⑬最悪な展開
運良く奥の部屋まで誰にも会わずに辿り着く事が出来た。多分この部屋のはず…ネリスの他に誰もいません様に
ドキドキしながらしてドアに手を掛けそっとドアを開く。
そこには白を基調とした落ち着いた空間が広がり窓から柔らかな明るい日射しが部屋を照らていた。
部屋はさほど広くはない為すぐにベッドが視界に入る。他に誰もいない事を確認し、盛り上がった布団に小声で話し掛けながら小走りに近づく。
「ネリス、私よ。エイルリスよ、体調はどうかしら?」
声をかけながベッドに近付いていくとふと、違和感を感じ…
あら…?人間にしてはだいぶ小さい…?
布団の膨らみがやけに小ぶりに思う。
更に近付くとはっきり違うとわかった。
あまりに小さすぎる…もしかして小さな子供?
良く見ようと布団から出ている顔を覗き込むと…
「えっ!!ええっ!?う、うさぎ??」
ベッドに寝ていたのは何と真っ白なうさぎだったのだ。
「なんでベッドにうさぎが寝てるの…?」
人と比べれば小さいが普通のうさぎにしてはかなり大きいサイズだ。誰かのペットなのかしら?そんな事を考えていると気配を感じたのか寝ていたうさぎがはっ!と目を開く
「ピギィッ!!!」
うさぎは私を見ると聞いたこともないような叫び声を上げて逃げようとしたがすぐにぱたりと倒れてしまう。やはり具合が悪くて寝ていたのだろう…
「うさぎさん、驚かせてごめんなさい。逃げなくても大丈夫よ、すぐに出て行くわ。」
私は布団から逃げようとしてベッドの足元に倒れてしまったうさぎを優しく抱き上げて元の位置に戻してあげる。
「具合が悪いのね、大人しく休んでてね」
ふわりと布団を掛け直す。
うさぎは赤いルビーのようなキラキラした瞳でじっと私を見つめている。じっと見つめて来て何だか私の言ってる事がわかってるみたい、なんてそんなわけないわよね。ふふっ
ここはネリスのいる部屋ではなかったのね、もう探してる時間はなさそうだから一旦私の部屋へ戻らなくては…。
「うさぎさん、早く良くなるといいわね」
そう言いながらそっとドアノブを掴んで部屋を出ようとした時、向こう側から勢いよくドアを引かれ思わずつんのめってしまう。
「キャッ!!」
すると目の前には先日庭園に行く時に出くわしたあの獣人三人集のうちの1人が立っており目を見開いて私を見ていた。
「お、お、お前は!ここで何をしているんだ!!」
一瞬驚いていたがすぐに殺気を放つ。
「あの…ごめんなさい、すぐに部屋に戻りますから」
慌ててそう言いながら出て行こうとすると、強い力でいきなり胸ぐらを掴んで来た。
「ぐぅっ…」
ものすごい圧迫感に首が締め付けられ呻き声が口から漏れる…
「は…は、な、して…」
「離すものか!勝手に部屋を出て何をしていた!小賢しい下劣な人間が!!」
掴んだ手を弱める所か更に力を込めて締め上げて来る。
あまりの苦しさに呼吸が上手く出来ず視界がぼやけてきた時、突然奴が叫び声を上げた
「ぎゃあ!!!!!」
私を締め上げていた手を離しその場に蹲ってしまう
私は途絶えていた酸素が一気に入ってきたせいで咳き込んでしまう。
「げほっ!ごほっ、ごほごほっっ」
い、いったいなにが起こったの…?
涙目になりながらも少しだけ息苦しさが和らいできたので顔をあげると、そこには先程ベッドで寝ていたあの白いうさぎが私を庇う様にして獣人との間に立っており普通のうさぎとは思えない低い唸り声をあげ、それはまるで獣人に対して威嚇しているかの様に見えた。
「ぎゅいぃぃぃぐるるるる」
めちゃめちゃ興奮してるのか毛を逆立たせて唸り声を出すうさぎ。
え…?うさぎってこんな声出す…?こんなうさぎ見た事ないわ!だけど私を守ろうとしてくれてるみたい
でも何で私を?ついさっき会ったばかりだし、しかも数分だけよ?
疑問に思っていると蹲っていた獣人が痛みに顔をしかめながらうさぎを睨む。よく見ると私を締め上げていた手が血だらけになっていた…
「お前まで何故人間を守ろうとするんだ!どうして仲間に攻撃した!?何なんだお前達は!」
お前までって、何を言ってるのかしらこの獣人は?
もしかしてこのうさぎも獣人ってこと?
それより、この状況はどうしたらいいの
勝手に部屋を出たのは不味かったけど、何でいつもトラブルになってしまうのよ―!最悪だわっ!




