↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の国のお伽話(改稿版)  作者: 花時雨
プロローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/278

さいしょのはなし

さあ、良い子はおめめを閉じて、聴くのですよ。

早く眠れますように。良い夢が見れますように。


はじまり、はじまり。


「そしてファルコは、民の代表者が恭(うやうや)しく捧げた王冠を受け取ると、それを自分の頭に乗せました。その瞬間に、ファルコは新しい国の国王となったのです。

 ファルコは宣言しました。神と風火水土の四精に誓うと。自分は国民を幸せにするために働くと。そのために自分の生を捧げると。自分の血を引く者も皆、国民のために働くだろうと。そして四精、とりわけ自分の友となった風の精(シルフ)ヴィンディーゼに、どうかこの国に御加護をくださいますようにと祈りました。

 国民はそれを聞いて、ファルコのために、そして国の未来のために万歳を唱えました。何度も何度も唱えました。万歳、万歳、ヴィンティア王国に栄えあれ。

……めでたし、めでたし」


物語の本がぱたりと閉じられる。

その音を聞いて、まだ眠れずにいた幼い男の子は目を開けて琥珀色の瞳で寝台の中から見上げた。物語を読み聞かせていた母親は男の子の金褐色の髪を撫でながら優しく話し掛けた。


「あら、ユーキ、まだ眠れないのかしら?」

「はい、ははうえさま。ファルコがかっこよくて、むねがどきどきしてねむれませんでした」

「そう。ええ、ファルコは格好いいわね。私もファルコが大好きなのよ。あなたも、ファルコのようになれるといいわね」

「はい、ぼくもファルコのように、くにのみんなをしあわせにできるように、いっしょけんめいにがんばります」

「ええ、頑張ってね。でも、今はもう眠りなさい」

「でも、まだめがぱっちりして、ねむれそうにありません。ははうえさま、どうすればよいですか?」

「そうねえ。それでは、別のお伽話を読んであげましょう。ちゃんと目を閉じて聞くのよ」

「はい、ははうえさま」


母親はもう一度男の子の髪を撫でた。男の子が嬉しそうに微笑んで目を閉じたのを確かめて、脇机の上から別の本を取り上げて開き、静かな声で読み始めた。


「はじまり、はじまり。

風の精(シルフ)ヴィンディーゼは、風の国ヴィンティアの王城の、最も高い尖塔のその上に腰掛けて辺りを眺めておりました。春には西に、夏には北に、秋には東に、冬には南に向いて腰掛けておりました。その吐息は季節ごとの風になり、この国中に吹き渡っておりました。

時には気紛(きまぐ)れで季節と異なる風を吹かせることもありました。その日、深いとはいえまだ秋の日に、ヴィンディーゼはその気紛れを起こして、寒い北風を吹かせておりました……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。