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配信初心者の私、プロ指示厨の言いなりで気づけば百合ハーレム完成!?  作者: マグローK


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第1話 指示厨が湧いた日

:今日もあたしだけ? 3週連続は最高記録なんじゃない? のぞみん


 視界の左端に新しいコメントが表示されて一瞬胸が躍ったが、なんてことはない、友人が冷やかしに来ただけらしい。


「りーちゃん、そーいうことコメントに残すのやめてよ。新しい人が入りにくくなるでしょ?」


 配信用のドローンをジトっとにらんでみたが、画面を見ながらケタケタ笑うりーちゃんの姿が目に浮かぶようだ。


:その新規がいないんでしょw


「うっ……」


 痛いところを突かれて私はドローンのカメラから視線をそらした。


 私は猪瀬いのせのぞみ。16歳。職業は女子高生探索者だ。

 今もコメントをくれている坂巻さかまき涼子りょうこことりーちゃんにすすめられるまま、配信を始めてしまった。

 我ながら乗せられやすい女だと思う。


 知っての通り、この世界にはダンジョンがある。日々、様々な探索者たちが、それぞれの目的でダンジョンを探索している。

 未知を求めて、モンスターを討伐するため、力を高めるため、そして、配信としてみてもらうため。


 私もそんなダンジョンを探索する内の1人だ。


 ただ、こんな不思議でファンタジーなことも昔に比べれば当然のことになっていて、探索に使われているスキルという特殊能力もほぼ全ての人が当たり前のように持っている。当時はダンジョンに入らないと手に入らなかったものらしいが、今となっては人口の8割だか9割くらいの人はスキル持ちだと言われているくらいだ。

 こんな世界じゃ、いくら命の危険があろうと、探索をしているだけでは見てもらうことはできない。

 横断歩道を何事もなく渡る様子を見る人がいるか? なんて、言われるくらいである。


:のぞみんはさ、見た目かわいいんだから、もっとそれを押し出していけばいいんじゃない?


「私だってこの1年色々とやってきたんだよ? 装備もりーちゃんが言うようにかわいいのにしたりとか、あえて安物にして装備最低限での攻略をやってみたりもしたし、スキル禁止回もあったでしょ? それと、アイテム禁止とか、事前調べ禁止とか」


:そういえばそっか


「そういえばって、見ててくれたじゃん」


:ごめんごめん

:じゃあ、無名なのに全部の配信や動画タイトルにSランクって付けてるから、むしろ警戒されてるってことなのかもね


「それだって、目立つ肩書きがあった方がいいってりーちゃんが」


:そうは言ったけど、Sランク用の攻略情報って見る人いると思う? 企画系もコツとか話してたけど、素人のあたしに言わせれば宇宙語よ?


「いるよ。いるいる。熟練度が高いものほど参考になるでしょ? 確かに探索は授業程度のりーちゃんからしたらわからないことがあるかもだけど、噛み砕いて話してるじゃん」


:噛み砕かれて宇宙語なの

:Gランク上層レベルの人間にSランク深層の話をされても追いつけないって


「でも、私だってやるからには人の役に立つ配信がしたいし、より多くの人に攻略をよりスムーズにやってもらいたんだよ」


:世の中やりたいことだけじゃいかんってことですな


「何を知ったような口利いて」


 とはいえ、私ももっと簡単に有名になれると思っていた。


 見ているだけなら綺麗なもの。


 親友に褒められて乗せられるくらいには、配信している探索者さんたちに憧れがあった。

 できるよ。なんて言われたら、その日のうちに片っ端から手をつけて、配信を始めていた。

 そこは私の長所だと思っているけれど、むしろ今回はそれで上手く行かなかったのかもしれない。


「次は何をするかなっ」


「ダンジョンアラート、ダンジョンアラート。近くの探索者は至急指定の場所へ。ダンジョンアラート、ダンジョンアラート。近くの探索者は至急指定の場所へ」


 突然、視界が赤く明滅し出したかと思うと、スマホのアラートも鳴り出した。


「びっくりした。ダンジョンアラートか」


:この音苦手ー

:ダンジョンアラートってなんだっけ?


「要は近くのダンジョンで探索者がピンチになってるってこと」


:なるほど

:早く行ったら話題になるんじゃない?

:のぞみんって実力はあるんだし


「実力"は"ね。でもそれって、なんか打算的だなぁ」


:計算高いと言って


「うーん……」


 とは言え、りーちゃんの方が配信者に詳しいのだ。聞くだけの価値はある。

 それに、私だって配信中にダンジョンアラートで駆けつけて有名になった探索者の方を知っている。

 打算的とは言ったけれど、決して悪いことをしている訳じゃないし、むしろ無視すれば評判は下がるものだ。


「内容はモンスターハウス。多分私向きじゃないけど、メンバーによっては打開できるし行っておこ……」


 ひとっ走りしてから地図を見直してみたところで、私の前に壁が立ちはだかった。

 文字通りの壁。


「残念だけど、行けない」


:え、どうして?


「だって、位置は近いけど隣接する別のダンジョンみたいなんだもん。移動の距離を考えるとここはスルーした方がいいはず」


 探索者の救出は探索者とは別でプロがいる。今はそういう時代だ。

 緊急対応ができないのにでしゃばって混乱をもたらすのは、かえってマイナスとなりかねない。

 ダンジョンアラートで有名になった人も知っているのと同時に、ダンジョンアラートの現場に駆けつけてしまったがため帰らぬ人となった例も後をたたない。


「実力を見誤った人から死ぬんだよ」


指示厨:実力はある、そういうことですよね?


「え? あ、えっと初めまして、指示厨、さん? 指示中ってことかな? 猪瀬のぞみです」


指示厨:もう一度聞きます。実力はある、そういうことですよね?


「実力はそこそこですけど、一応Sランクやってます」


 一瞬見間違いかと思ったけれど、どうやらりーちゃんではない人が来てくれたみたいだ。

 視界下側に投影されている視聴者数は先ほどと変わらず1のままだけど……。

 りーちゃんが私に対するちょっかいに飽きたのかな?


指示厨:そこの壁、触ってみてください


「えっと……。どういうことですか?」


:聞いてみてあげたら?


 と思ったら、りーちゃんはいた。

 となると視聴者数は反映のバグかもしれない。


 それに、名前もこれが指示中ってことかな?


 特に聞くことによるデメリットはないと思う。

 今いるダンジョンはほぼほぼ攻略してあるはずだ。もし罠があっても対応できよう。


「それじゃ、触ってみますね」


 一応警戒しながら、私はそっと目の前にあるダンジョンの壁に触れた。

 すると、本来たった一撃ではへこみぐらいしかできないダンジョン端にある壁が、ガラガラとまるでドミノのように簡単に崩れ去った。


「うっそ、何これ」


:え、え? やばくない? 通路みたいになってるよ?


「うん。これ通れる。通れますよ? ダンジョン間の連絡通路なんてここ10年は見つかってませんよね?」


 まず間違いなくレアスキルなんかより余程レアだ。

 そもそも、ダンジョンは攻略されれば消えてしまう。そんなものだから、ダンジョン間は基本的に独立していて、傾向が似ていてもあくまで人間側の分類にすぎない。

 それなのに連絡通路が隠されているダンジョンとなるとダンジョン研究的に価値があるとかなんとか。


「指示厨さん。あなた何者ですか?」


指示厨:通りすがりの探索者ですよ

指示厨:さ、これでダンジョンアラートの人を助けに行けますね


「そこから見てたんですか? わ、わかりました」


 偶然でなく狙って通路が見つかるなんて、そんなこと探索者にできるのか?

 鑑定スキル持ちや占いスキル持ちでもリアルラックがないと見つけられないって話なのに。


 と、私はそんな思考を頭を振って追い出した。

 今はそんなことより探索者の救出が優先だ。


「急ぎます」


 私は隣のダンジョンへと駆け出した。

いつも読んでくださりありがとうございます。


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