊を吐き出す。

 ドラゴンの格により威力はまちまち。三節魔法から十節魔法レベルまで幅は広い”

==========


 ただ、ドラゴンゾンビは墓石魔王の到着を待ちそうにない。

 白く濁ったき出しの眼球が遠くをにらみ付けると、口を大きく開く。劣化したくだのように破孔から内側が見える喉の奥が赤くまたたき、体内から火球を吐き出した。

 この場に皐月がいたなら六節魔法相当であると判断しただろう。

 直視するだけでも失明しかねない熱量が草原を越えて一直線に進む。墓石魔王の直方体の胴体に衝突した瞬間、内部のエネルギーを一度に解放して大爆発する。遠く離れた要塞で転倒者が続出する程の衝撃は、山のごとき墓石魔王の体を倒れさせるに十分だった。

 ビル崩壊のような地響きと、相応の量の塵が舞い上がる。爆発の黒煙と混ざって墓石魔王の体は見えなくなっていく。

「あんな攻撃を受けたら、城壁ごと消えてなくなるぞ!?」

「何故、ドラゴンゾンビの奴は撃ってこないっ」

「モンスター共を喰ったように、俺達も喰うつもりだからだろうがッ。クソぉぉッ」

 人間族ではたどり着けない戦闘領域。魔王同士のスケールの異なる戦いに帝国の兵士達がおののき戦意を失っていく。墓石魔王が倒れた後は自分達の番だと察して、何もできない己がくやしくて涙を流す者までいた。

 そんな彼等に対して、アニッシュはげきを飛ばす。


「戦ってもいない内から諦めるとは何事かッ」


 アニッシュは鞘から装飾過剰な銀剣を抜いてかかげる。

「敵が強ければ殺されても仕方がないと? 生存を手放すと? そなた達はいさぎよいのだな。だが、余はごめんだっ!」

 そのまま、切っ先をドラゴンゾンビの方向へと向け直す。

「余は戦うぞ! あの程度の魔王に殺される程に人類国家はか弱くはないッ」

 要塞の城壁を伝って、牧師と修道女の一団が駆け付けてくる。教国からやってきた僧兵部隊が展開して、防御結界の呪文を唱え始めている。城壁の防御力を少しでも高めるつもりらしい。

 僧兵を指揮しているのは銀髪の女性、リセリだ。

「多重結界で少しでも攻撃を減衰させます。対アンデット戦も想定を!」

 僧兵以外にも動いている者達は多い。いや、帝国兵以外は動いているという方が正しいだろう。誰もが今できる事をこなそうとしていた。

 殺されるにしても、ただ殺されるのではなく最後まで抵抗してみせるという意思表示か。

 ……そうではないだろう。


「そもそも、状況は決して悪くないのだ。御影達が戻ってくるまでの時間は墓石魔王が稼いでくれるぞ!」


 ふと、大地が揺れる。

 ドラゴンゾンビの直下の大地が隆起して、黒い直方体が飛び上がった。

 胴を跳ね上げられたドラゴンゾンビがひっくり返っている間に、墓石魔王は巨体を完全に地上へと現れる。

「ゴーレムごときにィィ、『暴虐』ッ!!」


==========

“『暴虐』、相手を圧倒し、屈服させるためのスキル。


 相手のレベルが本スキル所持者よりも低い場合、『力』のパラメーターが二倍まで上昇する。

 本スキルのデメリットとして、本スキル所持者よりもレベルの低い相手の生命を尊重できなくなる”

==========

“●レベル:102”


“ステータス詳細

 ●力:3820 = 1910 + 1910”

==========


 肉のがれた尾がムチのようにしなって墓石魔王の胴体を打つ。岩山が破砕したかのような衝突音が戦場を駆け抜けて……黒い直方体にはヒビ一つ走っていない。

「アアアアアアアァッ!!」

 ドラゴンの咆哮と共に鋭くとがらせた爪が黒い直方体を貫こうとしたが、爪が折れるのが先だった。

「無駄に固いッ、お前ェェェッ」

 ドラゴンゾンビの圧倒的なパラメーターを持ってしても、墓石魔王の防御は突破できずにいる。防御に優れるゴーレムの魔王だとしても、これはさすがに異常だ。


==========

“『矛盾なき盾』、無敵の証明。絶対に破壊される事のないスキル。


 『守』が相手の『攻』プラス1に補正される”

==========

“ステータス詳細

 ●守:3821 = 3820 + 1”

==========


「うざったいッ!! お前は消えろッ、『暴君』!!」


==========

“『暴君』、相手を圧制し、屈服させるためのスキル。


 眼前の相手に命令可能なスキル。

 使用すると命じた相手の『魔』×『運』の値だけ『魔』が減少する”

==========


“――我ハ無敵デアレ。『スキル拒否』”


==========

“『スキル拒否』、無敵の証明。絶対に破壊される事のないスキル。


 あらゆるスキルを拒否可能なスキル”

==========


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 ◆祝 コミカライズ化◆ 
表紙絵
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 助けたいシリーズ一覧

 第一作 魔法少女を助けたい

 第二作 誰も俺を助けてくれない

 第三作 黄昏の私はもう救われない


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