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配信初心者の私、プロ指示厨の言いなりで気づけば百合ハーレム完成!?  作者: マグローK


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第6話 幼馴染とイチャつき登校

 学校への通学路。


 早く共犯者に顔を合わせたい一心で私は急いで駆けていた。


 すると、いつもりーちゃんと待ち合わせしている謎な掲示板の前にはめずらしく先に来ていたらしいりーちゃんの姿があった。


「りーちゃん!」


「のぞみん!」


 今日は寝起きがずば抜けてよかったらしい。りーちゃんは朝から電話をかけてきただけにとどまらず髪のセットもバッチリだ。

 くしでとかしたりーちゃんの栗色の髪は太陽の光を受けてつややかに光っている。こんなりーちゃんの髪を見たのは小学生ぶりかもしれない。

 綺麗なウェーブがかった髪はおそらくりーちゃんのお母さんがやったんだろう。

 この姿目に焼き付けない理由がない。


「ああ、これ?」


 私の視線に気づいたように肩の辺りまである髪を持ち上げながらりーちゃんは言った。


「ママがせっかく早起きしたんだからってさ。うちの学校って校則ゆるめだからいいけど、これは目立ちすぎるよね」


「ううん。かわいいと思うよ。普段から早起きしてその髪にしてもらえばいいのに」


「やだよ。気遣うし、髪まとめてた方が絶対に楽じゃん。何より早いし」


「まあ、そうかもしれないけど、私は今のりーちゃんのが好きだよ」


「んー」


 うざったそうに髪をくるくるする姿は、確かに面倒そうだ。

 こういう時に、まんざらでもなさそうな顔すらしないのがりーちゃんらしいと言えばりーちゃんらしい。小さい頃から元がいいのに自分のことはあんまり気にしてないキャラだ。


「って、あたしのことはいいんだって。さすがに見たでしょ? 歩きながら話そ」


「うん。登録者、本当だった」


 目の前で揺れるりーちゃんの髪にもう少しだけ今の話題を続けていたい気持ちだったが、これ以上は逆鱗に触れかねないのでタイムアップ。


 私は今朝のスマホ画面をぼんやりと思い浮かべた。


「75万まで増えてたね」


「ね。すごいじゃん! あたしの見込んだとーり! のぞみんはバズる素質があったんだって」


「りーちゃんいつもより元気すぎない?」


「元気にもなるよ。それくらいのことだよ。多分学校もなってるから」


「えぇ……?」


「だって、のぞみんが世界的な有名人だよ? 一睡しかできないって」


「そんなに!? ……ん? 一睡したら十分なのでは?」


「とにかく世界制覇だよ」


「それは大袈裟だって。でも、気持ちは嬉しい」


「あたしはのぞみんのそういう素直なところ好きだぞーこのこのー」


 隣に並んで話し出したりーちゃんは今にも抱きついてきそうなほどの熱量で、いわゆる推しについて話している時のテンションに近い気がした。

 恥ずかしいのとほほえましいのと半々だ。

 どちらかと言えば応援する方が好きらしいりーちゃんは、私以外にもさまざまな推しがいて、その情報を教えてくれる。

 そんな推しの方々を参考に配信の修正をしてきた訳でもある。と考えるとりーちゃんの推したちと少しでも並べたと思えば大きな前進だというところは理解できる。


「あーもう我慢できない!」


 と言うなり、いきなり隣から抱きついてきた。


「ちょ、本当に抱きつくやつがあるかって」


「のぞみんのぞみんのぞみんーわしゃわしゃわしゃー」


「何してんの? 髪もボサボサになっちゃう。りーちゃんと違って私は自分でやってるんだからね?」


「いーじゃんちょっとぐらい。喜びを全力で分かち合おうよー」


「もー。本当にしょうがないなぁ」


 急に抱きついてくるなんて、やっぱり今日はテンションが高い。

 顔面の表情支配率が笑顔優勢なんてこの登校時間では未だかつてない古今未曾有の現象だ。


「そんなんでヤリとか降らないといいけど」


「涼子ちゃんが言えなくてりーちゃんって言ってくれてるんだから、ちょっとくらいいいじゃん」


「ねえ、それ言わないでって言ってるじゃん。なんで今? 本当にテンションおかしいよ?」


 ただ、こんなやり取りができる幼馴染、なんだかんだそそのかすだけじゃなくって配信を見てくれる友人がいるのは普通に嬉しい。


 私たちはしばらく抱きつかれたまま通学路を歩いていた。

 当然、周りを行く人たちからは変な目で見られる訳で、配信で見られないまま恥をさらしている時よりも精神的にこたえる訳で……。


「ね、りーちゃん。歩きにくいからそろそろ離れない? 恥ずかしいよ。いつもよりくっつきすぎだし」


「そーお? いつもこれくらいでしょ? 気にしすぎだって」


「そんなことないって。熱いよ」


「えー。うーん……」


「かわいらしく拗ねてもダメ」


 唇を尖らせながらりーちゃんはようやくハグはやめてくれた。それでも未だに肩はまだ当たっているし、横を向けば息が吹きかかる。

 顔を見ればすぐに目が合う。


「なんだか変だよ?」


「もっとよく見たいのよ。のぞみんのオッドアイ。青と紫であんまり気づかれないやつ」


「そんなにいいもの?」


「今は特に沁みるよぉ」


 久しぶりに言われてちょっとだけ顔が熱くなった気がする。

 赤青とか金銀とかそういう目立ったわかりやすいものと違って、私のは青と紫という両目ともほぼ黒目。

 ほとんど気づかれることはないし、これまで指摘してきたのは、


「知ってるのはあたしだけー」


「そうでしょうよ。みんなそこまでくっつかないんだから。ほら、少し急ぐよ?」


「もうちょっともうちょっと」


「ん、ちょ、どこ触って、くすぐった、ふふふっ」


「もうちょっとだけ」


「ね、ふ、わかったから、はは。だから、やめて、手を入れないで」


「冗談冗談」


「やってたでしょうよ」


 ため息をついてから顔を上げると、りーちゃんはほほを両手で挟んで目を見てきた。

 顔全体がわかる距離で見つめ合う形となり、心臓の鼓動が少しだけ早くなる。

 こうして綺麗になったりーちゃんを改めて見ると同性だけどドキッとしてしまう。

 なんとなく変な気になってちょっとだけ目が泳いでしまった。


「なんでそっぽ見るの」


「そ、そういえばなんだけどさ」


「なに?」


「親バレした。ど、どどど、どうしよう」


「そんなこと? いーじゃん。あたしのママと違ってのぞみんのママでしょ? 大丈夫大丈夫。きっと誇りに思ってくれる」


「なんでちょっと理解が深いんですかね」


「家族ぐるみなんだから当然でしょ?」

いつも読んでくださりありがとうございます。


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