「頼朝の兄貴」
「男には2種類有る。
単車に乗る男と
乗らない男だ。」
…何かの本で
読んだ文章だが、
まだ若かったので、
随分と影響された。
仲間の内、単車の事故で
4人死んだ。
その内の一人は
毎日一緒に居たから…、
事故の日も、
深夜、俺の家から帰る
途中に。
意識不明だったが、
名前を呼ぶと、
面倒臭そうに、
重たそうに、
左手を上げるんだ。
…奴は、
左利きだったからね。
…明け方、逝っちまった。
多感な思春期に単車で
友人を4人も
亡くしたから、
人生を少し斜めから
見る、と言うか、
人の命の
呆気なさと言うか、、、
…奴を思い出しても、
まだ17才のままなんだ。
…命日には
ダイドーのMコーヒーと
セブンスターを
墓に持って行く。
すると…、
やはり誰かも
Mコーヒーと
セブンスターを
持って来たんだな…、
みたいな…。
友人は皆、所帯を持って、
或いはガキが出来て
単車を降りた。
今でも乗っているのは
俺だけだ。
俺から言わせれば、
「男には2種類有る。
単車に乗り続ける男と
単車から降りる男だ。」
…半年ほど前、単車で、
久し振りに鎌倉へ。
鶴岡八幡宮の境内脇の
宝物館(資料館)にも
入った。
入って展示品を見ながら
しばらく行くと、
綺麗な字で書かれた
源氏の系図が…。
よく見ると、
ある人物の名前が
違っている…。
源頼朝には兄貴が二人いて
長兄は「義平」、
そして次兄は
「朝長」って言うんだ。
…鎌倉幕府創立者で、
幕府初代の征夷大将軍、
源頼朝には自分も含めて
兄弟が9人いる。
上から
義平、朝長、頼朝、義門、
希義、範頼、全成、義円、
そして義経。
因みに同母弟は希義。
…だけど、
次兄の「朝長」が
頼長って書かれてる!
(…は?よりなが…?
…違うじゃん…?)
宝物館を出たら、そこに
関係者っぽい
兄さんがいたから、
「源家の家系図、頼朝の
兄貴の名前が違うぜ?
直しといた方がいいよ。」
って言ったんだが、
「あ?はあ…?」
みたいな気の無い返事。
(お前、事の重大さを
わかってねーな、
ちゃんと上に伝えてくれー。)
って思ったけれど、
そこで俺が力説しても
暖簾に腕まくりだし、(笑)
後ろ髪引かれる思いで
立ち去ったんだ。
あの系図、
…直したのかなー。
頼朝の次兄が頼長から
「朝長」に、
ちゃんと直ってるのか、
気になる。
夜中ふと思い出すと
2〜3分寝れんわ。
誰か、もし行く人いたら
確認してくれ…。