青の亡霊 前半 真実を信じていた頃
私事ですがつい先日、誕生日を迎え18歳になりました。
選挙権をもらえたことがなんだかんだ一番うれしいです。
今年一年で選挙が3回あったのやばくないですか?
夏蓮という名前を聞くと嫌でも思い出してしまう忌々しい記憶、僕の原罪。
僕達の関係はなんてことない普通の関係だった。
どうやって知り合って関係を深めたかなんてもう覚えてない。
でも僕が道を違えることになった瞬間だけは今でも覚えている。
その日、
彼女はいつも通り遅れてやってきた。
「また難しい顔してる」
部室の引き戸を音も立てずに開けて、
夏蓮はそう言って笑った。
夕焼けに照らされたその笑顔は、
不思議なくらい、どんな不安もどうでもよくさせた。
「少しはノックぐらいしてよ」
「それだと驚かせれないじゃん、考えすぎなんだよ、奏は」
そう言いながら、
机に置かれたノートを覗き込む。
びっしり書かれた名前と線、
疑問符と仮説の山。
「でも、これ解けたらスッキリするでしょ?」
僕は頷いた。
その答えが、
間違いだなんて思いもしなかった。
「真実は一つしかないんだよ」
夏蓮はそう言って、
自分の席に腰掛ける。
制服のスカートが揺れて、
窓から入る風が黒髪をなびかせた。
「だからさ、全部解こうよ。
謎も、真実も、全てを」
――その言葉が、
どれほど残酷だったのかを、
俺たちはまだ知らない。
だから僕は、
彼女の隣で、
真実を暴くことを選んだ。
それが、僕たちを壊すとも知らずに。
放課後の部室は、
やけに静かだった。
窓の外ではグラウンドの声が響いているのに、
ここだけ時間が止まったみたいだった。
「ねえ奏、今日帰り寄り道しない?」
床に座った夏蓮が、
鞄を抱えたまま言った。
「珍しいね」
「...たまにはね?」
そう言って笑う。
その笑顔に、理由なんていらなかった。
僕はノートを閉じて、
ペンをしまう。
「じゃあ、行こっか」
「やった」
短い返事なのに、
夏蓮は子どもみたいに嬉しそうだった。
二人並んで廊下を歩く。
窓から差し込む夕焼けが、
影を長く伸ばしていた。
「奏ってさ」
「ん?」
「真実が全部わかったら、どうするの?」
唐突な質問だった。
「暴く。そしたらなんとかなると思うな」
「……そっか」
夏蓮は少しだけ黙って、
それから前を向いた。
「でもね、真実って、
誰かを幸せにするとは限らないんだよ」
その言葉を、
僕は軽く流した。
夏蓮がそんなことを言うなんて、
珍しいな、くらいにしか思わなかった。
「難しく考えすぎだって」
「そうかな」
彼女は小さく笑った。
その時、
もし立ち止まっていれば、
もし問い返していれば。
この放課後は、
もう少し長く続いたのかもしれない。
でも僕たちは、
ただコンビニへ向かった。
何も知らないまま、穏やかな時間を過ごした。
僕はまだ知らなかった。
暴くことの本当の意味を。
18歳の間に5000PV目指します。




