第19話 稼ぎ場の下見をしましょう
いやらしく、目に痛いほどの金ピカ。
それが、指示厨さんに教えてもらったダンジョンに入って最初に抱いた感想だった。
稼ぎ場として紹介してもらうにふさわしいほどの内装。まるで、壁や天井自体が発光しているかのように、ほぼ未到のはずがとても明るいダンジョンだ。
「外は普通のダンジョン。いえ、むしろダンジョンだと気づけないほどのものだったのに、中は随分と派手なのね」
「うん。教えてもらってたからダンジョンだってわかったけど、なかったらみんながみんな通り過ぎるような場所」
2人の感想もわかる気がする。
ここがダンジョンです。と主張しているような入り口のダンジョンもあれば、地味に入り口が開いていたり、どこかに埋まっているような場所もある。
今回のものは確実に地味な方に分類されるダンジョンだ。
「それにしても、ここまでの光り具合は初めてですね」
「どこまでのものならあったの?」
「そうですねぇ。今の重畳寺先輩くらいのものですかね」
今回は紹介元が怪しい。情報がないから警戒したい。とのことですでに変身している重畳寺先輩。
以前も見せてもらった最上級に強いもので宝石がキラキラと輝いている。
私の知っているこれまでのビカビカダンジョンの近い見た目だ。
「その装備みたいに結晶とかがキラキラしてるようなまさしくファンタジーの神秘的なダンジョン。みたいなところはありましたよ」
「それはイメージと合うけど、どこにあるの? それも聞いたことないけど」
「あ、えっと……」
実際はかなり収穫もあったけど、事の顛末についてはあんまり人に話したくないな。
それがきっかけでSランクにもなれたようなものなのだけど、正直他人に誇れるようなものじゃない。
「何その微妙な反応」
「罠が多いダンジョンとか?」
「ううん。全然そんなことなくって、探索者のガイドとかつけたら観光地にできそうなほどだよ」
「じゃあなんで無名なのよ」
「ソノーアノーエットー……聞きたいですか?」
「そりゃ、ね?」
「うん。話してもらえるなら」
「うー…………イイデスヨ」
いいけど、これは配信してなくてよかった。
もし公にしてたら本当にもったいないって怒られるだろうから。
りーちゃんからも説教されてるからね。
残ってるのが写真しかないから、そりゃねって感じだけど。
「2人だけだから言いますけど、趣味で行ったダンジョンなので配信してなくって、でもテンションが上がってたので休日丸一日かけて攻略しちゃいました」
「……あんた何してんの?」
「見たかったな」
「後で写真見せてあげるよ」
「静奈。こんな探索者にはなっちゃダメよ」
「な、なんでですかー」
「声が震えてるし、自覚はあるんでしょ」
「…………」
図星すぎて何も言い返せない。
「……でも、あんなの見たら誰だってすぐ攻略したくなっちゃいますよ」
「ソロでダンジョンまるっと攻略とか普通にしないからね」
「うん。それはそう。ランクの差があっても上層を攻略とかってイメージ」
「湧きはそんなにすぐ鈍化しないんだから最低でも数ヶ月は稼ぎになったでしょうに」
「あ、ほらエンカウントしましたよ。金塊でできたゴーレムみたいです」
「話をそらしてからに」
「集中してください。モンスターですよ」
「今までそんなに注意向けてなかったでしょあんた」
もう手遅れかもしれないけど、私は気持ちを悟られないように魔力を剣の形状に出力した。
下見だからね。全力で能力を把握しなくっちゃ。
「待ってのぞみちゃん」
「どしたの?」
「ワタシにやらせてほしい」
一歩前に出てきた静奈ちゃんは凛とした顔で金塊ゴーレムを見据えていた。
すでにやる気十分らしい。
「このダンジョン、のぞみちゃんがわざわざ気を回してくれたんだからワタシが先陣を切りたい」
「そんなに気張らなくてもいいよ?」
「お願い」
熱意は硬そうだ。
スキルによる冷気がすでに漏れ出ている。
戦闘準備もバッチリらしい。
「わかった。お願い」
「ん」
すぐさま、静奈ちゃんは冷気によって通路を凍結させた。
そして、流れるようにゴーレムへ向けて滑り出す。移動の最中も、氷床の範囲を広げる静奈ちゃんは向かってくるゴーレムを腰の辺りまで凍らせた。
とっさのことで反応が追いついていないらしくゴーレム動きが止まる。
だが、馬力の違いか。右足が氷を突き破った。
「あ」
「計算済み」
静奈ちゃんは冷静に氷の槍を投げゴーレムの右足に貫通させた。
着弾展から再度凍結が進むと、気づけば静奈ちゃんはゴーレムの真ん前。右手に握っていた剣を胸元に突き刺した。
「『氷の彫像』!」
ゴーレムは動きを封じられたように全身を凍らせられ。
「『解』」
静奈ちゃんの合図で全身の氷ごと粉々に砕け散った。
「綺麗」
「見事なものだわ」
ポイズネルキメラと渡り合っていたくらいだからレベルの高さはある程度知っているつもりだったけど、直に見せられると段違いだった。
この子もSランクの素質がありそうに見える。
「見てください。これ」
めずらしく少し興奮気味に、静奈ちゃんがドロップしたアイテムを持って滑ってきた。
「落ちているアイテムすごそうね。時価はわからないけど、そこらで見ないものじゃない」
「雰囲気だけじゃないってことですよね」
「こ、これ。一体分のアイテム……」
衝撃を受けているらしい静奈ちゃんもかわいらしい。
内装もわかり、モンスターの実力も最低限確かめられた。
それに、情報も嘘じゃなさそうだ。
「先が見えないということもないので、どうです? もういいんじゃないですか?」
「あんまり準備にも時間をかけられないしね。せっかちみたいだし始めましょうか」
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