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誰も俺を助けてくれない  作者: クンスト
第十八章 二正面作戦
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18-1 商売をしよう

 怨嗟魔王討伐会議は感染源特定という命題に挑み、ようやく成果を得ていた。


「調査結果をご報告いたします。今回発見された巻貝は完全なる新種で、巻いている数が七つなので暫定的にナナマキガイと呼称しております」


 会議はいつものメンバーが出席している。基本的にはナキナの王様たるアニッシュに対して皆が報告する形を取っている。権威でいえば最年長のゼナが最も高いが、王様であるアニッシュの立場を配慮している訳だ。

 今はアニッシュに対し、忍者衆頭目のイバラが調査結果を報告している。

「魔界住血吸虫はそのナナマキガイからのみ広がるのだな?」

「はい、ナキナ周辺に生息する貝類をすべて調べましたが、魔界住血吸虫が一次寄生する貝はナナマキガイだけです。卵から成長した幼虫はナナマキガイに一度寄生し、ナナマキガイの中でセルカリアを産んで増殖します。最終的に、セルカリアが人類に寄生する事で怨嗟魔王となるのです」

「汚染範囲はナナマキガイの生息範囲と一致する訳か。であれば、ナナマキガイの侵入を防ぐのが対策となるのか」

 俺がタニシと呼んでいた巻貝、ナナマキガイはただの動物であり、魔獣のたぐいでないのが怨嗟魔王のイヤらしいところだ。

 動物は倒しても経験値を得られない。畜産家が鶏や豚を絞めても経験値的には無報酬である。

 これもきっと魔王の計略だ。間違ってナナマキガイを踏み潰していたとしても経験値獲得メッセージが表示されない。これなら、誰も危険生物とは思わない。

「王都および周辺集落にて水場を調査したところ、複数個所でナナマキガイの侵入が確認されました。現在は汚染地域を焼き払い拡大を防いでおります。ただし、いかんせん汚染範囲が広大で、全域の浄化は困難です」

「城壁に沿った地域を防衛ラインとし、集中的に焼き払いこれ以上の侵入を防ぐしかあるまい。もちろん、住民は中央へと避難させた後でだぞ」

「暫定的な対策はご命令通りに。しかし、問題は恒久的な対策です」

 イバラの報告に対してアニッシュは王として的確に指示していく。随分と王らしくなったものだが、国滅亡の危機を何度も乗り越えているのでそこいらの王よりも経験値が違うのだろう。


「怨嗟魔王の生態について、この私から報告があります」


 イバラの報告が終わり、リセリが魔王に関して研究結果を話し始める。

 魔王との戦いの記録は最大宗教国たる教国に集約されている。かつての英雄が倒した魔王、魔王同士の抗争により敗退した魔王。そういった前例を元にして怨嗟魔王の特性を予測したらしい。


「これまで魔界住血吸虫を怨嗟魔王として扱っておりましたが、群体型の魔王にしては怨嗟魔王の行動が複雑過ぎます。知能指数が高過ぎるというべきでしょうか。おそらく、怨嗟魔王の本体は魔界住血吸虫ではありません」


 会議場の半数の人間がどよめく。俺はアイサの『鑑定』結果を聞いていたのでそこまで驚かない。魔界住血吸虫の職業は魔王ではなかったのだ。


==========

 ●魔界住血吸虫

==========

“●レベル:1”


“ステータス詳細

 ●力:0 守:0 速:0

 ●魔:0/0

 ●運:0”


“スキル詳細

 ●レベル1スキル『個人ステータス表示』

 ●魔界住血吸虫固有スキル『正体不明』(無効化)

 ●魔界住血吸虫固有スキル『寄生』

 ●魔界住血吸虫固有スキル『繁殖』

 ●魔界住血吸虫固有スキル『宿主強化』

 ●魔界住血吸虫固有スキル『宿主改造』”


“職業詳細

 ●魔界住血吸虫(Sランク)”

==========


「群体生物の魔王は種を滅ぼす労力を必要とする難敵ですが、群体ゆえに情報伝達や意思決定面で脆弱にならざるを得ません。具体的には、遠方にいる個体に対する指示がかなり遅れるのです。ゆえに地方ごとに封鎖処置を行うことで同一の駆除手段が使用可能です」

 かつてイナゴの魔王というものが存在したらしい。万どころか億の数のイナゴが侵攻方向にあるすべての動植物を喰い散らかす。群体型として完成した恐るべき魔王であった。

 人類がどうやってイナゴ魔王に打ち勝ったかというと、むれ単位であれば通じる戦法を編み出し、群ごとに連絡を取れなくして同じ戦法を繰り返したのである。聞くだけなら単純だが、群を誘導するために多数の街を犠牲にした壮絶なものだったらしい。

「ですが、怨嗟魔王はナックラヴィーとナナマキガイ。まったく異なる種族がまったく異なる戦略を用いながら、ナキナの住民を感染されるという共通の目的のために足並みを揃えて攻撃してきている。指揮系統が一本化されてしまっている点が不自然です」

「つまり、多数を操る本体がいるのだな?」

「そうです。その本体こそが怨嗟魔王だと考えます」

 ナックラヴィー、ナナマキガイ、魔界住血吸虫。どれもこれも怨嗟魔王の正体ではなかった。迷宮魔王における三騎士と同じ幹部級のモンスターに過ぎなかった訳である。

 いや、魔界住血吸虫はモンスターとしては特殊が過ぎる。怨嗟魔王の正体も魔界住血吸虫に関連したものであるのは間違いない。


「ならば問おう。怨嗟魔王の正体とは何だ? 憎き魔王の本拠地はどこなのだ?」


 アニッシュの当然の疑問に対しては、ゼナが一つの答えを提示する。

「魔王めの正体も居場所も、エルヴン・ライヒの奴等が知っておろう」

 精霊帝国の軍を率いていたトレアがエルクと化して俺達の前に現れた。帝国全体が怨嗟魔王によって征服されたのでなければ、帝国と魔王が繋がっていると考えるのが妥当だ。


「ナキナ王よ。エルヴン・ライヒを落とせ。二兎を追えば、二兎とも首を落とせる」


 精霊帝国による宣戦布告はとうの昔に済まされている。ナキナを脅かす者共をもろとも攻め落とすのが一番の近道なのだろう。どちらにせよ倒さねばならない相手なので、反論なんて出るはずがない。

 だから、俺は割り込むがごとく挙手を行う。


「――俺からも提案がある。怨嗟魔王の情報ならばオリビア・ラインにも存在する。オリビア・ラインを攻略した後、怨嗟魔王を倒すべきだ」





 精霊帝国および怨嗟魔王連合を直接攻めずに遠回りにオリビア・ラインの攻略を考えたのは、思い付きのようなものである。

 怨嗟魔王に怖気おじけ付いたからぎょし易い方から、という気持ちからではないのは確かだ。銃武装したオークの推定量はナキナ忍者衆の偵察で算出されてしまっている。全部駆逐しようと思ったら皐月が百人は欲しいところである。範囲攻撃のない俺なら千人いても足りないだろう。


 では、何故オリビア・ラインを優先したいかというと、そういう契約だからに過ぎない。


 少し時間をさかのぼって、ナナマキガイが怨嗟の感染源であると判明した日の朝。

 汚染現場たる洗濯場は防護服を身に付けた調査部隊が駆けつけ、ナナマキガイの回収を行っている。

 俺も標本として試験管に一匹捕らえてじっくり観察していた。忙しく動く研究者や兵士の邪魔にならないように、洗濯場から少し離れた場所にある階段に腰かける。

 貝殻に注目するが、水棲生物に詳しい訳ではないので巻き数が多いのか少ないのかは分からない。なので貝殻そのものに対して、深く考えずに感想を口からこぼした。


「……この貝、前にどこかで見た覚えがあるな」


 脳裏に浮かぶ曖昧あいまいな貝のイメージ。

 記憶の中にある何かと現在の視覚情報が連想付けされたに過ぎない。印象が酷く弱いのだろうか。いつ、どこの記憶なのかさっぱり思い出せない。下手をすると、形が似た物をどこかで見ただけであって、ナナマキガイを見た訳ではないのかもしれない。

 俺がナナマキガイを見る機会があったとすれば、いつになるのかと首をひねる。

「怨嗟魔王の出身地は間違いなく魔界の奥地。昔に見たとすれば同じく魔界の中。つまり失われた記憶の中か、あるいはエルフの集落を出た頃か」

 アイサや今は亡きトレアに始末されそうになった直後は食事事情が深刻で、怪しい貝だろうと食べるしかなかったのは確かだ。

 ナキナの外でナナマキガイを見ていたというのは、良く考えればかなり重大な情報である。

 魔界に住む森の種族や獣の種族達でさえナナマキガイは見覚えがないという。希少種という言い方は妙だが、魔界全域に分散して生息している訳ではなく、特定地域にしか生息していない可能性が高い。

 そしてその特定地域こそが、怨嗟魔王の本拠地である可能性も高いのだ。

 異世界の短く濃密な記憶を必死に思い出していると、背後から声をかけられた。


「おはよう。凶鳥。朝から早いのね。それとも徹夜したの?」


 眠そうな顔をした皐月だった。最低限のメイクで駆けつけたらしく、長髪の合間から枝毛が飛び出てしまっている。

「皐月か。おはよう。早朝に色々進展があったんだが、皐月まで呼ばれたのか」

「汚染地域が手に負えない広さだった場合、私の魔法で街を焼いて欲しいって言われたのよ。まったく、嫌な気持ちになるだけのツマらない仕事よ」

 魔法使い職は寝て『魔』を回復させるのも仕事だろうに、便利な最終兵器だからと色々依頼されているらしい。

 自然な仕草で俺の横に座る皐月。こうして二人っきりになるのは久しぶりであるが、事件現場を目の前にしたロケーションでほのぼのするのは無理がある。

 手元の試験管を皐月は覗き込もうと顔を近づける。

 下品にならない強さで香水の花の匂いが鼻をくすぐる。やはり皐月も女なのだと実感してしまうのは失礼にしか当たらないので、絶対に言語化しない。


「ねえ?」


 心を読まれたかのようなタイミングで呼ばれて、やや体を硬直させてしまう。


「この貝、私が買ってあげたガラクタよね。持っていてくれたのは嬉しいけど、あの時、凶鳥が御影だって分かっていたのならもっとマシなものをプレゼントしたのに」


 皐月の言葉で更に体を硬直させた。皐月はまだ恋人同士っぽい甘い時間を楽しんでいる様子であるが、俺の心はリラックスするどころかザワ付いてしまっている。

「この貝を、皐月が俺に?」

「まさか覚えていなかったの? 魔界でヘンゼルを凶鳥に初めて紹介した時に買ってあげたのに。……あれ、でもこの貝、生きている。あれっ?」

「ヘンゼルが……はッ!」

 皐月の言葉で記憶が繋がる。

 数少ない手持ちアイテムの中にうずもれ、捨てる事さえ忘れて放置されていた定価一レッソのガラクタアイテムを腰袋の中から発見する。

「まさかこんなものがキーアイテムだったなんて」

 手に収まる小瓶を取り出す。中には七回巻かれた貝の殻。

 試験管を並べて比較する。貝の形、長さ、巻き回数が完全一致。ガラクタアイテムの正体はナナマキガイの殻であるのは間違いない。

 皐月の手を取り、立ち上がる。


「皐月ッ、行くぞ!」

「ちょっと、どこに?」


 オルドボ商会の、片目を前髪で隠した謎多き少女商人ヘンゼル。

 俺はヘンゼルに問わねばならなくなってしまった。


「ヘンゼルの所にだ!」


 ヘンゼルは人類の敵なのか、味方なのか。




「凶鳥だ。今大丈夫か?」

 塩に関するナキナとの商談完了後も、迎賓館の一室にヘンゼルは滞在し続けている。まだ朝だった事もありドアをノックすると返事があった。

「……どうぞ、であります」

 ヘンゼルはカーテンを閉め切った部屋の中で、椅子に腰かけていた。特に何かしていた訳ではなく、呆然としながら時間を持て余していたらしい。手元のカップも空のまま何もそそがれていない。

「ヘンゼル。部屋が暗いわよ」

「皐月もやってきたのですか、であります」

 カーテンが開かれて室内に光が差した。

 俺が対面席に座ると、ヘンゼルは片目をらす。


「ヘンゼル。これの出所を教えてくれないか?」


 まるで俺が何を問うために現れたのか予期していたのようだ。机の上においた貝殻入りの小瓶を一瞥いちべつしたが意外な表情を作らない。


「……その情報は非売品、であります」


 意外だったのはヘンゼルの返事だ。どんな無茶な商品でも販売していたヘンゼルがナナマキガイの入手場所の情報を売ろうとしない。

 仮面越しにヘンゼルに疑念の目を向けるが、まったく気にされなかった。ただただ、自首した犯人がごとく諦めたような表情を続ける。

「その貝についてたずねてくるという事は色々気付かれたのではないか、であります。怨嗟魔王様の正体についてや、我がオルドボ商会が魔王連合の傘下組織である事や、であります」

 怨嗟魔王についてはつい先程気付いたばかりだが、オルドボ商会については隠すつもりなどなかったのでは。


「そして、迷宮魔王様の三騎士たるオルドボ様が魔の者であれば、商会に属する上級商人たる自分も同じく魔に属する者である。こう気付かれているのでは、であります」


 突然、ヘンゼルの眼光が強まった。逸らされていた目線がまっすぐ俺を射抜いている。

 同時に体が重たく感じられ始め、皮膚が固くなってきしむ。

 皐月が何かを言いかけながら近づいてくるが、ヘンゼルの視界内に入ってくるのは危険だと感じ、重くなった腕で制す。その間にヘンゼルは腰からリボルバー拳銃を抜いて銃口を向けてくる。

「『石化の魔眼』をお客様にかけている、であります。自分は片目しかありませんので効果が現れるまで遅いでありますが、その代わりじわりじわりと苦しむ、であります。石化が肺まで到達すると地上にいながら溺死する、であります」

「おいおい。お客様は、神様じゃなかったのか?」

「神様は自分達魔族の敵、であります」

 ヘンゼルの眼球が怪しい光を放っている。瞳孔の形は鳥のようだ。

 本人の申告通り、凝視されている俺の体は石に変化しているのだろう。だんだんと腕の関節が動かなくなってきていた。

「重ねてくが、この貝をどこで入手したのか知りたい。怨嗟魔王の討伐に繋がる重要情報なんだ。教えてくれれば、ヘンゼルの正体は気にしない」

「どうして魔族である自分が下等な人間族を助けるような情報を教えると、であります」

「魔族だからといって敵とは限らないからな。前例は少ないが、人類と共に歩めそうな魔族はいる。俺はヘンゼルがそうだと感じたぞ」

 淫魔王と出会っていなければ、ヘンゼルを敵だと信じて止まなかったに違いない。本質的に魔族は人類の敵、憎むべき隣人なのだから仕方がないのだが。

 だが、魔族にだって感情があり、個体差がある。

 人類の中に魔族に負けぬ悪魔の思考を持った狂人が現れるように、魔族の中に人類を勝る善性に目覚めた友人が誕生する事があるのだろう。

「何を馬鹿な、であります。お客様はこうして石となりながら銃を向けられている、であります」

 確かにヘンゼルは今、俺と敵対しようとしている。その割には『殺気察知』に反応がないというのは俺にしか分からない事実なので、言葉でヘンゼルの善性を証明するしかない。


「ヘンゼル。お前は人類の敵ではない。この貝のガラクタアイテム。ヘンゼルはこれが怨嗟魔王の人類侵略手段だと知っていて俺に売ってきたのだろう?」


 ヘンゼルが怨嗟魔王の魔の手がナキナに伸ばされるよりも前に、ナナマキガイの貝殻を俺へ一レッソという格安価格で売ってきた。遠回りながら人類に対して、怨嗟魔王という難敵を警告してくれていたのだと考える事ができる。

「妄想がはなはだしい、であります」

「ナキナに塩を売ったのも支援の意味合いが強かったのだろう」

「馬鹿馬鹿しい、であります」

 撃鉄を起こし、ヘンゼルはリボルバーの射撃準備を整える。

「どうして自分が人類を助けるなどという妄想を覚えた、であります。その間違いを正します、であります」

 では、どうしてヘンゼルは人類に良くしようとしているのか。ヘンゼルが優しい性格をしているから、などという単純な答えならば、今俺は石化しながら銃を向けられてはいない。

 ならば、どうしてヘンゼルは人類を助けるのか。


「ヘンゼル、商売をしよう。俺は求めるのはこの貝の入手元、怨嗟魔王の本拠地の情報だ」


 それは……ヘンゼルが商人だからである。


「だから非売品であると、でありますっ!」

「商売だと言っているぞ、ヘンゼル! 俺達はお前に対価を払おう」


 商売とは決して一人だけでは成り立たない。商品を買う客がどうしても必要となる。

 ヘンゼルが一方的に人類を優遇している理由は、人類という客を失いたくなかったからだ。

「俺達にはこれまで魔王連合の魔王を倒してきた実力がある。魔王連合に属しているヘンゼルの方が詳しいぐらいだ。力で解決できる問題ならば、俺と皐月は大抵の事は達成できる」

 いや、商売は売る側と買う側が固定されている訳ではない。ヘンゼルが人類の労働力や戦力を欲しているから、人類の味方をしていると考える事だってできるはずだ。

 ヘンゼルの商売根性や、以前に比べて明らかに表情が暗くなっている事からいたった結論。


「ヘンゼルは人類と、真っ当な商売をしたいはずだ! だから、人類の敵であるはずがない」


 小さくか弱い魔族など誰も助けてくれようとは思わない。

 だからせめて、自分ぐらいは商売として誰かを助けていれば、誰かから同じように商売をふっかけられるのではないか。そんなあわい期待を抱いていたのではなかろうか。

 ほとんどが俺の妄想である。願望が含まれている事も認めよう。

 だが、まったくの見当違いかどうかを決めるのはヘンゼルである。俺の言葉を聞き、そこに利益が含まれているか否かを見極める力も、商人には必要なのだろう。


「――自分は魔族。人間の言葉などにかどわかされたりしない、であります――」


 ヘンゼルは銃を…………テーブルに置いた。


「――ですが魔族である前に商人であります。ですから商売には真摯しんしであるべき、であります。商売は買う側、売る側、どちらも相互に益を得るものでなければならない、でありますゆえに……自分は要求するであります」


 いつの間にか体の重さが抜けている。ヘンゼルが石化スキルを解除したのだろう。トリガーに指をかけないぐらいには本気でなかったので、その内解除されるとは思っていた。

 片目を閉じ、ゆっくりと開き直してから、ヘンゼルは俺に対して商売を開始する。


「オリビア・ラインの内部へと自分を連れて行く。それが叶った時、怨嗟魔王の本拠地について情報提供を行う、であります」


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 ◆祝 コミカライズ化◆ 
表紙絵
 ◆コミカライズ「魔法少女を助けたい」 1~4巻発売中!!◆  
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 助けたいシリーズ一覧

 第一作 魔法少女を助けたい

 第二作 誰も俺を助けてくれない

 第三作 黄昏の私はもう救われない


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