繋がれたリード、奪われた平穏
…う、…?
俺は、寝ていた…?ぉぉ…ハル●オンも飲んでないのに、この時間に寝れたのは久しぶりだぜ。ひゃっほー!
起きちゃったのは災難だけど…よし、V●Pでも見るか。
あれスマホどこ置いたっけ…んん?
あれ、ここ、布団じゃない…?
俺は違和感で一気に目が冴えた。少し、冷や汗をかいているのを感じる。周りを見渡す限り、闇しかない。
そういえば、俺、布団に入ってすらなかったよな…
俺、パチ●コの帰り、コンビニで買った肉まんを食べながらポケ●ンGОをしていたら、突然めまいがして…
財布と鍵もどこにやったんだ…今日大儲けして、財布に15万円入ってるんだよな…
ま、まさかあれは夢?う、うわあああああああああああ!
がちゃ。
扉の開く音に驚いている暇もなく、眩い光が差し込んでくる。光の中に…
部屋の闇の数無量大数倍ドス黒い、少女のようなナニカが立っていた。俺のチ●コは立っていなかった。
少女と目が合う。身体が凍りついて、上手く瞬きすらできない気がした。俺のトレーナーよ、早くラムのみを食わせろ…。
「おはようございます、俺くん♪」
俺は少しすくみながらも口を開く。
「…貴方は、誰ですか?」
こいつはきっと、化物だ。直感が言っている。知らんけど
「…ふふ、これから知ることになると思うわ。」
不敵に笑うソイツ。逆らっては、いけない気がする…。多分
「俺は、なんでここにいるんすか?」
喋れたことの安心感から少し踏み込んだ質問をする。ソイツは少し考え込んだような表情をし、
「それも、"他の子"を見てれば分かるわ」
そうか。俺はこいつに監禁されていて、俺の他にも被害者がいるのか…。
普段は頭の回らない俺だが、今は妙に頭が回っているようだ。クソ、英検のリスニングの時もこのくらい頭がぐるぐる回ってくれればいいのに…。前日までまいたけまいたけぐるぐるとか叫ばず、たまには海外勢の配信とか見ればよかったかもな。まあ、ら●んちゃんは何も悪くないが…
「あ、ちょっと待っててね?」ソイツは唐突に部屋を出ようとする。今が逃げるチャンスかもしれない。だが、慎重に…
「逃げようとしても、無駄だかんね?」
振り返った少女の首は明らかにおかしい曲がり方をしている。こいつ、幼少期にずんずん体操でもされて育ったのかよ…
そして、見透かされてる…!?やっぱり、こいつに逆らうのは危険か…
あの化物は一体何者なんだ…そうこう考えているうちに、ヤツは帰ってきた。手には、首輪とリード…?
「ちょっと大人しくしててね?」
そう言って女は俺に首輪をつけた。とても、慣れた手つきで。
「これでよし!さあ、みんなのところに行こっか?」
そいつはリードの持ち手を強引に掴み、ぐいっと引き寄せる。俺は咄嗟に身を引こうとし、首が絞まりかけ、強く咳込む。
「もう〜、抵抗したら危ないでしょ?」
少し悲しそうな、苦笑いをする。その表情は、転売ヤーが普通のポ●カの上にレアなポ●カを模したシールを貼ったかのように、表面的だ。
これから俺はどうなってしまうのだろうか…。想像も、したくない…




