表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【小噺】廃道を行く

作者: 化猫

お題: 道路


どれだけの時間 この道を歩いてきた事だろう。


かつて学生時代に通学路として利用していた道が廃道となった事を知り、有給を使い二十年ぶりに地元へ帰ってきた。

聞くところによると高速道路が開通したことにより利用者が減り、管理を続けていくのが難しくなったことから廃道とされたようだ。山の斜面に作られた道で、雨の多い季節には土砂崩れのある危険な道だったので無理はない。

我ながら 仕事漬けの日々から逃げる 良い言い訳を考えついたものだと苦笑した。


この道には幾多数多の思い出がある。


学生の頃、高校、中学、小学生の頃…。いつだってこの道を歩いてきた。

泣きながら歩いた事も、友達と巫山戯ながら歩いた事もあった。

この道は自分と自分の居場所を結びつける道だった。

廃道となった今、僕の道は何処へ続いているのだろう。

そんな事を思いながらゆっくりと道を歩いた。


ひび割れたコンクリートから雑草が生えている。

随分と雑な扱いをされているようだ。

そんな風景を見て微笑んでいる自分に気づいた。


家を出て どれぐらい経っただろうか。

歩けば歩くほど思い出が蘇る。


ふと不思議な感覚に捕らわれた。

嘗ての自分と共に道を歩いている感覚。

学ランをきた自分、ランドセルを背負った自分、両親と手を繋いで歩く自分。

彼らと共に歩いている。

前に向かって歩いている。


廃道となったこの道には 僕の思いが残っていた。


なんだか元気が出てきた。

まだ歩ける。


一人歩く思い出の道を夕日が優しく照らした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ