校内窃盗事件第一容疑者 東雲奏
なろう初投稿ですよろしくお願いします
放課後の教室には僕と彼の二人しかいなかった。
窓の外は薄暗く、机の影が不自然に伸びている。
「...やっぱり減ってる」
彼は財布の中を何度も確かめ、最後に僕を見た。
この教室に残っているのは僕だけ。
それだけで十分な理由になる。
「お前、さっきからここにいるよな」
「いたよ、忘れ物を取りに来たんだ」
それ以上、言葉は続かなかった。
否定すればするほど、疑いが濃くなる気がしたからだ。
「じゃあ誰が取ったんだよ」
答えなかった。
答えたところで信じてもらえるわけもないし、信じてもらえたところで僕は犯人捜しを手伝うつもりはない。
僕はもう、正義感で動かないと決めている。
その時、廊下から足音がした。
扉がわずかに開く。
「...すみません」
そこに立っていたのは小柄な女の子だった。
スリッパの色からして一年生のようだ。
状況を一目見た彼女は、僕ではなく、財布を握る彼を見ながら言った。
「東雲先輩は盗んでいないです」
迷いもなく言い切ったこの女の子は誰だろうか。
胸がざわつく。
初めて会ったはずなのに。
「どうしてそう言えるんだよ」
彼女は少しの沈黙ののち話し始めた。
「自動販売機の前にいましたよね。
声をかけようか迷って...そのまま教室まで来てしまったので
盗む時間なんてなかったように思えます」
「.......だからって信用できるかよ」
彼は財布を地面に叩き付けた。
さっきまで冷静を装っていたが彼も限界を超えたのだろう
「ずっと見ていた?通りかかった?
そんなんいくらでも言えるだろ!」
彼女はもう何も言わなかった。
ただ一歩下がり、僕の方を見る。
「お前もだ。
否定もしねえし、弁解をしようともしない。
やったから否定できないんじゃねえか?」
「弁解をしたところで何も変わらないと思ったから...」
ここで感情的になっても疑いは深まるばかりだ。
彼は舌打ちをして、こう言った。
「......わかった。
じゃあこうしよう」
視線が僕に刺さる。
「一週間、その間に犯人見つけろ」
「見つからなかったら?」
「その時はお前を犯人として教師に突き出す」
普通に考えれば、おかしな話だ。
それでも、僕は頷いた
「いいよ、でも犯人を見つけたときは謝ってもらう」
彼はそれ以上何も言わずに去った。
これは誰かを助けるためじゃない。
僕自身を守るためだ
「....一週間ですか、短いですね
いりますか、助け?」
「その前に君の名前を聞いてもいいかな?」
「西海 深冬です」
「どこかで出会ったことがあるかな、なんだか初めてじゃない気がするんだけど」
「そんなことよりどうするんですか?
一人で考えるより、二人で考えて、見落としを減らしたほうがいいと思います」
露骨に話をそらされたがどうしようか、今のままだと窃盗犯になってしまう
「どうしてそこまで窃盗犯かもしれない先輩に手を貸そうとしてくれるんだ?」
「秘密です、レディは秘密が多いものですから」
「協力させてください、奏先輩」
名前を呼ばれた瞬間、なぜだかまた胸の奥がざわついた
なにもわからないことだらけの中でひとつわかることがある
この子は”なにか”を知っていることだけは理解できた
ナイトレインにドハマリ中




