何色にも染まるわたし
何色にも染まるわたしを、「愚かだ」と言う人もいる。
何も持っていないわたしを、「惨めだ」と言う人もいる。
「狭い世界のある日の夕暮れ。
ある一人の男が、のらりくらりと散歩している。
彼の行く道には、幾重も落ち葉が敷かれている。
潤いを失い、風に吹かれ、子供たちに踏まれる枯れ葉たち。
彼もまた、その上を行く子供の一人である。
彼は立ち止まり、身を屈めた。
目と手を忙しなく動かし、何やら品定めをしている様子。
(とびっきり醜い一枚を選んで、ポケットに入れて持ち帰ろう)
彼はそう思っていた。
しかし、結局それは叶わなかった。
そして彼は、夕陽の射す方へと歩き出した」
――そう言って、わたしに口付ける人もいる。