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私をあなたの番(運命)にして下さい  作者: ゆきもも


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⑱不穏な空気の正体

エララは言ってもいいものか一瞬逡巡しながらも口を開いた。


「帝国との境界にあるルーンの森に人間が無断で侵入し近隣の村を襲ったとの情報が入りました。詳細がわからない為アラリオン様を含む一同がそちらに急遽向かう事となりました」


「え………」

人間が…獣人の王国に?そんな…


「その報告を聞き城の者は酷く(いき)り立っております、エイルリス様はこの部屋からは決して出られません様に。今城の中で他の獣人に見つかれば何が起きるか…正直私でも守りきれるかわかりません」


エララが心配そうに言う。


「ならエララだって獣人じゃない…私が憎くないの?」

エララが私の言葉を聞いて呆気に取られた顔をし


「あ、すみません。私の中でのエイルリス様は人間ですが仲間?友人?妹?う~ん…とにかく身内の感覚なもので憎むなん微塵も思いませんでしたね~」


エララの言った事に此方が唖然としてしまう…

そして徐々に顔が真っ赤に染まっていく。

「わ、わたしもっ、エララは姉のように感じてましたわっ」

嬉しすぎて緊急事態だというのに顔が緩んでしまう。


「まぁ、そういうわけですので暫くはこの部屋からは出られませんように」

そう言ってエララが部屋から出て行こうとした。


「エララ、待って!!」

私は慌てて呼び止め

「お願い!私も一緒に同行出来ないか聞いてみてくれないかしら」


「……は??」

エララが珍しく驚いた顔をしている。


「足手まといになってしまうかもしれないけれど、真実を知りたいの。人間がこの国で何を行いそれによって何が起こっているのか、自分の目で確かめたいのよ…」


エララが私をじっとみつめ

「失礼ですが貴族のお嬢様の好奇心を満たす遊びじゃないんですよ。何が起きてる?そんなの決まってるじゃありませんか容赦ない殺戮ですよ、あなたはそれを直視できますか?皆に同行して恐怖で動けなくなっても誰も助けてなどくれませんよ?それどころか敵と見なされ殺される可能性が高いかもしれません」


エララは私に優しくもあるが言うべき事はいつもはっきり言う方だ。それでもここまで辛辣に言われたのは初めてで一瞬怯んでしまう…でも私だって諦めるわけにはいかない。この国にいる間に自分に出来る事をしなければ。


「ええ…覚悟は出来てるわ。獣人の皆が私に対してどう思っているのかもわかってるつもりよ。正直に言えば怖いわ…けれど人間の私だからこそ見なくちゃいけないの…お願いエララ、頼んでみてくれないかしら」


「……………」

暫く黙って考えてたエララは

「わかりました…お待ち下さい」


そう言ってそのまま部屋を出て行った。



***


城の前では沢山の獣兵達が遠征に向けて準備を整えていた。指揮を取っているのはオリオン、ジュノー、アラリオン。3編成に分け部隊への役割分担を決める話し合いをしていた所1人の獣兵が近付いてきた。


「失礼致します!エララ殿がお話があるそうでお待ち頂いてます、どうされますか?」 


「エララが?何だこんな忙しい時に」

オリオンが苛ついて言う。


「ジュノー、お前行ってこい」

「は?嫌だよ、何で僕が…リオ、お前が聞いてこいよ」

ジュノーが珍しく愛称で呼んできた。


「ええ、いいですよ。じゃあ、ちょっと行って参ります」

アラリオンは獣兵と共にエララの元へ向かう。


獣兵達が荷物を積んでる場所から少し離れた所にエララが1人で立っているのが見えた。

「エララ、話しとは?あまり時間がないので短めに頼むよ」


「承知しました、お忙しい中お呼び立てして申し訳ありません。実は、この遠征にエイルリス様が同行を希望されてます」


エララの話しを聞いてアラリオンは目を見開く…

「何を言って…は?冗談だろう?」


「冗談ではございません。本気で同行したいとおっしゃってました」


アラリオンは眉間にシワをよせ考え込んだ。

エイルリス嬢は何を考えてるんだ…ピクニックにでも行くと勘違いしてるのか?


それともただの好奇心か…面倒だな…。


「私から見た限りでは遊びや好奇心ではないと見受けられます。アラリオン様がおっしゃった現実を(リアル)ご自分の目で確かめたいそうですから」


…何故心の声がわかったのだ…。


「そうか、彼女はそんな事を言っていたか」 


確かにエイルリス嬢を同行させるのはかなりの危険を伴う。行く場所が危険というよりも部隊の中に置く事が危ないのだ。

獣兵達は一般の民よりも現状をより深く知ってるし、経験もある分人間に対する憎しみが非常に強い。その憤怒がエイルリス嬢に向かう可能性が高い…常に俺が側にいてやれれば良いがそういうわけにもいかない。だが…


「どうされますか?部隊の士気に乱れが起きる様でしたらきっぱりとお断りされるのが賢明かと」


「そうだな…」

アラリオンは暫し考え決心しエララに伝える。


「エイルリス嬢を同行させる。彼女は必ず俺が守るから心配いらないと伝えてくれ」


エララは断られると思っていたのか少し瞠目したがすぐに口元を緩めた。

「すぐにエイルリス様にお伝えし、急いで荷物をまとめて来ます」  


と言って城内へと小走りに戻って行った。


さて………兄上達に何と説明するか。

確実に猛反対するだろう…はぁ。


アラリオンも覚悟を決めオリオンとジュノーの元へと足を向けた。













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