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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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捨てる神あれば

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/09/08

失ってから気づく大切さと、後悔に苛まれる男の独白です。よろしければお読みになってあげてくださいませ。

 彰人は絶望していた。

 6畳ひと間のアパートの部屋にはもう、環奈かんなの影はなかった。

 彰人は絶望していた。

 環奈は小柄な女性だった。学校では身長順の整列で、常に一番前だったらしい。

 彰人は絶望していた。

 彼女は料理が上手かった。中でも牛すじの煮込みは、ピカイチだった。それが食卓に出されるたびに、彰人は満腹になるまで食べた。歯を磨くのが惜しいくらいに美味かった。

環奈は泣いていた。別れのきわに。

 ━━すべてが俺の所為だ……。彰人は思った。その後、学校でも彼女の姿を見なくなった。真面目な環奈のことだ。講義の出席率は良かった筈だ。出席日数にはまだ余裕があるはずだ。。

 この部屋に彼女は居ない。言い訳はしない。すべて俺の所為だ━━。

責任転嫁のしようもない。

頭を抱えた俺には、もはや居場所がなかった。だまされあざむかれ、他の女の部屋に転がり込んだ。

━━それからだ。彼女はもういない。

 彰人は絶望しかけていた。

 この世には捨てる神しかいないのではないか?

 彰人は絶望していた。

 環奈はいつも遠慮がちな無垢な感じの女の子だった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

一時の迷いや過ちによって本当に大切なものを失い、身勝手な後悔と孤独に打ちひしがれる男の姿を描きました。

誰かの選択がもたらす悲哀や、失って初めて気づく存在の重みを感じていただけたなら幸いです。

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