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配信初心者の私、プロ指示厨の言いなりで気づけば百合ハーレム完成!?  作者: マグローK


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第13話 クール美少女の敵討ち

 静奈ちゃんの案内でモンスターのいる場所までやってきた。

 予想の通り、静奈ちゃんを襲ったのはポイズネルキメラ。キメラ種の中でも毒による攻撃の種類が多彩な種。

 静奈ちゃんが戦闘を終えてから時間が経っていないせいか、空気が重い。


「何、この空気」


「あんまり吸わない方がいいですよ。って、重畳寺先輩は耐性があるなら関係ないですね。ざっくり言えば毒です。吸いすぎると死にます」


「何それ。ズルよね」


「ま、初見殺しなんて日常茶飯事なもので」


 むしろ、初見殺しできる能力を持てないモンスターは他のモンスターか探索者に狩られる。

 相性も当然あるけれど、究極戦う前に決着しているのがベストだ。

 私は仮にも配信者だから戦闘シーンを見せるよう心がけているけれど、これって案外難しい。

 重畳寺先輩の変身後能力みたいなものが当たり前の世界でわざわざ接近しにいくようなものだから。


「ま、ポイズネルキメラも常日頃から周りを毒霧状態にしていることは滅多にないですけどね」


 実際、重畳寺先輩が変身せずとも探索できるくらいがAランクだ。それを思えば、準備済みのポイズネルキメラが強い方であるのは確かではある。


「あんたは毒ってどうなの?」


「効きますよ」


「効くの? じゃあまずいじゃない」


「と言ってもうっすらとですよ。無効よりも都合がいいんですよね。体の変化で気づけるので」


「都合がいい……」


:何言ってるの

:安全に進んでくれ

:探索者って一部人間辞めてるよな

:かわいい女の子だと思ってた

:探索一筋って感じがする……


 さて、静奈ちゃんのためにもさっさと倒してしまいたいところだったが、警戒心が高まっていたみたいで、毒の撒かれたエリアに入った瞬間からポイズネルキメラは私たちに気づいていたらしい。

 射程に入った瞬間に蛇のような尻尾の先から毒を放ってきた。


「ほいさ」


 私はそれを魔力の壁を張って爆散前にをつまみ上げた。


「ん? 飛んでこない……な、何それ」


「毒が、浮いてる?」


:おい。キメラも驚いてないか?

:空間が歪んでるってこと?

:やっぱり空間系能力者?

:ラグ?ラグなのか?

:他のところは動いてるし、どゆこと?


「あんた。魔法は使えないって話じゃ?」


「そうなの?」


 2人して聞かれたけど、その通り。

 私は正直にうなずくしかない。


「私は魔法を使えませんよ?」


「なら、何よこれ」


「魔力による壁です」


「壁? ほんの数センチとかならわかるけど、5メートルくらい先じゃない? この距離に魔力だけを独立させてるってこと? あんた、魔力と魔素をどう使い分けてるのよ」


「効果時間が長いのと短いのって感じですかね?」


 ぽかんとする2人だが戦闘はまだ終わっていない。

 こんなことができるなら、モンスターハウスでやったような攻撃をすればいいと思われるかもしれないけれど、私はこの戦闘中にこの魔力操作に関してギアを入れておきたいところなのだ。


 静奈ちゃんの毒消しをもう少し確かなものにするためにね。


 それと、毒は普通のスキルと比べて含まれる魔力量が多いってことで、捨てるのがもったいないから。


「さて、スキルやモンスターによって生み出されたものは、通常、ダンジョン外にあるものよりも魔力やスキルに影響されやすいってことは知ってますよね?」


:急に授業始まった?

:なんかどっかで聞いたな

:本当に小学校とかの内容だっけ?

:知ってる知ってる

:こんなこと習う時代が来るとは思ってなかった


「それくらい知ってるわよ」


「うん。だから、スキルでの攻撃はスキルによる防御が有効。モンスターの攻撃もスキルの方が対処しやすい。逆もそう」


「優秀だね」


「ん」


 こくりとうなずく静奈ちゃん。

 反応は小さいけどかわいらしい。

 詳しく教えたくなっちゃうけど、ここはかいつまんでいこう。


「ざっくり言えばそんな感じ。で、それはコツを掴むとダンジョン内にあるものは簡単に影響を与えられるって意味でもあるんだよね」


「そうはならないでしょ」


「できるんですか?」


 私はちょっと食いついてくれた静奈ちゃんに意味深な感じで笑いかけてから、掴んでおいたヘドロ攻撃に意識を向けた。


 ちょうど雑巾を絞るようなイメージでねじってみる。すると、あら不思議。毒々しい色のヘドロ攻撃による残骸は美しいまでの薄明かりを反射する雫へと変わった。


「ちゃちゃーん」


;は?

:そうはならないだろ

:なんで?

:別ものじゃねぇか

:錬金術師涙目www


「嘘。何それ」


「規格外」


「こうすることで相手に対する反属性攻撃を作ることができるのです。まあ、反対の属性が有効じゃない場合もあるから注意だけどね」


 私は言いながら雫をキメラへとぶつけた。

 当然のように水風船が当たった時のようなパシャッという程度の音しかしない。

 だが、それで十分。


「グアアウアアアウウウウウ……」


 着弾によって悲鳴をあげつつポイズネルキメラは弱々しく後退していった。

 たった一撃だが、体力は回復していなかった様子。

 足を引きずり背を向けたポイズネルキメラは隙だらけ。


「逃がさないよ」


 最後の大技ってことで、私は空気に撒かれた毒を圧縮して、手元に集中。


 おもっきり両手を前に突き出した。


「波あああああー!」


 魔力波をくらったポイズネルキメラはその場に倒れ伏した。


「ざーっとこんなもん」


 振り返ってカメラと2人にピースをすると、2人そろって変な顔をしていた。


:うおおおおお?

:魔力ビームはいつものこと

:すげぇ圧倒的

:やってることおかしいって

:へーSランクともなると攻撃をさせるんだなー(棒)


「いや、いやいやいや。そんな戦い方アリなの?」


「地道に攻撃をしてなんとか弱らせたのに」


「うーん、戦い方は適性に合わせてって感じだから、これが正解って訳じゃないですよ」


 それにここまではあくまでチューニングだからね。本当の戦いはここから。


「ポーションによる回復に頼り切るのって実はよくなくて、ポーションが対応してない部分があったりするんだよね」


「ワタシ、元気だけど?」


「んー。そうだね。念のためって感じ。でも、ギルドだと他の人がいるからな」


「何をするつもり?」

いつも読んでくださりありがとうございます。


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