豚顔女子 えりこの場合 その2
お母さんと一緒に、電車に乗って、
大きな駅で、
豚顔女子高校の駅に止まる私鉄に乗り換える。
そこには、
豚顔の女の子と、その母親と思われる人がたくさん乗っていた。
その光景を見て、
私は気が引き締まると共に、不安にもなってきた。
お母さんは、
「本当に、豚顔の子ばっかりね~。」
と呑気なことを言っていたが、
私は、
「周りの子と比べて、私のほうが豚顔なはず。」
と独り言で、無理やりにでも、心を落ち着かせる。
「ふふん、あの子は鼻が上向きなだけで、
目は私の方が断然細いわね。」
と安心したのも束の間、
自分よりも明らかに豚っぽい顔した子を見ると、
「やばいやばい、どうしよう。
あんなに私、豚顔じゃない、どうしよう(;´・ω・)」
と不安になってくる。
実際は定員が1000人なので、
そう心配することはないはずなんだが、
受験の際には1人でも自分より上回っていそうな人がいると不安が強くなる。
いつもは、もっとキレイな顔に産まれたかったと思うのに、
この時ばかりは、
「お母さん、どうせ豚顔に産むんだったら、
もっと本格的な豚顔に産んでほしかったよ。」
とか思ってた(^^;
試験の集合場所である体育館に着くと、
たくさんの豚顔の女の子がいた。
定員が1000人なため、
試験の集合場所も4箇所ぐらいに分けられる。
にしても、この体育館にいるのは、250人どころではないなと思っていたら、
学校側から、受験者数についての発表がなされる。
「本日の受験者数は、2300人です。」
えぇ~、ということは倍率2.3倍かぁー。
豚顔の女子高校という特徴があるため、
それこそ関東だけでなく全国から受験者が集まるとのこと。
さすがに庶民じゃ他地区からは難しいけど、
金持ちのお嬢様(ただし豚顔)だったら、
北は北海道、南は沖縄から受けに来るらしいから、
豚顔とはいえ、こんな人数になるのね。
私は、不安に苛まれながらも、
周りを見渡した。
「よし、あの子よりは私の方が豚顔なはず。」
「よし、あの子よりも、私の方が・・・。」
ぱっと見だけど、
この体育館の600人のうちだったら、
私は100番以内に入れるぐらいの豚顔のはず・・・だから、安心・・・できない(-_-;)
他の会場が私よりも豚顔な女の子で占められてたら、勝ち目ないしなぁ。
ホント、受験の時は、悪い方に考えてしまうわね。
そうこう考えてるうちに、
試験開始の時間となった。