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私をあなたの番(運命)にして下さい  作者: ゆきもも


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⑤初めての城内

4人で密かに話し合った日から一週間がたった。


「んん~っ!」


私はベッドの上で大きく体を伸ばす。

まだ少し違和感は残るがだいぶ体を自由に動かせる様になってきた。この感じならもうすぐこの国から出られそう。


嬉しくて思わず笑みがこぼれる。


コンコン。


「失礼致します、朝食をお持ちしました」

エララがいつもの無表情で手に朝食を持って入ってきた。


「おはよう、エララ」

獣人はいまだに苦手だが無愛想なエララの顔を見ると何故かほっとする。うーん…不思議だ。


と、いうかここに来てからまだエララ以外の獣人に会った事がない。まぁ、会いたくはないがお世話になってる身としては城主に挨拶くらいはしなければ不作法と言われても仕方ない。獣人の主だと思うと恐ろしくて上手く話せるかはわからないが…


それに私を助けてくれたというアラリオン様にもお礼を言わなければ…。感謝はしているがとても気が重い


「おはようございますエイルリス様、お加減は如何ですか?見たところ顔色は良さそうですね~」


「ええ、寝たきりの頃に比べたらすっかり良くなったわ。それで、もし大丈夫なら朝食の後お庭に出ても良いかしら…少しは歩かないと足が弱くなってしまうわ」


エララは少し考えた後


「確かにそうですね、わかりました許可を取って参りますので朝食を召し上がっていて下さい」


エララはそう言うと颯爽と部屋を後にする。


私は朝食を食べながら久しぶりの外出(庭だけだけど)に心を浮き立たせエララの帰りを待つ。


朝食を食べ終わり椅子に腰掛け待っているとエララが戻ってきた。期待を込めて見つめてると


「許可が取れましたので庭園に参りましょう」


「え!!本当に!?すぐ行きましょう!」

嬉しさにテンションが上がり目を輝かせてエララを見上げた。


エララは一瞬キョトンとした顔をしたがすぐにドアに顔を向け「くっ…ふふっ、では参りましょうか」と部屋を出て行こうとするが肩が震えてる。


これは、笑いを堪えているのね…。


貴族令嬢としてはしたなかったわ…でも、久しぶりの外が嬉しかったんだものっ!仕方ないわ!


先程とは別の意味で顔を赤らめ大人しくエララについていく。


初めて部屋の外に出た私は興味津々で城内をキョロキョロと観察する。

豪華な城というよりなんだか要塞の様な堅苦しさや張り詰めた空気を感じる…

獣人の住まいなんだから人間の居住とは根本的に違うのよね、恐怖心もあるがそれ以上に私の心は好奇心でいっぱいになっていた。


暫く城内を歩いていると獣人数人が向かいから歩いてくるのが見えた。距離がだんだんと近付いてくるとやはり怖さが上回り体が緊張で強張る。


顔がはっきりと分かるくらい近付くと獣人達が私に気付き憎しみがこもった目で睨み付けてきた。


「臭いな…」

「あぁ、臭い臭いたまらんっ!」

「俺も吐きそうだ!」


次々に私に暴言を吐いてくる。


その獣人達は人間の数倍は大きく開いた口からは鋭い牙が覗いている。低い唸り声をあげながらにじり寄ってきた…


聞いてた通りやっぱり獣人は野蛮な生き物なんだわ!怖い…誰か助けて…


恐怖で動けなくなっていると私と獣人達の間に滑り込むようにエララが入ってきた。


「それ以上近付くなら容赦しませんよ?」


エララの初めて聞く地の底から響いてくる様な低い声に獣人達も固まり、私も恐怖心も忘れ目を見開く。


「マイロ、ニクス、ファビアン。どうします?聞こえてますか?後1歩でも近付けば喉元を切り裂きますが?」


その言葉を聞いて3人は青ざめ後ずさった。


「エララ…そいつ人間だろ?何故味方する」


3人は悔しそうに顔をしかめエララに問う。


「あら、獣人はいつからそんなに野蛮な獣に成り下がったのでしょうか?人間と見れば見境なく襲う、まるで理性がない生き物だったんですねぇ」


「くっ!!」


エララと獣人達は一定の距離をおいて睨みあっていた。

膠着状態が続くと思われたその時、


「そこで何をしている」


声を荒げているわけではないのにその場を制圧するような凛とした美しい声が響く。


緊張で張り詰めていた空気が一瞬にして霧散した。






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