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エッセイ

彗星にまつわるあれこれ

作者: 浅葱秋星

エッセイのネタにまでするとは、どんだけ彗星が好きなんだ、という感じだが、その来歴みたいなもの。

 紫金山・アトラス(Tsuchinshan-ATLAS)彗星という彗星が接近中だ。2024年9月28日に太陽に最接近した後、2024年10月13日に地球に最接近する。地球に近づく頃には、夕方の西の空に、三等星くらいでみえるらしい。

 中国の紫金山天文台と小惑星地球衝突最終警報システム((Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System、略してATLAS)によって発見されたのでこの名前が付いている。しきんざん・あとらす彗星、と呼ばれることが多いようだが、ツーチンシャン・アトラス彗星と呼んでいる場合もある。名前は個人ではなく、団体などでも有りとなっている。

 ATLASが発見した彗星は、もう一つ、10月後半に接近するものがあるようだ。


 彗星の名前は、独立発見という、他の人が発見したという情報を得ずに、単独で彗星を発見した場合、その名前が彗星につけられる。名前は三人分までしかつけられないので、独立発見であっても、四人目からは名前が付かない。オリンピックのメダルのようなものか。

 国際天文学連合のニュースの発信を担当している、天文電報中央局(Central Bureau for Astronomical Telegrams)にある、彗星命名のガイドライン(IAU Comet-naming Guidelines) によると、彗星が発見されて、IAUC(International Astronomical Union Circulars : 国際天文学連合回報)が発行(これで彗星の発見を報告)された後の彗星発見の報告は原則として考慮しない、とあるので、IAUCが発行される前に、独立発見として報告した人が一人だけだったら、その人しか名前は付かないし、二人以上いれば三人目までは名前が付く、ということらしい。


 彗星というとハレ―彗星が有名だが、前回接近した1986年には、天体望遠鏡の特需が起こったそうだ。その当時の日本には、多くの望遠鏡メーカーがあった。五十代以上の昔からの天文ファンなら、五社くらいはすぐに挙げられるだろう。今は一般向けに小型望遠鏡を自社開発しているのは、ビクセンとタカハシくらいだろうか。

 ハレ―彗星は、色んな雑誌に取り上げられ、テレビではCMやら楽曲から何から、ハレー彗星に絡めて創作されたり放送されたりしていた。色んな放送局で特番が組まれたり、確かドラマまであった。

 ただ、肝心のその時のハレー彗星は、だいぶ暗くて、六等星くらいの明るさだったので、それらしい姿はみたものの、彗星だと確信はできなかった。

 ハレー彗星以前だと、ウェスト彗星という彗星があったが、その頃は彗星に対する知識がなさ過ぎて見ることが出来なかった。


 私が彗星を初めてちゃんと見たのは、百武彗星という彗星だった。当時、私は北関東にある町に出張で行っていたのだが、仕事の帰り道、空を見上げると、空の半分くらいに伸びた青白い尾をなびかせた彗星が見えていた。今まで一番くっきりと見えた彗星だと言っていいだろう。残業で日付が変わるくらいの時間帯だったので夜空が暗かったこともある。

 その後、ヘール・ボップ彗星という彗星も明るく見られた。その時は東京にいて、多摩川かどこかの河川敷で見た記憶がある。東京でも彗星の尾がはっきり見えていた。

 空の暗い所へ行ってみてくればよかったが、その時は休日も仕事だったりでそんな余裕は無かった。


 二十一世紀になって、まともに見た彗星は、2005年に見た、マックホルツ彗星か。田舎に帰省していた時に実家に置いてあった望遠鏡で見た。天頂近くにいたので、夜中でも観測できた。望遠鏡だと、丸く青緑色に見えていて、尾は良く分からなかった。

 最近だと、2020年に接近したネオワイズ彗星という、肉眼でも見える彗星があったが、東京では天気が悪くて見ることが出来なかった。コロナ下で帰省などできなかったこともある。

 その後も明るい彗星が発見されたというニュースがあると、期待半分くらいで待っているが、期待通りに明るくなってくれたものは今の所無い。

 特に、2013年に接近し、史上最大とか、金星(一時は月)よりも明るくなる、とか騒がれたアイソン彗星は、NHKがタモリを司会にして特番まで組んだ。しかし、太陽に近い軌道を持つサングレイザーと呼ばれる彗星だったこともあって、太陽に近付いた時に崩壊し消滅してしまった。そのため内容は変更して放送されたが、メインディッシュの無いコース料理みたいな番組になっていた。

 こんなこともあるので、マスコミが騒ぐと彗星は明るくならない、なんていう人もいる。


 彗星は、私は小説等の創作のネタとして良く使っている。ここ、小説家になろうでも二つ載せている。彗星はどこか遠くから現れて、明るく輝いたかと思えば、何時の間にやら去って行ってしまう。

 私は、どこからかやってきた風来坊が、事件などを解決して去っていくという、映画だと西部劇の『シェーン』みたいな話が好きなので、彗星のそんな風来坊のような存在に、どこか人間臭い感情を抱くからかもしれない。

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